プロジェクトの水先案内人となり、組織の本質的な成長へ導く
日本の停滞を打開するマネジメントソリューションズのPMO

株式会社マネジメントソリューションズ 代表取締役社長兼CEO

高橋信也さん

高橋信也さん(株式会社マネジメントソリューションズ 代表取締役社長兼CEO)

プロジェクト型組織は、新たな価値を創出するために必要なものです。プロジェクト型組織をマネジメントする際は目を配る範囲が多岐にわたり、管理も煩雑になりがちなため、頭を悩ませる企業も多いのではないでしょうか。そこで近年、プロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)と呼ばれる機能や組織が注目を集めています。PMOはプロジェクトマネージャーの参謀役として包括的にプロジェクトを支援し、正しい意思決定を促す役割を担います。PMOのプロ集団としてコンサルティング事業を展開する企業が、マネジメントソリューションズ(MSOL)です。創業者で代表取締役社長兼CEOの高橋信也さんに、PMOにかける想いや日本のプロジェクトマネジメントの課題などについてうかがいました。

Profile
高橋信也さん
株式会社マネジメントソリューションズ 代表取締役社長兼CEO

たかはし・しんや/福岡県出身。修猷館高校卒業、上智大学経済学部卒。ゼミは組織論、日本的経営の研究。大学卒業後、アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)入社。 CやC++によるプログラミングから業務設計まで幅広い工程を経験した後、2001年よりキャップジェミニ(旧Ernst&Young Consulting)のマネージャーとして経営管理・業績管理のコンサルティングプロジェクトに携わる。 コンサルタントとしての外部の目からだけではなく、内部の目でマネジメントを経験したいとの思いから、SONY Global Solutionsへ入社。その当時、最年少プロジェクトマネージャーとなる。グローバルシステム開発プロジェクトのPMOリーダーとして活躍。インドにおけるオフショア開発を経験。 2005年 株式会社マネジメントソリューションズを設立し、現在に至る。

MBAに並ぶプロジェクトマネージャーの重要性

高橋さんはコンサルティングファームの出身だそうですね。

学生の頃、就職活動をしながら、将来的に独立できる仕事がいい、と考えていました。縦割りの組織には向いていない性分だから、基本的に大企業は向いていない。それにプロフェッショナル志向も強かったんです。いろいろと調べて、自分にはコンサルタントが合いそうだという結論に行きつきました。

最初に就職したのは、アンダーセン・コンサルティング(現在のアクセンチュア)です。就職活動中に1冊の本に出会い、そこで「BPR(Business Process Re-engineering)」という概念を知りました。システム開発を通じて古いビジネスモデルやプロセスを抜本的に見直し、ゼロから業務改革や組織改革に携わる。そしてトータルで企業変革を推進していく、という役割に感銘を受けました。これはアンダーセンのビジョンでもあり、私はそこに強くひかれたのです。

同じコンサルタントになるのなら、机上の空論で終始するような立場は嫌でした。現場レベルで変革を実感し、ビジネスや組織がダイナミックに変わっていくような働きかけがしたい。そうした思いでシステム開発に携わり、プログラミングも担当していました。今で言う、ITコンサルタントのような役割です。

ここでマネジメントソリューションズ(MSOL)の原点ともいえる、プロジェクトマネジメントに出合ったのですね。

プロジェクトを進めるにあたり、ゴールとフローの設計、資源の確保、スケジュールの作成、進捗管理、課題管理、リスク管理や各部門との調整など、マネジメントの役割は欠かせません。これらをうまくコントロールできるかどうかが、プロジェクトの成否に大きく関わってきます。アンダーセンでは、一般常識のようにプロジェクトマネジメントが浸透していました。

そもそもプロジェクトマネジメントは、アメリカではMBAと同等のスキルと考えられているものです。理論と手法が確立されていて、大学院の専攻や資格制度も設けられています。プロジェクトマネージャーが、専門職として成立しているのです。

裏を返せば、それだけ高度な業務であり、プロジェクトマネージャーの育成には時間がかかるということです。Googleが一昨年発表した、「今後教育に力を入れていく職種」にも挙げられています。データサイエンティストやAIエンジニアと同列の扱いだと聞けば、仕事の重要性と育成の難しさがわかるのではないでしょうか。

