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一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会

人材データを分析・可視化して人と経営の未来に活かすピープルアナリティクスと、それを牽引するHRテクノロジーの活用を「産・学・官」で普及・推進する団体。

ピープルアナリティクスとそれを支援するHRテクノロジーの活用を
「産・官・学」の連携で普及・推進する

一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会
代表理事:長瀬 昭彦(ながせ・あきひこ)さん 株式会社WARK 代表取締役
副代表理事:加藤 茂博(かとう・しげひろ)さん 株式会社リクルートキャリア 事業開発室 ビジネスプロデューサー
副代表理事:山田 隆史(やまだ・たかふみ)さん スターツリー株式会社 代表取締役
HRテクノロジーの導入・活用により、人事の世界が大きく変わろうとしています。とりわけ近年注目されているのが、職場の生産性や従業員の満足度を高めるために、従業員の行動データや人材マネジメントにまつわるさまざまなデータを収集・解析する「ピープルアナリティクス」。これからの人事には、データで定量的に課題を認識し、それをもとに解決策を提示するスキルが欠かせないものになっていくでしょう。人事分野でのデータ利活用に関するわが国で唯一の普及・推進団体、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の代表理事の長瀬さん、副代表理事の加藤さん、山田さんに、ピープルアナリティクスやHRテクノロジーの現状と未来についてお話をうかがいました。

今や世界では「ピープルアナリティクス」が常識となっている

― ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会は2018年に設立されています。立ち上げの背景からお聞かせください。

長瀬さん photo
長瀬さん

長瀬:私は設立当初から代表理事を務めていますが、もともとは教育(eラーニング)関連の会社を経営するかたわら、HRテクノロジーに興味を持ち、個人的に勉強会やイベントを主催していました。その活動を通して副代表理事の加藤さん、山田さんに出会いました。

当時は、HRテクノロジーの市場が広がっていく黎明期だったのですが、その中でももっとも刺激的なのが「ピープルアナリティクス」でした。これからの企業や人事にとって非常に重要な領域になっていくことが肌感覚でわかりました。加藤さんはそのとき既に、当協会の名誉理事であるベン・ウェイバーさんともコンタクトをとるなど、ピープルアナリティクスについてかなり深く研究されていました。また、山田さんは人事データ分析に強いデータサイエンティストで、自身の会社を立ち上げていました。日本にもピープルアナリティクスの普及を行う団体が必要だ、とピープルアナリティクスやデータ利活用を考えて行くための各分野の専門性をお持ちの現在の理事の先生方にご協力をお願いし、2018年に立ち上げる運びとなったのがピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会です。

加藤さん photo
加藤さん

加藤:設立趣旨は、「人材データを分析・可視化して人と経営の未来に生かすピープルアナリティクスとそれをけん引するHRテクノロジーの活用を産・官・学で普及・推進する」というものです。10年くらい前は、海外の有名大学でもピープルアナリティクスを教えているところはありませんでしたが、現在ではMIT(マサチューセッツ工科大学)をはじめ、主要な大学にはピープルアナリティクスの講座があるのがあたりまえになっています。しかし、日本では、そのような講座があまりありません。企業経営をデータドリブンで行う必要性は多くの企業が意識しはじめていますが、人事や働き方にももっとデータ分析が活用されるべきだという問題意識がベースになっています。

― 組織や活動内容について教えてください。

長瀬:組織は、理事メンバーを中心に、主に大学教員のアカデミックアドバイザー、私たちから協力をお願いしたエキスパートアドバイザー、さらに共同研究やワーキンググループの講師を務める研究員で構成されています。会員はすべて法人正会員で、約110社(2020年9月現在)。ピープルアナリティクスは企業の人事データを扱うものなので、法人のみを会員として受け入れていて、今のところ個人は受け付けていません。

山田さん photo
山田さん

山田:ピープルアナリティクスにもHRテクノロジーにもさまざまな要素がありますので、分野ごとに研究会やワーキンググループをつくって、少人数で勉強していくスタイルをとっています。メインは「ピープルアナリティクスラボ」と呼ばれる勉強会で、年8回。それ以外のセミナーなどを含めると月4~5回の勉強会を開催しています。会員企業はそれぞれ関心のある勉強会に参加できます。特別なセミナーとしては、2019年夏にMITのピープルアナリティクス講座を日本で開催し、好評を得ました。MITの修了証がもらえる正式なもので、もちろん日本初の試みです。

長瀬:日常活動以外では、毎年「Digital HR Competition」( https://digital-hr.jp/ )を開催しています。経済産業省主催で行われていた「HR-Solution Contest」を引き継いだもので、ピープルアナリティクスやHRテクノロジー活用の成功事例を広く世の中に発信しています。

ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の資料より
ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の資料より

「産・官・学」から集まる情報を学び、ともにレベルアップできる場

― 加盟すると、どのようなメリットがありますか。

長瀬:ピープルアナリティクスに関する産・官・学の知見を得られることです。国内外の最新情報や他社事例などが学べることを期待される企業が多いようです。

加藤:希望すれば会員になれるわけではありません。加盟前に簡単な審査を行っています。また、各セミナーやワーキンググループによっては、参加資格にさらに制限を設けている場合もあります。ピープルアナリティクスで扱う人事データは誰にでもオープンにしていいものではなく、一定の信頼度を担保した場が必要だと考えているからです。

