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ATDインターナショナルメンバーネットワークジャパン

米国ATDの活動に賛同しているパートナー。2007年設立。日本において、ATDの情報発信や委員会活動などを通じて、グローバルに通用する人材開発・組織開発の支援を行っている。

「人材開発」の最新動向を発信する世界最大の組織「ATD」

ATDジャパン
代表理事:宇野 聡美(うの・さとみ)さん 株式会社インヴィニオ エグゼクティブプロデューサー
副代表:中原 孝子(なかはら・こうこ)さん 株式会社インストラクショナルデザイン 代表取締役
理事:浦山 昌志(うらやま・まさし)さん 株式会社IPイノベーションズ 代表取締役社長
ATD(Association for Talent Development)は、1944年に設立された教育研修・能力開発・パフォーマンス向上に関する専門団体です。現在、世界120ヵ国以上に会員を有し、世界中の企業・団体などの組織における職場学習と、従業員と経営者の生産性向上を支援するために、幅広く活動を行っています。ATDジャパン(International Member Network Japan:ATD-IMN)は、日本における会員ネットワークの拠点として2008年に設立されました。「ATD ICE」(人材育成国際会議)など、米国で開催されるイベントのグループツアーや、国内でのイベント開催、委員会・研究会活動など、日本で人材開発に携わる方々の専門性を向上するための組織として、各種活動をボランティアで展開しています。今回は、ATDジャパンの代表理事である宇野聡美さん、副代表・中原孝子さん、理事・浦山昌志さんをお招きし、ATDの活動概要についてお話をうかがいました。

ATDから発信される情報は、世界の人材開発の動向を大きく左右する

― ATDはどのような組織なのでしょうか。また、ATDジャパンを設立した目的とは何ですか。

浦山氏 photo
浦山氏

浦山:ATDは、企業や政府などの人材開発・組織開発の支援を目的とし、米国・ヴァージニア州に本部を置く、1944年に設立された非営利団体です。現在、世界120ヵ国以上に会員を有し、企業、大学、コンサルタント、トレーニングファーム、教育機関、行政など幅広い分野から多くの人材が参加し、交流を行っています。

ATDから発信される情報は世界の人材開発の動向を左右する物差しとして、大きな影響力を有しています。この分野においては、世界最大の会員制組織と言えます。なお、設立当初は「ASTD(American Society for Training & Development)」と称していましたが、近年、構成メンバーの4分の1以上が米国以外の国が占めるようになってきたこともあり、2014年からATDと名称を変更しました。

ATDジャパン(ATD International Member Network Japan:ATD-IMN)は、ATDの日本における会員ネットワーク活動の拠点として、2008年に設立されました。日本企業の人材開発の底上げやネットワーク作りを目的とし、ATDからの情報提供を行う組織として、ボランティアで活動を行っています。

中原氏 photo
中原氏

中原:日本の会員の場合、6~7割を教育研修会社やコンサルティングファームが占めています。ATDの持っている最先端の人材開発に関する情報を取り入れ、それをベースに自分たちのサービスへと展開しています。私としては、もっと企業の人材開発部門の方々に参加してほしいと思っていますが、諸外国と比べて日本ではまだ人材開発の重要性や情報入手に対する認識が低いこともあり、現在、会員のうち企業の人材開発部門の方々の割合は3~4割です。

浦山:日本企業の場合、人材開発の仕事を覚えたころにほかの部署へ異動になるなど、人事ローテーションがあることが少なからず影響しているのでしょう。ATDのコンテンツは英語がベースなので、ハードルが高いことも理由のひとつかもしれません。

宇野:グローバル展開を考えると、英語で人材開発を学ぶことには大きな意味があると思います。例えば、他国の人を採用した場合、ATDで学んだ知識がその人との「共通言語」「共通理解」になります。今後は、人材開発の体系や専門知識を英語で学ぶことが重要になるのではないでしょうか。

宇野氏 photo
宇野氏

中原:ATDが毎年5月に米国で開催する「ATD人材育成国際会議」(ATD International Conference & Exposition 略称:ATD ICE)に参加すると、大きな啓発(ショック)を受けます。世界各国から実に1万人を超える人が集まる、人材育成業界における世界最大のイベントであり、世界共通の物差しに触れることができます。一度といわず何度も参加している方は非常に多いようです。

― ATDジャパンとして日本で活動を始めてから、10年が経過しました。振り返ってみていかがですか。

浦山:活動を開始した当時、日本にはグローバル視点で人材開発に関する情報交換を行う「場」が多くありませんでした。そこで、タレントマネジメントやHPI(Human Performance Improvement:個人と組織のパフォーマンスの改善・向上を支援する人材・組織開発の方法論)など、最先端の人材開発の動向に関する勉強会(委員会・研究会活動)を立ち上げました。そういった活動を継続していく中で、徐々に日本での認知度も上がっていったように思います。

