より良い教育をより多くの人に
――志に導かれて四半世紀
社会に変革と創造を促す
グロービス流MBA教育の真髄とは

グロービス経営大学院 学長/グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

堀義人さん

授業が不満なら全額返金――より多くの人により良い教育を

渋谷・道玄坂の3時間2万円の貸し教室、受講生はわずか20名――それが将来、グロービス経営大学院へと発展する、前身の「グロービス・マネジメント・スクール」の始まりでした。「MBAのエッセンスを短期間に、低価格で、夜間土日に学べる学校」をコンセプトに、受講料はビジネスパーソンのポケットマネーの範囲内に抑える一方、教材にはHBSから直輸入した「ケース」を採用し、講師陣はビジネスの第一線で活躍するMBAホルダーを揃えました。すべては、HBSのキャンパスで思いついた、「より多くの人に、より良い教育機会を提供したい」という自らの志を具現化するためです。

 まさにゼロから始まった教室を国内最大のビジネススクールにまで成長させた要因、グロービスならではの強みとは何でしょうか。

堀 義人さん インタビュー photo

第一は、徹底した顧客本位の戦略による、受講生満足度の高さでしょう。たとえばグロービスでは、授業や企業研修の内容に不満があれば、授業料を無条件で全額返還する「サービス保証」制度を、創業当初から実施してきました。教育サービス事業の分野では、世界的に見てもグロービスだけだと思います。もちろん、不満があれば原因を分析し、カリキュラムなど随時改善してきました。講師陣もシビアに評価し、一定基準に達しない場合は原則、登壇をやめてもらっています。それだけ、教育サービスの「質」にコミットしているわけです。

 そうした質の高いMBA教育がいまや国内で受けられるのですから、留学する以外に選択肢のなかった頃と比べると恵まれた時代になりました。ただ、その分、学ぶ側の志や貪欲さという点では物足りないとの声もあります。

たしかに留学する人が減ったという話は聞きますし、若い人が海外へ出たがらないとか、志が高くないといった批判もあるのかもしれませんが、僕はそうは思いません。むしろ、国内で良質の教育が提供されれば、これまで仕事の都合や経済的理由、女性ならさまざまなライフイベントに縛られて、留学したくてもできなかった人たちが学ぶことを諦めずにすむ。仕事や子育てを続けながら、MBAを目指すこともできる。これは、人材不足が進む日本社会にとって、非常に大きなメリットではないでしょうか。

それに実際は、起業家もどんどん若年化していて、優秀な人は20代からたくさん出て来ているんですよ。世界的な流れを見ても、新しいリーダーのインターフェイスはソフトになってきています。昔は起業家や経営者といえば、「俺についてこい」的な親分肌のイメージでしたが、今は必ずしもそうではありません。それでも、彼らの内面の志や意識の高さは、海外へ勇んで出ていった旧世代のリーダーたちと変わらないと思います。

もっといえば、現在、グロービスが提供している全日制の英語MBAプログラムでは、受講者の94%を海外からの留学生が占めています。教育環境さえ整っていれば、海外へ出て行かなくても、切磋琢磨する仲間が海外から集まってきてくれる。新しいリーダーを育てる上で欠かせない、ダイバーシティあふれる学びの場が、そこに生まれるわけです。

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