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一般社団法人 プロティアン・キャリア協会

プロティアンで組織と個人のより良き関係性構築と個人の主体的なキャリア戦略支援による社会貢献を行う団体。

時代の変化に対応する「理論+実践」のための方法論
「現代版プロティアン・キャリア」の普及・推進活動を行う

一般社団法人プロティアン・キャリア協会
代表理事:有山 徹さん(ありやま・とおる)さん
1970年代にアメリカで提唱された「プロティアン・キャリア」は、キャリアコンサルティングに関わる人たちにとっては、すでによく知られている理論でしょう。この理論に「キャリア資本論」という考え方を導入、実践のための方法論とセットにすることで、さらに発展させたのが法政大学の田中研之輔教授による「現代版プロティアン・キャリア」です。キャリア自律が大きな潮流となる中で、その指針のひとつとして着目する人が急速に増えています。この「現代版プロティアン・キャリア」の普及・推進を目的として活動しているのが一般社団法人プロティアン・キャリア協会です。その概要や活動内容、日本におけるキャリア開発の現状などについてうかがいました。

変化の時代に注目される「プロティアン」

― まず貴協会の設立趣旨をお聞かせください。

有山さん photo『日本の人事部』で「タナケン教授の『プロティアン・キャリア』ゼミ」を連載している法政大学・田中研之輔教授が、2019年8月に『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』という著書を出版しました。そこで提唱された「現代版プロティアン・キャリア」の考え方を日本に広く普及させること、それによって組織と個人の関係性をより良いものにしていくことが当協会の設立趣旨です。

― 「現代版プロティアン・キャリア」について改めてお聞かせください。

「プロティアン・キャリア」という概念自体は、1976年にアメリカ・ボストン大学マネジメントスクールのダグラス・T・ホール教授が提唱した、「環境の変化に応じて自分自身を変化させていく」という柔軟なキャリア形成の考え方です。キャリアコンサルティングの勉強をした人なら多くの人が知っている理論のひとつといってもいいでしょう。日本でもキャリアコンサルタントの資格制度ができてから、「変化の時代」に対応した考え方としてより知られるようになっています。

ホール教授の「プロティアン・キャリア」の特色は、主に「心理的成功」という内的基準を軸にキャリアを捉えなおしたところにあります。心理的成功は、今の言葉でいえば幸福感、ハピネス、ウェルビーイングなどに置き換えることができるでしょう。さらに、職業的なキャリアだけでなく「ライフ」も含めた形で、「人生を生きる過程全てをキャリア」と定義づけました。それまで外的基準、たとえば「出世」や「年収」といった職業キャリアの側面からのみキャリアを捉えていた1970年代のアメリカでも、当時はかなり画期的な考え方だったといえます。

ホール教授は、この「心理的成功」に「アイデンティティ」「アダプタビリティ(適応能力)」を組み合わせ、「変化の時代」には個人のキャリアも社会に適合していく必要があるとしました。これが一般的な「プロティアン・キャリア」の考え方です。

これに対して、田中教授の「現代版プロティアン・キャリア」は、ホール教授の理論を継承しつつ、具体的な実践手法を組み合わせて、働く人たちがより「実践しやすい」ように再構成したものです。田中教授の著作『プロティアン』や『ビジトレ』にはワークシートが多数掲載されていますが、それはいくら理論を知っても行動変容が起こらなければ意味がない、という問題意識が強くあったためです。このように現場・実践を重視しているのが、「現代版プロティアン・キャリア」の最大の新しさです。

もうひとつのポイントは、「キャリア資本論」という考え方を新たに取り入れたことです。キャリアを、従来の「選択するもの」から「蓄積するもの」へと捉えなおすことで、変化する時代により対応しやすいものになっています。キャリア資本論には、2018年にイギリスのリンダ・グラットン氏が著書『ライフ・シフト』の中で提唱した「無形資産」の考え方が反映されており、これも「現代版プロティアン・キャリア」の新しさのひとつだと思います。

■従来の「プロティアン・キャリア」と現代版の「プロティアン・キャリア」

図:従来の「プロティアン・キャリア」と現代版の「プロティアン・キャリア」

― 貴協会の設立から現在までの沿革をお聞かせください。

設立は2020年3月31日です。同年5月に個人の主体的なキャリア開発を支援する「プロティアン・キャリア戦略塾」、8月からは「プロティアン研究会」、10月からは法人向けの「プロティアン化組織変革サービス」をそれぞれスタートさせました。12月にはサイバーエージェントのCHO曽山哲人氏をお招きして200人以上を集めたキャリアイベント「第一回プロティアン・フェス」を開催、2021年3月にはユニリーバ・ジャパンCHRO島田由香氏と「キャリア自律と幸せな働き方について」をテーマとしたセミナーを行いました。