中原:特にATDでしか学べないこと、ATDが発信しているメッセージを、人材開発担当の方々に知ってもらおうと尽力しました。各種の勉強会を継続的に実施してきました。数年前ATDの年会費が高くなったにもかかわらず、人材開発に関するさまざまな知識や情報が入手できたり、会員間の交流が行われたりすることが動機づけとなっているのでしょうか、日本からの会員数は当初の160人程度から、現在は約300人に倍増しました。

「ATD Japan Summit」の詳細
「ATD Japan Summit」の詳細

浦山:各種報告会をはじめ、さまざまなイベントも毎年行っています。2015年からは、「ATD Japan Summit」を開催。国際的な人材開発のプロフェッショナルが登壇し、HRテクノロジーの最新情報や企業の人材育成の成功事例などを紹介しています。今年は「Creating a Future-Ready Learning Culture(未来の学習文化を創る)」をテーマに、12月13日(木)に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催します。組織開発、人材開発、リーダー人材育成の世界最先端のトレンドが、ここに集約されると言っても過言ではありません。

宇野:毎年5月に米国にて開催される「ATD ICE(International Conference & EXPO)」にATDジャパンもデリゲーションを組んで参加するのですが、今年は実に270人もの参加者が集いました。ATDジャパンとしての10年間に及ぶ活動の成果が表れてきているように思います。特に教育研修会社の方々が、人材サービスを提供するプロフェッショナルの立場として、ATDに対する認識や、ATDから発信されるトレンド・最新情報に注目度を上げてきていることを実感しています。

人材開発担当者に求められるコンピテンシーを提示

― ATDに対する認識や注目度が高くなった背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

中原:人材開発のプロフェッショナルに対してATDが定める、コンピテンシーモデルの存在が大きいと思います。近年、テクノロジーの進化やグローバルレベルでの競争が激化する中、「Change Management」「Performance Improvement」「Integrated Talent Management」「Learning Technology」など、従来の人材開発担当者のイメージとは異なる内容・知識が求められており、ATDではそれらを2004年にコンピテンシーモデル(2014年Renew)として発表し、同時に「認定制度(CPLP)」にも取り組むようになりました。

コンピテンシーモデルのイメージ図
コンピテンシーモデルのイメージ図

浦山:一方、日本ではそもそも研修を提供する立場の方や企業で人材開発を企画する方が、どのような人材開発のコンピテンシーを身に付けるべきなのか、確固たる定義がありませんでした。しかし、「ATD ICE」に参加してコンピテンシーモデルを学ぶことによって、人材開発担当者としての実効性が高まることを、多くの人が実感するようになりました。

2017年12月から、ワークショップ形式でコンピテンシーモデルの基礎(考え方・ガイドライン)を学ぶための「T&Dコンピテンシー基礎講座」をスタートさせたところ、非常に多くの方から申し込みがありました。教育研修会社や企業の人事開発部門の方々が、人材開発のプロフェッショナルとして何が必要なのか、体系立てて学ぶ機会を欲していたことが改めてよくわかりました。いずれにしても、このような学びが日本では非常に遅れているので、「T&Dコンピテンシー基礎講座」はこれからも継続して行う予定です。

宇野:近年、日本から「ATD ICE」への参加者が増えたのも、そういう背景があるからだと思います。実際、グローバルでの最先端の情報や基準となる物差しを知りたいという人が、確実に増えています。ビジネスでグローバルと対峙した時、「日本とは全然違う。どうしたらいいのか?」という危機感。また、人材開発のプロフェッショナルとして、自分が何をどのスコープ(領域)で学ばないといけないのか、といった問題意識が強く出てきています。

このようなことを、いったいどこで学んでいけばいいのか、あるいは同じテーブルで議論していくにはどうすればいいのかというニーズに、ATDの提供するサービスが、うまくはまったように感じます。

中原:確かに日本では、コーチングやファシリテーションなど一部の技法・スキルを学ぶ機会はあっても、体系的に人材開発の「全体観(モデル)」を学ぶような機会がなかなかありません。

宇野:日本の人材開発のプロフェッショナルの方々の中にも、それぞれの「専門領域」で活躍している方はたくさんいます。しかし、人材開発を「全体観」として俯瞰したとき、自分の持つ専門領域以外で、具体的に何を押さえなくてはならないのか、という「不安」や「渇望」があったと思います。「未来」を創るための戦略的なアプローチには、「全体観」を提示することが必要不可欠です。

浦山:今後ATDジャパンでは、日本における人材開発のプロフェッショナルの方々の支援に、さらに力を入れていきます。そうすることで、日本企業はグローバルレベルで成長していくと思います。人材開発の取り組みの面から、世界に情報発信ができる日本企業がどんどん増えていってほしい。日本企業がATDのアワードを受賞することになれば、とてもうれしく思います。

浦山氏、宇野氏、中原氏

(取材は2018年10月23日、東京・千代田区の株式会社IPイノベーションズにて)



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