新卒採用管理システム(ATS)の機能やトレンド・選び方
~全国のソリューション企業一覧・おすすめ企業~

新卒採用管理システム(ATS)の機能やトレンド・選び方~全国のソリューション企業一覧・おすすめ企業~

新卒採用管理システム(ATS)とは、新卒学生の募集から選考・内定・入社までを一元管理し、採用活動の効率化と質の向上を図るシステムです。SNSやWeb面接ツールとの連携、分析レポートといった昨今の採用プロセスに求められる機能が備わるなど、採用戦略をシームレスに実現するためのツールとして進化を続けています。

新卒採用管理システムの基本機能や導入のメリットを整理するとともに、種類や直近のトレンド、選び方・比較のポイント、おすすめのサービスを紹介していきます。

1:新卒採用管理システム(ATS)とは

新卒採用管理システムとは、新卒採用に関わるさまざまな業務を一元管理できるシステムのことです。「採用管理システム」は「ATS(Applicant Tracking System)」と略されることもあります。

新卒採用では、ナビサイトなどを利用した母集団形成に始まり、応募者の管理、選考、内定者の管理など、さまざまな業務が発生するため、効率的な運用が求められます。新卒採用管理システムが果たす役割は、これらの業務を一元管理することで効率化を図り、採用活動のスピードと質の向上を実現することです。

採用管理システムには、「新卒採用向け」「中途採用向け」「新卒採用と中途採用の両方に対応」「パート・アルバイト採用向け」などのタイプがあります。たとえば、新卒採用では大規模な会社説明会を実施するなど、中途採用では行わないプロセスがあります。こうした戦略・プロセスの違いにより、強化されている機能・サービスが異なっているのです。

採用管理システムイメージ

1-1:基本的な機能

新卒採用管理システムに搭載されている機能は各社で異なりますが、ここでは基本となる機能を採用活動のフェーズごとに整理します。

募集時

求人ページを作成したり、求人サイトへの掲載を自動化したりする機能が備わっています。複数の求人情報もシステム内で一元管理することができます。また、紙ベースと比較して、応募者の情報を安全に管理できるという特長もあります。検索機能があり、応募者が多い場合にも効率的な管理が可能です。

選考時

面接日程を調整する機能があり、カレンダーツールや社内システムと連携できるタイプも多く提供されています。選考管理の機能では、進捗状況や応募者一人ひとりの評価を一元管理でき、複数の面接官がいる場合もスムーズな情報共有を実現します。

内定~入社時

内定通知の機能や、内定者フォローに役立つ機能が搭載されています。学生は日常的にSNSを使うことが多いため、連携する機能があるシステムを活用すれば、継続的なコミュニケーションが可能になり、内定辞退を防ぐことも期待できます。

また、一斉メールやリマインドメール、個別メールに対応しているシステムもあります。社内メールと分けて管理することで、見落としや対応漏れを防ぎやすいという利点があります。

進捗管理

採用活動の進捗を一元的に管理できる機能です。関係者が多い場合も、リアルタイムで状況を把握・共有することができます。

分析・レポート

応募者の傾向や選考状況などを分析する機能です。課題が明確になることで、より戦略的な採用活動を行うことができます。

1-2:新卒採用管理システムが必要とされる背景

競争が激しい新卒採用市場では、より細やかなアプローチによる動機付けが必要であり、採用手法が多様化しています。また、優秀人材を獲得するためには、PR活動に加えて選考スピードの向上や内定者フォローの充実など、各プロセスの精度を高める必要性が高まっています。

しかし、限られたリソースでこれらを実践するのは容易ではなく、採用担当者の負荷は高まる一方です。同時に、コスト面での最適化も課題となっています。こうした背景のもと、人的・時間的・コスト的な無駄を省き、より効率的かつ効果的な新卒採用を実現する新卒採用管理システムへの期待が高まっているのです。

2:新卒採用管理システムを導入するメリット

新卒採用管理システムは自社にどのようなメリットをもたらすのか、以下に整理しました。

2-1:一元管理による効率化

新卒採用は会社説明会の実施から始まり、ナビサイトなどを活用した母集団形成、応募者管理、面接・選考、内定と業務内容が多岐にわたります。また、関係者との密な情報共有が求められます。

新卒採用管理システムを活用すれば、採用活動のあらゆる情報の一元管理により、効率化を実現できます。また、伝達の手間とミスがなくなり、リアルタイムの情報共有が可能になります。

