月間分析レポート[2022年10月]

2022年9月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「リスキリング」「人手不足」「エバンジェリスト」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。

リスキリング

「リスキリング(Reskilling)」とは、職業能力の再開発・再教育のことです。「リスキリング」は6月度、9月度トレンドワードでも取り上げましたが、その後も検索数が伸びており、注目度が高まっています。

2022年10月3日には、岸田文雄首相が所信表明演説で、個人のリスキリング支援に5年で1兆円を投じる「人への投資」を表明。12日には、リスキリング支援を「転職や副業を受け入れる企業や訓練後に非正規雇用を正規に転換する企業への支援を新設・拡充」「在職者のリスキリングから転職まで一括で支える制度を創設」「従業員を訓練する企業への支援機の補助率の引き上げ」の3本柱で進める方針を示しました。こうした動きから、注目度が高まったと考えられます。

サジェストワードでは「リスキリング とは」といったワードが検索されました。「リスキリング」という言葉の知名度は高まっていますが、その概要はあまり知られていないことから検索されたと推測できます。「リスキリング 経済産業省」というワードも検索されました。政府がリスキリング支援を打ち出しているため、経済産業省のホームページを見て、政府の支援策の動向や内容を知りたいと考えた人がいたと考えられます。
「リスキリング 資格」というワードも検索されており、資格取得を通じて「学び直し」をしようと考えた人が検索したと推測されます。「リスキリング リカレント 違い」というワードも検索されています。「リスキリング」より以前に認知されていた「リカレント」という言葉との違いが気になる人がいたと思われます。リカレント(recurrent)は反復・循環・回帰の意味で、日本語では回帰教育、循環教育と訳されます。経済協力開発機構(OECD)が1970年代に報告書で「リカレント教育」を提唱し、この呼称が定着しました。

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人手不足

「人手不足」はここ数年で検索数が徐々に増えています。10月21日には、日本商工会議所と東京商工会議所が厚生労働省に対して、「雇用・労働政策に関する重点要望~中小企業の「人材確保に向けた自己変革」支援と「活力ある労働市場」への政策シフトを~」を公表・提出しました。

中小企業の人手不足感は、コロナ禍からの経済活動の回復にともない、厳しい水準に戻りつつあります。また、ロシアのウクライナ侵攻が要因となっている物価の高騰も影響し、企業への賃上げ圧力が高まっています。

10月は、「人手不足 建設業」「人手不足 製造業」というサジェストワードの検索数が伸びています。日銀短観9月調査によれば、雇用人員判断D.I.(過剰―不足)は製造業で拡大に転じ、非製造業ではマイナスの拡大が続いています。業種を問わず人手不足が一段と極まる見通しです。こうした一連の動きにより「人材不足」の検索数が増えていると推測されます。

サジェストワードでは「人手不足 業界」が検索されました。どの業界が人手不足の状況にあるのかを調べたい人が検索したと考えられます。「人手不足 解決策」「人手不足 原因」というサジェストワードも検索されており、人手不足を解消したい人がいたことがうかがえます。

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エバンジェリスト

「エバンジェリスト」(evangelist)とは、IT業界で注目されている新しい職種、もしくはその役割を担う専門人材を指します。IT業界のトレンドや最新テクノロジーをユーザーに向けて分かりやすく解説し、その啓蒙を図るのが主な役割です。

IT業界を取り巻く環境が急激に高度化・複雑化し、新しい用語や専門用語が使われる場面が増えたため、相手にわかりやすく説明する存在が求められるようになりました。活動の場としては、イベントや展示会でのプレゼンテーション、製品やサービスのデモンストレーションや自社内での啓発活動などがあります。ITベンダーを中心に、自社の提供する技術の価値を広く、正しく“伝道”するための専門職として、エバンジェリストのポストを新設する企業が増えています。

検索数が伸びた10月14日にはテレビ番組で「エバンジェリスト」についての特集があったことも影響し、注目が集まったと考えられます。

サジェストワードでは「エバンジェリスト 意味」といったワードが検索されています。まだ「エバンジェリスト」という言葉が広く知られていないことがうかがえます。「エバンジェリスト なるには」というサジェストワードからは、「エバンジェリスト」という仕事に興味を持ち、この仕事に就く方法を調べる人がいたことが推測されます。

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