顧客企業の経営指標の改善にコミットする
定量分析をベースとした科学的人事コンサルティング

株式会社トランストラクチャ 代表取締役 シニアパートナー

林明文さん

自らが提供する価値で顧客企業の経営にコミットしていくべき

 今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか。

今期から、これまでのコンサルティング部門と人材開発部門を統合しました。先ほどもお話ししましたが、顧客は制度設計や教育といった「パーツ」を求めているわけではありません。私たちのサービスによって、最終的に企業業績が向上することを望んでいるのです。「制度」や「教育」などと縦割りにするのではなく、全社一丸となり、あらゆる方法を駆使して顧客の人事指標改善に取り組むことではじめて成果が出る、という考え方から新組織に再編しました。診断して制度設計をするだけでなく、導入支援も行い、運用を見届け、何かあれば修正する――こうした一連のプロセスを売ることが、今後の私たちのビジネスになっていきます。

外部との関係では、いろいろな提携の話が増えてきています。たとえば人事システムの会社から、私たちの定量分析を機能の一つとして加えたい、という話をいただいています。これも、先ほどの人事業界が統合していくイメージに近い。こういった動きが、個別ではすでに始まっています。今後どこかの時点で、業界の風景ががらりと変わる可能性が高いのではないでしょうか。現状では当社がやみくもに規模を拡大するよりも、システムなどを使うことで業界各社が機能統合していくような動きに注目していきたいと思っています。

 最後に、人事関連業界の若い皆さんにメッセージをいただけますか。

繰り返しになりますが、日本の人事コンサルティング業界は、無限にある需要に対して供給責任を果たしていないと思います。適切な料金で実効性のあるサービスを待っている顧客は、いくらでもいます。その上で自分が提供しているサービスが、顧客の価値という観点から、どこにどれだけ響いているかをしっかり見きわめてほしい。もし、自分の提供するサービスが、顧客企業の経営に寄与していることが実感できないなら、それは経営からかい離したサービスを提供していることになります。

たとえば、毎年30人の新卒採用をしている企業が突然、「今年は100人採用したい」と言ってきたとします。トータルに「人事サービス」を提供する会社なら即時に応じることはできないはずです。急に多くの新卒社員を採用すれば、組織に必ずゆがみが生じます。10年後、15年後にはリストラが必要になるかもしれない。そこまで考えると、「新卒の採用数は従来通り30人に抑えて、あとは中途採用とアウトソーシングでカバーしましょう」といった提案をするべきかもしれません。何が言いたいかというと、顧客の要望だけを聞いてそのまま動くのではなく、顧客の経営に何が最適かを考え、具体的な提案に落とし込むことが真の価値提供だということ。それをスマートにできる人材こそが、これからの“人事業界”に必要とされると思います。

(2017年11月2日 東京・千代田区のトランストラクチャ本社にて)

(2017年11月2日 東京・千代田区のトランストラクチャ本社にて)

社名株式会社 トランストラクチャ ( Transtructure Co.,Ltd. )
本社所在地東京都千代田区麹町 5-4 KY麹町ビル
事業内容【調査・診断サービス】HRPサーベイ/人事アナリシスレポート®/モチベーションサーベイ/スキルギャップアナリシス/360度診断
【人事制度設計サービス】人事制度設計/関連制度設計(退職金、役員報酬等)
【雇用施策関連サービス】適正人員・人件費算定/雇用調整施策・支援
【人材開発関連サービス】教育支援サービス/評価・配置支援サービス
【その他関連サービス】人事アドバイザリー/CSサーベイ
設立2002年5月

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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