2-2:自動化によるコスト削減

採用活動ではオペレーション業務が多く発生しますが、これらを手作業で行っている環境では採用担当者の負荷が高く、人件費増になりがちです。

新卒採用管理システムには、募集・選考・内定におけるさまざまな業務を自動化できる機能が備わっているため、採用担当者の工数を大幅に削減できます。するとコア業務に集中できるようになり、採用にかかるトータルコストの削減も期待できます。

2-3:選考スピードと質の向上

採用業務が効率化されると選考スピードが上がり、競争力のある採用活動を実現できます。また、属人化していた知識・情報の共有が進めば、選考の質が向上することも期待できます。

情報がシステム内に蓄積されることも、新卒採用管理システムを活用するメリットです。分析レポート機能を活用して、施策の有効性を確認したり、内定辞退やミスマッチを抑止したりするなど、採用力強化を実現できます。

2-4:人的ミスの低減

メールの見落としや送付漏れなどは、応募者との信頼関係に多大な影響を及ぼします。システムで一元管理することで、業務の抜け漏れや遅延といった人的ミスを低減することができます。

人によるオペレーション

3:新卒採用管理システムの種類とトレンド

新卒採用管理システムの種類と直近のトレンドについて解説します。

3-1:機能・特徴から見た新卒採用管理システムの種類

新卒採用管理システムは、大きく次の二つのタイプに分類できます。

新卒採用に特化した機能を備える

新卒採用の戦略やプロセスを意識した機能が強化されているタイプです。新卒採用では多くの学生と接点を持つ必要があるため、たとえば学生とのやり取りに役立つLINE連携ができる機能などがあります。また、多数の応募者の管理やナビサイトとの連携など、新卒採用で重要となる機能が提供されています。

中途採用にも対応できる

新卒・中途採用のどちらにも対応できるタイプです。中途採用では求人メディアや人材紹介会社を利用するケースが多いため、求人管理機能の強化など、新卒向けとは違った機能が提供されています。新卒・中途採用の両方を行っている場合は、このタイプも選択肢になります。パート・アルバイトの採用に対応できる機能を備えているものもあります。

3-2:直近のトレンド

新卒採用管理システムの直近のトレンドを見ると、LINEやチャット、SNSとの連携など、学生とスムーズにコミュニケーションできる機能が多くなっています。くわえて、コロナ禍で選考のオンライン化が進んだこともあり、Web面接ツールと連携できるなど、昨今の新卒採用で活用されることが多い各種ツールとの連携機能も強化されています。

ほかには、リファラル採用をサポートする機能を備えているものも増えてきました。リファラル採用は、コストを削減できるほか、自社理解を深めた上での入社となるため定着率アップが期待できるなどのメリットがあります。

また、採用活動の最適化やミスマッチの抑止といった、新卒採用の課題を解消するための分析機能を強化しているシステムも目立ちます。業務効率化にくわえ、学生とのエンゲージメントを高める新卒採用を目指したい企業は、こうした機能にも注目するとよいでしょう。

4:新卒採用管理システムの選び方・比較のポイント

ここでは、新卒採用管理システムを選ぶ際の比較ポイントを解説します。

4-1:採用規模に合っているか

新卒採用管理システムには大量の応募者を想定しているもの、少人数採用にも対応するものがあります。採用規模が小さいにもかかわらず大量採用を想定したシステムを選ぶと、オーバースペックになってコストがかかりすぎることもあるため、注意が必要です。自社の例年の採用規模や今後の予定を踏まえた上で、選定することが重要です。

4-2:導入目的を実現できる機能を備えているか

新卒採用管理システムの役割は、大きくは採用業務の効率化と最適化です。各システムによって強化されている機能や強みが異なるため、選定にあたっては、導入することで何を実現したいのか、そのために必要な機能は何かを整理しておくことが必要です。

たとえば、母集団形成に課題がある場合は、求人メディアとの連携機能があると便利です。現状分析による戦略的な採用を推し進めたい場合は、分析機能が充実しているシステムが役立ちます。自社の課題と導入目的に照らし合わせて、実現できる機能を備えたものを選ぶことが重要です。

4-3:他サービスとの連携が可能か

新卒採用管理システムを、たとえばLINEやチャット、SNSなどのコミュニケーションツールやカレンダーツールと連携すれば、より業務効率を高めることが可能です。

ただし、各社で連携できる外部ツールは異なります。自社が利用しているツールや今後導入予定のものと連携できるかどうかを、事前に確認しておく必要があります 。

4-4:操作性は自社のリテラシーに合致しているか

新卒採用管理システムの多くは操作性に優れていますが、カスタマイズ性が高くなるほど、設定に手間取ることがあります。操作性や使用感に不安がある場合は、本格導入の前にトライアルやデモ版を活用することをおすすめします。

