経営者は「会社の所有者」ではない
良い人材を集め、
会社のポテンシャルを最大化することが使命

株式会社セルム 代表取締役社長

加島禎二さん

既成のソリューションを持たず、顧客の「固有解」を追求する

 入社13年目でトップになられましたが、まず何から手がけられたのでしょうか。

関西支社で理想にしていた「ワンチームでの営業」や、それによる「顧客とのパートナーシップ」という方針を明確に自覚し、全社に広げることに取り組みました。しかし最初の2年くらいは、本当に手探り状態でもがき苦しみましたね。その頃のことは、記憶が飛んでしまってあまり覚えていないくらいです。3年目くらいから、自分が何をやるとどんな結果につながるのか、やっとわかってきた感じです。

 「チーム」が重要なキーワードになっていますが、具体的にはどういった動きをするチームなのでしょうか。

株式会社セルム 代表取締役社長 加島 禎二さん

たとえば、一人が3社の担当顧客を持つのではなく、三人のチームが9社の顧客を担当するというイメージです。メイン担当は決まっていますが、みんなで同じものを見て、同じ体験を共有することで、身体感覚レベルでのチームワークを育てていきます。これがあると、何かあればすぐにサポートしあえるし、顧客にはそれぞれの得意分野を生かしてレベルの高い提案ができます。チームこそが、顧客とのパートナーシップのベースとなる考え方です。

その上で、顧客それぞれの「固有解」を追求しようという姿勢。これがセルムの最大の強みだと思っています。一般的には、課題解決といっても、結局は自社が持っているソリューションを提案しているだけのケースが多いのではないでしょうか。しかし、私たちは既成のソリューションに縛られません。常に「顧客と一緒に、顧客固有のソリューションを創っていく」のが特色です。

この手法が最も生きるのが、人材開発の中でも「次世代の経営人材をつくっていくプログラム」です。どこの企業でも、最もレベルの高い内容を求められるので、よくあるMBAプログラムなどを切り貼りしても、絶対にぴったりのものはできません。それぞれの顧客が理想とするものを、一から丁寧につくり込んでいく必要があるのです。

こうした次世代経営人材のプログラムは、ほとんどの場合、経営トップがオーナーシップを持ちます。そこで我々の評価が得られると、今度は「ミドル層の教育を何とかしたい」というような形で広がっていきます。さらには、本社人事以外の事業部門や事業所、海外拠点からも、ご相談をいただけるようにもなっていきます。こういった広がりに対応する際に、私たちの持つ約1000人のコンサルタントのネットワークがものをいいます。この流れをつくっていけるのがパートナーシップ戦略なのです。そして、この戦略を実現させるのが「チームとしての動き」であると考えています。

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