大企業も信頼するリピート率95%以上の圧倒的支持

どのようにしてMSOLの創業に至ったのでしょうか。

アンダーセンの後、別の外資系コンサルティングファームへの転職を経て、SONY Global Solutionsに就職しました。30歳を迎えてそろそろ独立してもいいかな、と思っていたのですが、先輩から誘われ事業会社で一度経験を重ねてみるのも悪くない、と考え直したのです。

配属はシステム開発プロジェクトのプロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)です。社内での肩書は、プロジェクトマネージャーでした。チームでは、私と最も歳が近い先輩で40代半ばでしたから、30歳そこそこでの就任は異例だったと思います。

ところが、いざ業務にあたってみると、大企業ならではの難しさに直面します。縦割りの組織体系で必要な情報が行き渡らなかったり、部署間のパワーバランスが作用して正攻法が通じなかったり。社内政治が強く、ふとした弾みでこれまでうまくいっていたはずのプロジェクトが急に硬直してしまうのです。

何よりPMOが設置されているにもかかわらず、プロジェクトマネジメントが社内に正しく浸透していないことは問題だと感じました。プロジェクトマネジメントの基本的な知識が不足していて、こちらの提案を理解してもらえないこともありました。

当時は35億円規模のシステム開発プロジェクトを担当していて、これは難しいと感じたのが正直なところです。欧米ではごく当たり前の考え方が、通用しないのですから。あのときは、辞表を携えながら闘っていましたね。コンサルタントをしていたときから日本の会社に課題を感じていたのですが、優秀な社員が揃うグローバル企業でもそうなのかと、かなり悩まされました。

また、発注者側の立場の大変さにも気づきました。社内に限らず外部のパートナーなどさまざまなステークホルダーに目を配り、それぞれの業務が円滑に回るようにうまく調整していく必要がありました。依頼された範囲をマネジメントすればよかった、コンサルの頃とは勝手が違いました。大変でしたが貴重な経験でした。

事業会社への転職が、ビジネスシーズの発見につながった、ということですね。

そのとおりです。日本の企業はプロジェクトマネジメントやPMOに対する認識がなぜこんなにも弱いのだろう、と憂えていました。組織構造や企業特性によるところもありますが、このままではまずいと感じたのです。

グローバル化が加速するにつれ、日本の企業は世界的な競争にさらされます。また、事業そのものも複雑化している。プロジェクト型の仕事の進め方は、ますます存在感を増していくことは明らかでした。それに企業がプロジェクトマネージャーを自前で育成するには、かなり難しい。PMOのアウトソーシングはビジネスになる、と考えて、MSOLを立ち上げました。2005年のことです。

高橋信也さん(株式会社マネジメントソリューションズ 代表取締役社長兼CEO)

MSOLの事業の特徴について教えてください。

当社はプロジェクトの実行支援に特化した、コンサルティング会社です。プロジェクトマネジメントを熟知したメンバーのサポートにより、迅速で的確な意思決定へと顧客企業を導きます。顧客企業のプロジェクトマネジメントの成熟度を高め、プロジェクトの成功と変革をバックアップするのが私たちの使命です。

一般的にプロジェクトマネジメントやPMOというと、システム開発を連想しがちですが、2020年の時点でMSOLが支援した現場レベルでのシステム開発支援は全体の4割弱。大手企業を中心に、新規事業開発や組織開発など業界や業種、部門を問わず多くの引き合いがあります。またリピート率は95%以上、と継続的な取引になる場合が多いですね。

また、近年はオンラインサービスにも力を入れています。「PMO ONLINE」は、リモートによるマネジメント支援サービスです。常駐型と比較してリーズナブルに、またパートタイムでの支援が可能になります。「PROEVER」は当社のノウハウを集結させた、プロジェクトマネジメントツールです。円滑な進行をサポートするだけでなく、活用することでプロジェクトマネジメントに対する理解も深まります。