また、応募者とコミュニケーションできる機能を備えているものは、応募者側の視点からも操作性や見やすさを確認しておくとよいでしょう。

4-5:セキュリティー対策がとられているか

新卒採用管理システムでは応募者の個人情報を取り扱うため、セキュリティー対策が取られていることは重要なポイントです。管理者の権限設定や不正ログイン防止機能、暗号化通信といった機能面のほか、提供会社のセキュリティー対応を確認しておきます。

4-6:自社が求めるサポート体制があるか

設定や運用に不安がある場合は、サポート体制の有無と範囲を確認しておくことが重要です。

なかにはシステムをより有効活用するための提案や、プロセス設計のコンサルティング、代行業務までカバーしているところもあります。ただし、サポート内容によっては費用が発生することがあるため、費用の有無も併せて確認しておきます。

システムイメージ

5:新卒採用管理システムを提供する全国のソリューション企業一覧

企業名 サービス名
株式会社アイデム Jobギア採用管理
株式会社アローリンク next»
HRクラウド株式会社 採用一括かんりくん
株式会社HR PRIME HR PRIME
SAPジャパン株式会社 SAP SuccessFactors Recruiting
エン・ジャパン株式会社 Hirehub
株式会社キャスティングロード 採用見える化クラウド
Thinkings株式会社 sonar ATS
株式会社ステラス JobSuite FRESHERS
株式会社Techouse クラウドハウス
株式会社Donuts ジョブカン 採用管理
株式会社ネオキャリア MOCHICA
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 HITO-Link リクルーティング
株式会社ビズリーチ HRMOS採用 新卒エディション
株式会社ヒューマネージ i-web
株式会社マイナビ ACCESS ON LINE
株式会社リアライブ Reworks
株式会社ワークス・ジャパン e2R Pro

6:おすすめの新卒採用管理システム

全国のソリューション企業の中から、おすすめの企業を紹介します。

採用システムイメージ

HRクラウド株式会社の「採用一括かんりくん」は、人材紹介サービスのRootsが作り上げた現場志向の採用管理システムです。システム上から学生のLINEアカウントに対してメッセージの送受信が可能。内定辞退防止アンケートAI機能や中途採用に最適な機能も備えています。

Thinkings株式会社の「sonar ATS」は、新卒・中途採用のあらゆる採用ニーズに対応するシステムです。採用を「フロー図」で管理し、採用状況をリアルタイムに把握したり、メール、LINEを使って応募者連絡を自動化したりすることができます。さらに、運用開始まで専任担当者がサポートする体制になっています。

株式会社ステラスの「JobSuite FRESHERS」は、新卒採用ならではの「選考管理のポイント」を押さえた機能一式を、月額制でリーズナブルに提供するシステムです。インターンシップから本選考までを賄うことができます。新卒採用に必要な機能を誰でも使えるシンプルな設計で提供しています。

株式会社ヒューマネージの「i-web 新卒採用モデル」は、1998年にマイページ機能付採用管理システムとして登場した、歴史と実績を誇るシステムです。大量の選考データの一元管理はもちろん、応募者とのOne to Oneコミュニケーションを実現するマイページ機能、採用業務の状況を分析・検証するための統計機能などを備えています。

株式会社キャスティングロードの「採用見える化クラウド」は、求人費用と売上・業務効率の可視化ができる採用分析システム。応募者データはもちろん、採用した人がどうなったか、勤怠・売上データを基に一元管理することができます。最大の特徴は分析力。同じ求人媒体でも無料/有料・職種/エリア、原稿ごとの効果分析までが可能です。

7:業務効率化から採用力強化へ

売り手市場が続く新卒採用では、学生とのコミュニケーションや選考のスピード向上、内定辞退を防ぐための施策など、さまざまな課題をクリアしていかなくてはなりません。多岐にわたる採用業務を効率的かつ効果的に推し進めるには、新卒採用管理システムの活用は必須となりつつあります。

新卒採用管理システムは昨今の多様化する採用手法にも対応するなど、競争力のある採用活動を支援するツールとして、その役割も広がっています。自社の採用戦略を実現する手段として、検討してみてください。

【無料PDF】HRテクノロジー 何をすべきか手に取るように分かる!
HRテクノロジーの導入を検討する際「何から手をつけていいのか…」と悩む担当者は多いでしょう。ここでは人事課題を10の業務分野で整理。何をすべきかがクリアになります。

HRテクノロジー|「人事の業務分野10」から考える導入のポイント|学べる企業事例10社掲載│無料ダウンロード - 『日本の人事部』

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

HRソリューションの傾向と選び方のバックナンバー