HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント 代表取締役社長

松園 健さん

人材紹介専業の企業として唯一、東証一部に上場
「両面型」ビジネスモデルのプロフェッショナル集団を率いる [4/4ページ]

(2015/12/24掲載)

人材サービス業界の認知向上が必要

―― 2015年に東証一部に上場しましたが、今後、どのような方向に進むお考えですか。

2006年にジャスダックに上場しましたが、これは会社としてのスタートラインでした。今回、東証一部に上場したのは、資金調達ではなく、中身のある会社としての認知度を上げることが目的です。日本には150万社くらいの会社があると言われていますが、東証一部上場企業は約1900社。その中の1社となることは、大きな認知度の向上となります。また、人材紹介の専業で上場している会社はほかにありません。

問題は、これからです。これまでは、人材紹介業に対する世の中の認識が不確かでした。よく分からない業界だという認識を持っていた人も少なくありません。今後はこれを変えないといけない。当然、人材のレベルを向上させ、ビジネスの規模を拡大しなければなりませんが、そこで重要なのは生産性(成約率、成約数)を向上させることです。これを実現することによって、顧客に支持されることになるからです。

―― 人材紹介業が広く認知されることによって、企業における人材の調達の仕方が変わり、定期採用でコアとなる人材を採用・育成するのではなく、事業展開のその時々で、最適な人材を外部から調達することも増えてくるのではないでしょうか。

いかに良い人材を呼び込んで、企業のニーズに合わせて紹介し、決めることができるか。ここに人材紹介業の価値が問われます。そうした際に最適な人材を紹介できるのが、我々の最大の強みです。マス的にマーケティングを行って人を大量に集め、その中から紹介するのではなく、あくまで人と企業のニーズを踏まえ、お互いの顔が見える形で、一対一での最適なマッチングを目指しています。「両面型」のスタイルを取っているのも、この点を重視しているからです。

今、外資系企業はもちろん、日系企業のグローバル展開が急速に進んでいます。グローバルの人材ニーズが大企業だけでなく、中堅・中小企業でも非常に高くなっており、そのような企業に対してグローバル対応ができる人材を紹介するのが我々の大きな強みです。

―― ところで、現在の日本企業の人事部門について、どのような課題を感じていますか。

人事部門が、経営と結び付いていません。そもそも人事部門は、経営戦略を遂行するための人事戦略を担当する部門。それができる人事にならないと、時代から取り残されてしまいます。もちろん、コンプライアンスへの対応など、法令に沿った実務を行うことは大切です。しかし実務的なことだと、従来のやり方を踏襲してしまう。保守的な対応となり、変革は進みません。今、人事部門に求められるのは、経営層や事業部門長などのビジネスを遂行する人たちに寄り添った形で人事戦略を進められるかどうかです。

そして、グローバルの中で日本企業の優位性は何かと言うと、一つは人材です。しかし、その人材が海外で十分に生かせているのか、疑問が残ります。また、グローバルレベルで人を採用しようとした場合、仮に今の日本の人事戦略・施策を持っていっても、良い人材は採用できません。どちらかと言うと、海外では日本企業は不人気なのです。これも、人を生かす仕組みになっていないからです。このような問題・課題がある以上、人事部門が経営をリードし、提言する必要があります。

どの企業でも、これからの事業展開において、それを推進できる人材が欲しいわけです。だからこそ、人材紹介業の我々が、特に当社は海外展開に強みを持っていますから、人事部門の人たちと一緒になって、人材調達を含めたこれからの人事戦略を考えていく必要があると認識しています。

―― その意味からも、人材紹介業界こそが、これからの企業の人事部門のパートナーになれるといいわけですね。ところで、現在の「雇用環境」や「人材市場」の環境をどのように捉えられていますか。

人材を取り巻く指標を見ると、景気は確実に良くなっています。企業は「アベノミクス」をうまく利用し、その流れに乗っていかなくてはなりません。もちろん、グローバルレベルで見ると、いろいろと問題は発生していて、不安要素はあります。永遠に「アベノミクス」景気が続くわけではありません。だからこそ、グローバルに展開するための戦略を考える必要があるのです。

今、日本は大きな借金を背負っている一方で、個人や会社は潤沢な資産を持っています。まさにキャッシュリッチの状態にあるわけです。しかし、そのキャッシュリッチをグローバルレベルで展開していかないと、気が付いたら日本の抱える借金と相殺されて、何も残らないという状況に陥ってしまいます。

松園健さん インタビュー photo

TPP(環太平洋経済連携協定)によって海外との垣根がなくなっていきます。それに対して、日本企業は適応しなくてはなりません。健全に人や事業に対して投資をしながら、成長戦略を描くことが求められているのです。また、地方でもキャッシュリッチの企業はたくさんあります。しかし、グローバルに展開したくても、人材がいないから展開できないという企業が少なくありません。我々としても、そういう企業にグローバルを推進できる人材を紹介していきたいと考えています。そして、グローバル展開を含めた、イノベーションをいかに起こしていくか。そこに、新しい価値を見出していかなくてはなりません。

もちろん、グローバル企業では「タレントマネジメント」によって、いろいろな国でビジネスを経験させ、ローテーションしながらグローバルリーダーを育てていこうとしています。ただ、これだけでグローバルに展開するための人材を確保できるわけではありません。内部的な人材育成をしながら、外部から適任者を採用し、両輪で回すことが必要だと思います。

―― 最後に、人材サービス業界に携わっている方々、特に若い人たちに対して、メッセージをお願いします。

人材サービスは、あくまで「人材」がいるからこそ成り立つビジネスです。ところが、人材サービス業界で働く人の中には、自分に対して身の丈に合っていない過大評価をしている人がいます。特に人材紹介業界の場合、あくまで「人材」あってこその我々ですので、決して自分が偉いわけではありません。少し自分の仕事がうまくいったからといって、「自分は仕事ができる」と勘違いをしている人がいます。特に若い人たちが過信して、安易に「年収がいいから」と同業種に転職する人、また独立するケースをよく見かけます。そんなに単純なサービスではありません。もっと使命感を持って成長することに真摯であることを肝に銘じてほしいと思います。

世の中が大きく変わっていく時に、特に人材が重要な存在です。それを担っている我々がが自負を持って、高いレベルのプロフェッショナルを目指すわけです。一方で、常に真摯(しんし)な態度を持ち、どんな人に対しても謙虚に接する姿勢を持たないと、人材紹介業界の人材のレベルが上がっていきません。

我々の業界は、まだ未成熟と考えます。特に人材紹介の場合、産業と言うよりも、個人商店の集まりのような状態です。今後、レベルを上げさらに規模も大きくし、認知を上げ、成熟した産業に変えていかなくてはなりません。そのためにも一人ひとり、レベルをしっかり上げていくことがとても重要だと思います。そうした将来を担うのが、まさに今の若い世代の人たちの役割なのです。

松園健さん インタビュー photo
(2015年10月26日 東京・千代田区・ジェイ エイ シー リクルートメント本社にて)
■企業データ
社名 株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント
本社所在地 東京都千代田区神田神保町1-105番地 神保町三井ビルディング14階
事業内容 人材紹介事業
設立 1988年
株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント ロゴ

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