2021年からは資格・検定制度を順次リリースしています。個人向けの「プロティアン・キャリア検定」、法人向けキャリア研修/組織開発の「プロティアン認定ファシリテーター」です。

― 貴協会の会員・組織についてお教えください。

「現代版プロティアン・キャリア」の提唱者である田中研之輔教授と私が共同で代表理事を務めています。法人パートナー会員は2021年3月現在で9社。一方、個人会員にはさまざまな制度があります。「プロティアン戦略塾」の塾生、「プロティアン研究会」に参加されているキャリアコンサルタントの皆さんに加え、個人のパートナー会員、今後増えていく認定ファシリテーターの方々など。現在は200~300人いらっしゃいます。

キャリア関連企業とのアライアンスも強化

― 貴協会の主な活動についてお聞かせください。

コアとなるのは「現代版プロティアン・キャリア」の考え方を広く普及させる活動です。現在、個人向けと法人向けにサービスを提供しています。

個人向けサービスの代表が「プロティアン戦略塾」です。受講者の皆さんには、プロティアンの考え方を学び、同時に実践することで自身のキャリア形成につなげてもらいます。それによってキャリア開発面での成果、心理的成功を実感してほしいと考えています。

法人向けサービスでは「プロティアン研修」や「組織変革サービス」などを通して、変化に強い組織をキャリアの視点から開発支援しており、プロティアンを理解した認定ファシリテーターを育て、その方々が企業でセミナー、研修などを行うことを通して、より広く「現代版プロティアン・キャリア」の考え方を浸透させていくことをめざしています。

プロティアンは「何歳からでもキャリア開発はできる」という考え方なので、基本的に対象年齢は問わないのですが、これからまだ数十年は働く期間があり、同時にライフイベントを迎える人が多いという面からも30代~40代の世代は重要だと考えています。働く・生きることにポジティブな大人の姿を子どもたちに見せることは、将来を担う世代への波及、今後の日本社会を変えていくという点からも非常に大きな意味があるためです。

今後は若年層への「キャリア教育」にも注力していきます。具体的には小・中・高・大の学生向けの啓蒙活動です。ただし、これは直接的には収益のあがらない活動。そのため、既存の個人向け・法人向けサービスでいただいた費用の一部を、将来の若い世代向けの活動に振り向けていくスキームを考えています。

― セミナーや研修を行うファシリテーター育成も重視されていますが、従来型のキャリアコンサルティングとは何が違うのでしょうか。

従来型のキャリアコンサルティングをシステム開発用語で表現するなら「ウォーターフォール型」となるでしょう。アイデンティティを重視して、「自分は何がやりたかったのか」と過去を振り返り、キャリア目標を明確にしていくことが軸になっていました。しかし、プロティアンでは変化を前提とする時代にふさわしい「アジャイル型」が基本となります。「まずは行動してみて、その中で自分のアイデンティティに気づいていく」というスタイルです。変化の時代には、過去だけではなく未来をより見据えて行動していくという考え方が重要だと考えるのです。

そこで、プロティアンでは、いわば企業が戦略を考えるように、個人もマーケットでどのようなポジショニングを狙うのかを重視します。今の時代、まず大切なのは個人ブランディングなので、SNSでの発信などを通じて社外にまで広がる「個人としての社会関係資本」の蓄積を実践していくことなども重要となります。

つまり、これからのキャリアコンサルタントは、こうした実践活動へのアドバイスを自らの経験をベースに行っていく必要があるのです。SNSでどんな発信をすればいいのか。社外のキーパーソンとどう関係をつくっていけばいいのか。経験したことがない人にはリアルなアドバイスは難しいでしょう。しかも、明確な答えがない時代なので、教えるよりも「伴走する」、自分も取り組みながら一緒にやっていこう、というスタイルにならざるをえません。そこが従来型のキャリアコンサルティングとの大きな違いといえます。

「現代版プロティアン・キャリア」のメンターは、プロティアンの考え方を理解しているだけでなく、自らも個人ブランドを高めていくキャリア自律に向けた実践をすることが不可欠になってくるのです。