逆に言えば、参加資格を設けることで、会員が安心してそれぞれの課題や悩みを共有でき、深く掘り下げて話し合える環境があります。さらに「営業禁止ルール」もあります。会員には自社製品のツールを持つ企業も多いのですが、宣伝をはじめると、中立的に新しい知識を学ぶ場が成り立たなくなってしまう。ビジネスありきではなく、純粋にピープルアナリティクスの普及・推進を目的としているのが大きな特色です。

― 現在、どのような活動に注力されていますか。

山田:一つは「人事データ利活用原則(ガイドライン)」の普及活動です。データ利活用を促進することは企業の経営や人材マネジメントにおいて重要ですが、同時にそのデータの対象となる個人の権利も守る必要があります。そこでデータを活用する際に、どのような考え方、倫理観を持つべきなのかを整理したチェックリストを作成し、2020年3月に公表しました。業界としての指針を示すものにしたいと考えています。また、不正・不当なデータの取り扱いを防止する知識を持った人材を育成する「人事データ保護士」資格講座の開講準備も進めています。

長瀬:私たちは、「従業員を幸せにするためにデータを活用してほしい」と発信しています。企業の利益になるなら何をしてもいい、という考え方は修正すべきです。企業が人事データの活用を進める中で、従業員により「AIが自動的に行った評価で不利益を被った」「こんな目的にデータを使われるとは思わなかった」などの訴えが起きないよう、企業では、そうした事態を防ぐための勉強が必要ではないでしょうか。

― 今後はどのような活動に取り組んでいこうとお考えですか。

長瀬:世界ではピープルアナリティクスは「学問」になっていますが、日本ではまだこれからです。企業からは「人事に強いデータサイエンティストが欲しい」という声を多く聞きます。そのため、当協会がハブになって、アカデミックな機関と企業との共同研究などを促進し、人材育成につなげていきたいですね。

山田:直近ではコロナ禍によって、新しい人事課題が次々に生じています。テレワークにおけるパフォーマンスや生産性をどう評価するのか、従業員のストレス状況をどう把握して、そのメンタルをどうケアしていくのか。対面の機会が減る中で、これまで経験と勘で行っていたことを、データからのエビデンスをもとに判断していかないと新たな不幸を生みかねません。当然、ピープルアナリティクスやHRテクノロジーの役割も大きくなってきます。そうした企業のニーズに応える活動にも取り組んでいきたいと考えています。

これからは企業も人事もデータドリブンが基本になっていく

― 現在の日本企業におけるピープルアナリティクスやHRテクノロジーの導入・活用の現状をどう捉えていらっしゃいますか。

山田:まだまだこれからだと感じています。取り組みを始めようとした企業からは、「データがない」からはじまり、「データが分散して一元化できていない」「データが分析できる形になっていない」といった悩みをよく聞きますね。「経営層の理解が得られない」「予算がつかない」「現場を巻き込めない」「アナリストなどの人材がいない」といった課題もあります。当協会の会員企業に限れば、半数以上が人事データの活用・分析に取り組んでいます。ただ、効果検証や具体的な施策への落とし込みなど、「二歩目をどうすればいいのか」という悩みはあるようで、同じ課題を持つ企業同士の勉強会など、横のつながりを生かしてレベルアップできるような取り組みを工夫しているところです。

加藤:「Digital HR Competition」の成功事例を見ても、ピープルアナリティクスやHRテクノロジーの投資効果は、一般的に思われている以上にインパクトがあるものです。海外では数十億円相当の貢献があったという事例もあります。重要な経営課題として取り組む価値が大きい分野であることは間違いありません。

― では、ピープルアナリティクスやHRテクノロジー関連のサービスを提供している業界の現状についてはいかがでしょうか。

長瀬:サービスを提供するベンダーの皆さんからは、「顧客企業の人事部長クラス以上の方々がITの活用に積極的でないため、サービスが普及しない」とよく聞きます。しかし、それでは、日本企業は世界に置いていかれてしまう。ジョブ型雇用の導入が増え始めていますが、職種ごとに個別のマネジメントが必要で複雑な制度を、データを使わずに運用できるとはとても思えません。リモートワークのマネジメントも同様でしょう。「わからない」で止まってしまうのではなく、「わかりあえる世界」をつくっていくことが当協会の使命だと考えています。

山田:ベンダーやサービサーには、理念的にも技術的にもすばらしい先進的な企業がたくさん出てきています。その一方で、倫理的・法律的にグレーゾーンではないかと思えるようなサービスや、「企業はうれしいが、従業員は嫌がる」サービスも時折目に入ってきます。「SDGs(持続可能な開発目標)」に「働きがいも経済成長も」という目標が掲げられていますが、まさに、企業も従業員も共にハッピーになれることが重要です。

― これからピープルアナリティクスやHRテクノロジーに取り組んでいきたいという企業やサービスベンダーで働く皆さんに、持ってもらいたい視点とはどんなものでしょうか。

加藤:日本企業の人事に求められるものはどんどん変化しています。今はまだ「人事の基本的素養」にピープルアナリティクスは入っていないかもしれませんが、これからはデータで定量的に課題を認識し、それを使って会社に解決策を提示するスキルが必須になってくるでしょう。特に人事の幹部メンバー、CHROなどをめざす人にとっては必ず身につけておくべき知識といえます。そのためのサポートを、しっかりと行っていきたいですね。

(取材:2020年9月11日)



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