少子化、産業構造の変化――
「人の価値」がより高くなる時代 
人材サービスこそが高付加価値を生むビジネスになる

ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社 代表取締役社長

渡部 昭彦さん

成功への近道は日々の仕事に没頭し、常に問題意識を持つこと

 現在の人材サービス業界をどのようにご覧になっていますか。

確実に言えるのは、少子高齢化の傾向は今後数十年続く、ということ。また、産業構造が変化して、情報化社会がさらに進展していくのも間違いありません。つまり、日本の労働市場は、量的にも質的にもタイトになっていきます。付加価値の根源である「人の価値」が非常に高くなる時代が到来するのです。人材サービスはその「人」に関わるビジネスですから、当然、高付加価値を生みます。業界が質的にも量的にも拡大していくことは確実でしょう。

ただ、その拡大を誰が担うのかは別問題。たとえば人材紹介も、そのうち人工知能(AI)が行うようになるかもしれません。求人サイトやSNSとAIとの組み合わせに、やがて置き換わっていく可能性は十分にあると思っています。ほかの人材サービスも同様です。今後、テクノロジーは経営を大きく変えていくでしょう。社会全体では人材サービスが伸びていくと思いますが、その中心はAIやロボットに代替されるかもしれません。人材サービスが扱う対象は本質的には情報ですから、ITとの親和性はもともと高いんです。逆に、そこにチャンスがあるとも言えます。

しばらくは量を追い求めていく総合大手と、当社のようにハイエンドに絞り込んで質に特化していく企業とに二極化していくのでしょうが、その先はやはり環境の変化に対応できたところが生き残ることになるでしょう。

 最後に人材サービス業界の後輩の皆さんにメッセージをお願いします。

「企業は人で決まる」。これは私の経験からも断言できます。その「人」に関わる人材サービス業界は、企業の成長にとって今後いっそう重要な存在になっていくでしょう。その上で環境変化に対応し、AIなど新しいテクノロジーを取り入れていく余地が大いにある、非常にチャレンジングで面白い業界だと思います。

人材サービスに限りませんが、ビジネスで成功するために必要なのは「日々の仕事に没頭する」ことです。「お金のため」といったことはいったん忘れるくらい、徹底的に没頭して働いたほうが自分の経験になります。そして、もう一つは「考える習慣を身に付ける」こと。仕事や世の中で起こっていることの背景、なぜこうなるのかという問題意識を忘れないでほしいですね。私自身もこの二つは常に意識してきました。懸命に働きながら、たくさん本も読んだし、人の話も聞きました。目の前の仕事に必死で取り組みながら、もっと大きいバックグラウンドを捉えることを並行して行う。これらが、変化のスピードが速い時代にますます必要になってくるのではないでしょうか。

2017年8月2日 東京・港区のヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス本社にて

(2017年8月2日 東京・港区のヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス本社にて)

社名ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社
本社所在地東京都港区芝5-33-7徳栄本館ビル7階
事業内容人材紹介事業、メンタルヘルスケア事業
設立平成21年4月1日

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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