HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長

小室 淑恵さん

残業ゼロだからこそ時間あたりの成果を最大化できる!
日本企業の厚い壁を切り崩す、ワーク・ライフバランスの伝道師

(2013/9/13掲載)
事業家としては、900社超の企業にワーク・ライフバランス実現のためのコンサルティングを提供。政府機関委員など複数の公職も兼任し、大学生を対象にプレゼンの講義までこなすという超多忙の身でありながら、毎日8時間労働で残業ゼロを実践する二児の母がいます。株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さん。働く女性のロールモデルとしても絶大な支持を集める小室さんは、「限られた時間の中で“ワーク”の成果を最大化するために“ライフ”を充実させるのがワーク・ライフバランスの意義」だといいます。働き方の問題に目覚めた学生時代、ワーク・ライフバランスの大切さに気付いた前職時代、起業、そして現在の取り組みから今後の展望に至るまで

――語る言葉には社会の厚い壁を切り崩してきたイノベーターならではの説得力がありました。

プロフィール

小室淑恵(こむろ・よしえ)●900社以上の企業へのコンサルティング実績を持ち、残業を減らして業績を上げる「働き方見直しコンサルティング」の手法に定評がある。『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)など著書多数。自身も2児の母として子育てをしながら効率よく短時間で成果を上げる働き方を実践。2009年金沢工業大学客員教授に就任。内閣府「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」委員など複数公務を兼任。

活躍の原点は期待されずにすねていた自分との決別

――小室さんが起業されたのは、なんと初めての出産からわずか3週間後! やはりそれだけ、ワーク・ライフバランス(WLB)普及にかける思いが強かったのでしょうか。

そうですね。思いというか、使命感というか、このままでは日本はまずい、私がやらなきゃ、と。最初にそれを意識したのは前職の資生堂時代です。当時、私は社内のビジネスモデルコンテストで優勝し、育児休職者の復職支援プログラムを販売する社内ベンチャーを運営していたのですが、起業したいとかそういう気持ちはまったくなくて、そのビジネスを資生堂内で極めていければと思っていました。

育児休職者向けサービスですから、対象として想定していたのは、女性です。ところが営業で何百社と回るうちに「男性社員が介護で休まざるをえなくて困っている」「うつ病で休む男性社員が増えている」といったお話をうかがい、また、育休から戻った女性社員も職場の長時間労働についていけず、結局辞めてしまうといった実態を知って、そうか、女性の復職支援だけじゃダメなんだと痛感したんですね。育児や介護との両立を阻み、心身の健康をむしばむ職場の長時間労働そのものを変えなければ根本的な解決にならないんだと。その気づきが、起業へと至るきっかけの一つでしたね。もう一つは、社内ベンチャーのプレゼン準備で各種データにあたっていたときにいわゆる「2007年問題」を知ったことです。

――07年から団塊世代の一斉退職が始まり、労働力人口の激減が予測されることから、さまざまな混乱や企業への悪影響が指摘されました。

もう焦りましたね、問題に気づいたのが04年。07年までは、あと少ししかない、それまでに男性だけではなく、女性はもちろん子育て中の人も介護中の人も、みんな労働力として活用できる体制をとらなければならないのに、日本企業はなぜこんなにぼんやりしているんだろうと、一人で熱くなっていました。私に妙な使命感がおりてきて、本当に勢いだけで辞表を出してしまったんです。

――それがワーク・ライフバランス社設立の原点なんですね。では、ビジネスパーソンとしての小室さんご自身の原点とは何でしょうか。

実は私は大学時代の途中までずっと専業主婦志向で、周囲にもそう宣言していました。日本の社会では、女性はいくら頑張っても活躍できない、むしろおとなしくしていたほうが愛されるんだということに、多くの女の子はかなり早い段階から気づくんですよ。期待されないことにすねていたんです。そんなある日、たまたま聞いた国際政治学者の猪口邦子さんの講演で、これからは共働きが当たり前の時代だから、子育てをしながら働く女性の視点や発想にこそ期待が集まるという展望に触れて、目からウロコが落ちました。期待されるなら頑張りたい。本当は頑張りたいのに、期待されなくてすねていた卑屈な自分を変えてみたい。そう強く思ったんですね。ただし、それまで勉強してこなかったし、このまま就活したら、惨敗必至だろうと。

そこで1年休学し、人生を変えたいと思い渡米。米国での経験は、私に「女性の働き方を変える」というテーマを与えてくれました。滞在先のシングルマザーの女性が、育休中にもかかわらず、eラーニングで資格を二つも取り、育休明けに昇格して職場復帰する姿を目の当たりにし、女性が子育てしながら活躍できる社会の実現に貢献したいという夢を持ちました。その思いを軸に据えて就活に挑み、最終的に選んだのが資生堂でした。女性が本当に活躍している企業はまだ少なくて、最終面接まで面接官に女性が含まれていたのは資生堂1社だけでしたね。その後、内定してから入社するまでは、ITベンチャーでインターンとして働きました。

――なぜインターンシップで、IT企業を選んだのですか。

米国で出会った女性が育休中にeラーニングでキャリアアップを果たしたのを見て、ITこそが働き方を変えうるツールだと確信していたからです。とはいえ、最初は希望していた企画の仕事ではなく、営業として、電話でのアポ取りばかりさせられました。でも、ここを乗り越えなきゃ次に進めないと覚悟を決めて、とにかく目の前の仕事に120%の力を尽くしていたら、アポイントがどんどん取れるようになり、社長に認められました。営業を任され、任されるとうれしいからまた頑張って、営業成績の9割近くを私一人で売り上げました。そして最終的には、企画の仕事まで任せてもらえるようになったんです。やりたい仕事にたどりつくために、目の前の仕事に120%の力を尽くす――この1年にも満たないインターンシップでの経験が、資生堂時代から現在まで変わらない、私の仕事哲学の礎を築いたといっても過言ではありません。

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