日本の会社でプロジェクトマネージャーが育たない根本的な理由

設立から15年以上になりますが、ここ数年で急拡大していますね。

おかげさまで2018年に東証マザーズに、その翌年に東証一部に上場しました。現在、社員は350人以上、売上高は50億円ですが、2025年10月の段階で売上高230億円、社員数1000人以上の規模になることを目標に掲げています。

そのような成長を目指すのは、そのくらいの規模にならないと周囲のニーズに応えきれない、という危機感からです。先ほど、日本の企業はプロジェクトマネジメントに対する認識が弱い、という話をしましたが、別の言い方をすれば「プロジェクトが機能しにくい構造にある」とも表現できます。働き方やビジネスの慣習に大きな問題があるのです。

まず、発注元である大企業や公的機関の丸投げ体質と、下請け構造が挙げられます。新規の開発プロジェクトが立ち上がると、発注元はコンサルティングファームやSIerに概要だけ伝えて、実際の開発や進行などは任せきりにしがちです。発注側にマネジメントする力量がないから、委託先に丸投げしてしまうのです。

この構造の弊害が表れたのが、新型コロナウイルス接触確認アプリ『COCOA』の重大バグの発生と放置の問題です。発注元が自分たちでやろうとしないから、アクシデントに対しても迅速で適切な処置を行えませんでした。

一般的な日本におけるシステム開発プロジェクトにおける人的リソースは、発注側と受注側の比率が3:7となることが多いですが、アメリカでは逆です。7割は自社で賄い、足りない部分を外注で補う、という発想なのです。発注側がプロジェクトのイニシアチブをとり、責任を持って遂行する考えが根づいている表れです。日本も7:3にするのは難しくても、5:5くらいにならないとグローバルレベルの競争では厳しいと思います。

どうして日本の企業は、プロジェクトマネジメントをうまく生かせないのでしょうか。

雇用形態の違いが大きいと思います。欧米ではいわゆるジョブ型雇用、つまり、仕事に対して人を割り当てる雇用形態が定着していますよね。人材の流動性が高く、仕事の内容やレベルに合わせて必要な人材を都度獲得する発想です。つまり、各分野のプロフェッショナルが活躍する土壌がある。特にプロジェクトマネージャーは専門性の高い職業なので、社外で経験を積んだ能力の高い人材が歓迎されるのです。

しかし、日本の場合はメンバーシップ雇用が原則です。人材の専門性という観点では、どうしても弱くなりがちです。社員は自社の業務や政治にさえ精通していれば、それなりに事足りる環境にあります。せっかく新しいスキルや知識を身につけたとしても、うまく生かせないことが多いですよね。製造業優位の産業構造ではそれでもよかったのかもしれませんが、今は違います。終身雇用と年功序列を頑なに守り続けた結果、タコツボ化した社員を量産し、そのツケが回って来たのが今の日本の状況といえます。

すべてを満たそうとするとプロジェクトの機動力は失われる

確かに経済も社会も、日本はあらゆる面で停滞が続いています。

フットワークの重さは、プロジェクトの進め方にも反映されています。プロジェクトマネジメントの理論に、「QCD」と呼ばれるプロジェクト成功の3要素があります。Qはクオリティー(Quality)、Cはコスト(Cost)、そしてDは納期(Delivery)です。QCDのうち、何に重点を置くかはプロジェクトの目的や達成すべきことによって変わってきます。

例えば、製薬会社での新薬の開発や自動車メーカーでの自動運転技術の開発は、クオリティー(Q)が最上位になるでしょう。投資を惜しまず、十分な時間をかけて綿密な研究を続けることで、世の中を一変させるイノベーションにつながります。一方、システム開発では、納期(D)が重要なファクターになってくる。バグが一つもない状態に越したことはないですが、精緻さを求めるほど完成は先延ばしになり、その分コストも積み重なってしまいます。

特に近年のソリューション開発では、よりスピードを重視する傾向にあります。例えば決済アプリのPayPayは、ローンチから2年半で既に70回以上のバージョンアップを行っています。まずはシェア獲得のためにスピードを重視し、バグも致命的なものを除いては目をつぶる。そしてユーザーの反応を見ながら、徐々に改善するやり方で成長する作戦です。

