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グローバル アジア
掲載日:2018/07/31

日本を含めたアジア各国の高齢労働者は、職場の自動化によってその職務を代替されるリスクが高い~『高齢化が進むアジアの労働力に「職場の自動化」がもたらす影響』:マーサージャパン

マーシュ&マクレナン社(NYSE : MMC)のグローバル・リスクセンターがリリースした最新レポート『The Twin Threats of Aging and Automation(高齢化と自動化:2つの脅威)』によると、中国やアジア各国の高齢労働者は、職場における様々な業務プロセスが自動化されることによって、その仕事を奪われてしまう可能性が諸外国に比べて高い。高齢化と職場の自動化の双方が経済や社会に重大な影響を与えることは言うまでもないが、とりわけ50~64歳の低熟練労働者が全労働人口に占める割合が比較的高いアジアの主要国において、その傾向が顕著である(下記、『同レポートについて』を参照)。

マーシュ&マクレナン社のグローバル・リスクセンターは、高齢化と職場の自動化が抱えるリスクの度合を測定するため、同グループのリーディング・プロフェッショナル・ファームであるマーサーとオリバー・ワイマンの2社から専門家を招き入れ、アジアや欧米の15の国々について市場データを収集・分析した。この結果、高リスクと評価された上位6カ国のうち実に5カ国はアジア太平洋地域に位置する国々(中国、ベトナム、タイ、韓国、日本)であることが明らかになった。

「今日のビジネス世界においては、インテリジェント・テクノロジーの導入競争が繰り広げられている。しかしながら、こうしたシフトチェンジは、ともすれば失業者を増加させるだけでなく、労働者の不平等感を増幅させ、セーフティーネットへの負荷を拡大し、ひいては高齢労働者にネガティブな影響をもたらす可能性がある。」と、オリバー・ワイマン社のパートナーで同レポートの共同執筆者であるアクセル・ミラーは述べている。「高齢化が進みつつある国々においては、高齢労働者は、特定の仕事に従事する意向と能力だけがあったのでは足りない。『過去の』職場や業務の事情に精通しているのみでは、『将来の』経済社会から追い出されてしまうリスクがあるのだ。」とも同氏は述べる。

■レポート要旨
・中国の高齢労働者は、最も自動化によってその職務を代替されるリスクが高い(高齢労働者の76%が自動化可能な業務に従事)。
・カナダ(47%)とオーストラリア(42%)は、調査対象となった15の国々の中では高齢化率、代替リスクともに最低であった。両国の高齢労働者は、自動化の影響を比較的受けにくい。
・シンガポール、日本、韓国、ドイツ、イタリアなど、仕事の自動化が一般的に難しいとされる高度技能を有する労働者が集中している国々でさえ、高齢労働者は職場の自動化の影響を受け、労働力の代替が職務や世代を超えて生じる。
・米国では、平均して52%の高齢労働者自動化可能な仕事に就いている。

マーサーのプリンシパルで同レポートの共同執筆者であるパティ・ソンは以下のように述べている。「職場の自動化により、かつてないレベルでの生産性向上が実現されることで、企業は利益の源泉となる新規事業や若年労働者に、より集中的な投資ができるようになるだろう。しかしながら若年層の人口は世界的に縮小しており、そういった投資機会は縮小していくことも同時に想定される。このような状況であるからこそ、政府や企業は高齢労働者を蔑ろにすべきではないし、また、蔑ろにはできないはずである。デジタル戦略の拡大だけでなく、こうした高齢労働者の問題に対応していくためのプランも今後は不可欠となる。」

『The Twin Threats of Aging and Automation(高齢化と自動化:2つの脅威)』の詳細についてこちらより報告書をダウンロードいただけます(英文)。

<同レポートについて>
国連保有データを用いて、9つに分類された雇用カテゴリーのそれぞれに該当する高齢労働者数を算出。高齢労働者は「50歳から64歳の現在雇用されている労働者」とした(カナダ(45~64歳)と米国(55~64歳)は除く)。オックスフォード大学の研究員であるマーティン・フレリィとカール・オズボーン監修の下、9つの雇用カテゴリー毎に「自動化リスク」値をマッピングし、各国の高齢労働者が被る自動化リスクの加重平均スコアを算出。

 

<本件に関するお問い合わせ>
マーサージャパン株式会社
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E-mail: pr.japan@mercer.com

組織・人事変革コンサルティング部門
Tel: 03-6775-6511
Email: hcas.japan@mercer.com

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(マーサージャパン株式会社 https://www.mercer.co.jp/ /7月26日発表・同社プレスリリースより転載)