― 企業が貴協会に加盟するメリットについて教えてください。

まず、キャリア自律関連のセミナーなどの情報が豊富に入ってきます。今、キャリア自律は企業にとっても重要な組織戦略になっていますので、経営層にも刺さりやすいセミナーをお届けしています。

さらに、キャリア系サービスを提供されている企業であれば、会員企業同士で相互に連携していくことも可能です。たとえば、「プロティアンのセミナーを通じて新たなキャリア開発に副業が有効だとわかったので、実際に副業をはじめたい」と考えた場合にどうするか。具体的な副業案件を紹介できる企業とのアライアンスを組むことができれば非常に効果的です。実際にこうした形でアライアンスが組まれている例もすでにあります。

― 貴協会が今、力を入れている活動は何でしょうか。

現在、もっとも注力しているのは今まさに話に出たアライアンスです。キャリア自律が当たり前の社会をつくりたい、自分らしく働く人を増やしたい。そんな社会を実現させるための提携を積極的に増やしていきたいと考えています。もちろん、「現代版プロティアン・キャリア」の重要性を訴えていくセミナーの開催なども引き続き行っていきます。

― 貴協会の今後の展望をお聞かせください。

設立からの約1年間で基本的なサービスの枠組み、オウンドメディアなどのベースは整備できました。ここからしばらくは今の延長線上で「プロティアンの考え方を広げていく」「学びたい、伝えたい人を増やしていく」ことが中心になると思います。特に伝える人を増やすという意味では、認定ファシリテーター養成はひとつの重要なキーになっていくでしょう。

キャリア開発のアップデートが必要

― 日本企業におけるキャリア開発の現状や課題について、どのように捉えていらっしゃいますか。

「キャリアの定義」自体が大きく変わりつつある時代だと思いますが、そのことをアップデートできていない企業が多いように感じます。今でも終身雇用をはじめとする過去の制度に縛られている印象です。

これからのキャリアは、「組織に貢献することによる出世や年収」だけではなく、「社会の一員として自分自身と向き合い、自身の軸を持ちつつ、学び、新たなことに挑戦することによる自己基準での成功の形」を模索し続ける旅だと言えます。当然、企業におけるキャリア開発、キャリア研修も新しい考え方をベースにしたものに変えていくべきです。当協会はそこを支援していきたいと考えています。「現代版プロティアン・キャリア」のノウハウを抱え込む気はまったくありません。一般の事業会社だけでなく、キャリア開発などの専門サービス企業にもオープンに伝えていきたいと考えています。そして、一緒に新たなキャリアの時代をつくっていくのが目標です。

― 研修などキャリア開発関連サービスを提供している業界、企業の現状や課題についてはどう捉えていらっしゃいますか。

激しい時代の変化に適応したサービスの提供に難しさを感じている企業が多いかもしれないと捉えています。私たちはさまざまな現場の事例をシェアしながら、変わりゆく時代に即した支援を追求し続けることで、意識醸成に留まらず行動変容につながるキャリア支援の形を共に実現したいと考えています。だからこそ、キャリア開発関連サービスを提供している企業の皆さまとともに新たなキャリア支援の活動を行っていきたいと考えています。

田中教授も著書の中で触れていますが、「日本がこのままで良い」と感じている人は少なく、多くの人が危機感を感じているはずです。国際競争力もどんどん低下しています。日本には大きなポテンシャルがあるはずなのに、組織との関係性から潜在能力を発揮できていない人が多いと感じています。企業は個人のキャリア開発を支援し、個人は自らのキャリアを主体的に構築し、プロ意識を持って成果を出す、キャリア自律によっていきいきと働く人が増えれば組織の生産性は間違いなく上がります。キャリア自律が業績を向上させることは実証されているのです。

― キャリア開発関連サービスを提供している企業やそこで働くビジネスパーソンに期待されていることは何でしょうか。

「キャリア自律社会」の実現に向けて協業していきたい。これに尽きます。「現代版プロティアン・キャリア」を知る窓口は、セミナーや資格制度など、いくつも用意していますので、まずは自身で実践してみてほしいと思います。キャリアコンサルティングを学んだ人は、「プロティアンならもう知っている」と思うかもしれませんが、「現代版」は実践をキーワードに、さらに踏み込んだ知見を得ることができます。現代版プロティアンを通じてより良い社会をつくっていくことが当協会の目標です。すべてをオープンにしていきますので、ぜひアライアンスを広げて一緒により良い社会に向けて取り組んでいきたいと思っています。

(取材:2021年3月4日)



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