ところが、日本のプロジェクトの多くは、QもCもDもすべて満たしていないとNG、という考えに陥りがちです。昨年のコロナ対策で話題となった「アベノマスク」政策も、QCDの見極めが不適切だったといえます。国民の命を守るには、市場からマスクが消えた4月のうちに、全世帯にマスクの配布を完了させるべきでした。何よりもDを優先すべきだったのです。

しかし、相次ぐ批判からコストを抑え込もうとしたり、品質を担保できない、と見直しを行ったりしたために、配布するのに多くの時間がかかってしまいました。マスク不足が解消してから家に届いたって、まったく意味がない。いかにプロジェクトマネジメントができていないかを象徴する出来事でした。

実際の取引でも、クライアントに助言することはあるのでしょうか。

ある大手企業のプロジェクトのお手伝いをした際に、スケジュールの見直しを提案しました。その企業には、今までリスケジュールの概念がありませんでした。創業後初めてのことだったようで、クライアントからはとても驚かれましたね。

別のクライアントでは、クライアントのプロジェクトマネージャーはQCDのすべてを守ろうとして、がんじがらめになっている状態でした。そのため「何を最優先にすべきなのか? ここではDでしょう」と、率直に申し上げましたね。今振り返ると、辛辣なことも言いました。「なぜその判断ができないのか?それはあなたのリーダーシップ力が欠落しているからですよ」と指摘し、その場が凍りついたのを覚えています。

ただ、本来はそれくらいプロジェクトマネージャーには権限があるはずで、同時に腹を括ってリーダーシップを発揮すべきポジションなのです。私たちはあくまでも、プロジェクトマネジメントを支援する立場。やはり最終的にはクライアントの力量が成否を分けるということは、長年さまざまなプロジェクトを支援してきて実感しています。

自律的キャリア成長を促す採用・教育・評価のしくみ

貴社について、もう少しお聞かせください。急拡大するうえで、どのように人材の確保とサービスの質の担保の両立を実現しているのでしょうか。

私たちは創業時から、採用・教育・評価を重視した組織づくりに励んできました。まず採用については、新卒、キャリアにかかわらずPMOとしての適性の見極めに注力しています。素養面では、視野の広さや気遣い、また好奇心の旺盛さや素直さなどを見ています。専門家タイプというよりは、関係者に気を配りながら周囲と調整できる人が向いている仕事です。

能力面については、特にキャリア採用の場合に、入社後どの程度の活躍が期待できるかを適切に測ることが大事になってきます。採用する人材は、全員が経験者とは限りません。また前職がプロジェクトマネージャーであっても、所属していた組織や案件の規模や内容によって経験値がまったく変わってきます。年齢や肩書で判断することは、ほぼ不可能です。

そこでこれまでのキャリアを丁寧にひもとき、当社が設定する9段階のキャリアバンドのどのレベルに相当するかを適切に判定します。コンサルティングは人そのものがサービスの質を決め、顧客満足に反映されます。顧客が支払う対価に見合う価値を提供できるよう、PMOに特化した採用システムを構築できていることは、最大の強みだと感じています。

高橋信也さん(株式会社マネジメントソリューションズ 代表取締役社長兼CEO)

教育や評価はどのような特徴がありますか。

毎年、年間で180本の研修を開催しています。ここ1年は感染症対策でオンラインでの開催ですが、それでも2日に1本のペースを保っています。プログラムの8割以上を内製しています。実務を通じて培われた経験やノウハウを組織全体で共有することで、学び合うカルチャーの醸成にも一役買っています。

評価については年功制度を採用せず、本人の能力と成果を極力フラットに判定する仕組みを用いています。私が外資系コンサル出身ということもあり、そのときの評価法を参考にしながらつくりました。第三者が評価対象者に関するファクトを集め、単に「いいやつだから」とか「がんばっているから」といった、上司の主観的な判断が入らないような設計になっているのが特徴ですね。顧客からの評価も取り入れ、キャリアバンドと照らし合わせて査定しています。

不満が出ることはないのでしょうか。

当社には、「自律的キャリア成長」という人材に対する考え方があります。この考えの根本には、会社という場の概念を正しく捉えて欲しい、という願いが込められています。極論を言えば、会社はお金を稼ぐ場所であり、学校のような場所とは違うのです。つまり、同じところに長くいることが大事なのではなく、自身が描くキャリアビジョンを実現させるために会社を手段として使うことに意味があるのです。

経営側は、希望する未来に近づくための機会をできる限り提供したい、と考えています。しかし、支援には限界があります。会社の事業と将来像があまりにもかけ離れている場合は、転職も視野に入れて行動することが大事ではないでしょうか。当社でも「ベトナムで雑貨店を開きたいから」と、退職した社員がいました。とても優秀な人でしたから会社としては惜しかったのですが、やりたいことが明確だったので喜んで送り出しました。

ただ、新卒の場合は社会に出たばかりですから、まだ右も左もよくわからない状態ですよね。実際に働いてみることで見えてくることもたくさんあります。一方で、会社は採用にそれなりの投資をしていますから見合うだけの働きを期待しています。その点も含めて、3年頑張れば会社にも貢献したということで卒業と考える、というメッセージを伝えていますね。

インサイトを与える数秒に最大の価値が生まれる

「コンサルティング」という仕事の本質は何だとお考えですか。

コンサルティングは知的労働です。工場のように、時間と生産性が比例しているわけではありません。「御社の課題は○○であり、こう解決すべきですよね?」と指摘するほんの数秒、顧客に気づきをもたらした瞬間に、最大の価値が生まれる世界なのです。もちろん、そのためのリサーチや分析などの下準備は必要です。しかし、それ自体に価値があるわけではありません。ましてや、パソコンの前で何時間もかけて企画書をつくりあげることが、コンサルタントの役割ではないのです。

しかし、日本ではこの考え方がなかなか通用せず、もどかしい。コンサルティングという言葉自体がインフレを起こしていて、「その道のエキスパートがクライアントの相談に乗り、インサイトを与える」という本来の役割からかけ離れている気がしています。

当社では「残業ゼロ」宣言を打ち出しています。繁忙期や緊急の対応などがありますから、まったく残業しないわけではありません。しかし、時間と生み出す価値の関係を突きつめると、残業ゼロは不可能ではない。理想は欧米型のタイムマネジメントです。時間で拘束するのではなく、仕事と家のことを考えながらうまく1日を配分し、人生を充実させながら成果も上げる働き方こそ、ナレッジワーカーには求められていると思います。真のプロフェッショナルなら、必要なことには時間を使い、無意味に時間を費やさない働き方をめざすべきです。

MSOLの今後の展望をお聞かせください。

まずは日本にプロジェクトマネジメントを定着させたいですね。将来的には政府の予算執行にかかわるプロジェクトを支援できたら、と思っています。欧米や中国が機動力に富んでいるのは、さまざまな要素に優先順位をつけて前に進むことができるから。プロジェクトマネジメントは、硬直状態にある日本の社会や経済の起爆剤となるはずです。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

日本企業、特に大企業の変革のカギは、人材育成と評価にあると考えています。本来は経営者がリーダーシップを発揮する領域ですが、実際は人事が押しつけられている企業も多いのではないでしょうか。それゆえに、HRソリューションに対する期待やニーズが高まっているのだと思います。

ソリューションの提供は、悩める人事を助ける手段となり得ます。しかし、先ほどコンサルティングの本質についてお話ししたように、表層的な効果では意味がない。よりよい組織づくりに向け、本質的な部分で貢献するものであるべきです。プロセスだけをがんばっても意味がありません。いかに顧客企業の人事や経営者に気づきやインサイトを与えられるか、です。私たちMSOLも、顧客企業の組織や風土を変える力になれるように日々研さんしています。一緒に頑張っていきましょう。

高橋信也さん(株式会社マネジメントソリューションズ 代表取締役社長兼CEO)

(取材:2021年5月6日)

社名株式会社マネジメントソリューションズ
本社所在地東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー29F
事業内容マネジメントコンサルティング、プロジェクトマネジメント実行支援、マネジメントトレーニング、プロジェクトマネジメントソフトウェアの提供
設立2005年7月

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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