現場重視で変化に適応し、事業拡大
社会的なインフラとしての人材サービス企業へ

テンプホールディングス株式会社

水田正道さん

高い倫理観のもと、想いを大事にしていくことが成長への要

 会社を持続的に成長させていくために、大事なことは何だとお考えでしょうか。

水田正道さん インタビュー photo

200年以上存続している企業の約60%が日本企業だということをご存じですか? 存続している日本企業には共通点があって、創業者の経営理念を大事にし、DNAとして受け継いでいることが挙げられます。そして、もう一つが、環境変化に柔軟に対応していること。「不易流行」を実践しており、私自身もその哲学に共感し、常に心がけています。

当社グループの経営理念「雇用の創造、人々の成長、社会貢献」から逸脱することはやらない。変化の激しい中で判断に迷うこともありますが、常にこの理念に立ち返って事業を行っていきたいと思います。

そのためには、重要なのは「現場」だと思っています。お客様や求職者の方々にいかに信頼されるかは、現場にかかっています。経営者に現場感覚がなくなってしまったらおしまいだと思っているので、現在も、営業同行は欠かしたことはありません。格好の良い現場など存在しません。理屈ではない泥臭い話の中から、本当に大切なことが見えてきます。現場こそが私の師と言えます。

当社グループの強みを良く聞かれますが、私は「現場力」と答えています。社員一人ひとりが創意工夫して、主体的にお客様としっかり信頼関係を築いていこうとひたむきに努力しいます。その現場力を信じ、これからも私は現場を大事にし続けます。現場に出ない自分は、想像できません。

 現場力を実感されている水田社長から見て、改めて人材派遣が、大きなマーケットとして成長してきたポイントは、どのようなことだったと思いますか?

やはり、企業にとっても働く人にとっても、このサービスが合理的だったことが大きいと思います。しかも、この業界を最初に立ち上げた時のサービスの価格設定も良かったと思っています。当時、アルバイトの時給が700円くらいのところ、人材派遣は時給 1300円くらい支払いました。もちろん専門性の高さもありましたが、企業にとっても、必要な時に専門性の高い人材力を活用できたことで、一気に労働市場に受け入れられ、根付いたと思います。

 これからの人材派遣業界に求められることは何でしょうか?

今、この業界に一番求められるのは、社会に必要とされる存在になることだと思います。人材派遣の事業は、法律によって大きく左右されます。でも、世の中にしっかり支持され、必要とされ、尊重されている業界であれば、決して変なことにはならない。社会の期待にどれだけ応えられるかがポイントになります。そのためには、健全な競争が大事。競争がない市場は、必ず衰退します。また、健全な競争があれば、おごることなく、謙虚に切磋琢磨して、刺激を受けて成長していきます。健全に拡大していくためには、健全な競争が不可欠です。人材派遣も人材紹介も、人材に関わるビジネスは、公共性が高い事業なので、それだけ高い倫理観が非常に大事。信頼されない市場は衰退します。

私たちは現在、「はたらく歓びを、いっしょにつくる」をグループスローガンに掲げています。働くことの素晴らしさ、働く意欲のある人を応援することの歓びをともに分かち合い、ともに成長したいという想いを込めたものです。そのような想いを、働く人々、企業、そして社員と共有できることが大事ではないでしょうか。

日本経済の発展には、成熟産業から成長産業へ労働力を円滑にシフトさせることが不可欠です。その中で、雇用のミスマッチを最小化し、雇用の流動と安定化を実現する「社会的なインフラとしての人材サービス企業」として認められる存在になることが非常に重要だと考えています。

水田正道さん インタビュー photo

(2014年12月1日 東京・千代田区・テンプスタッフにて)

社名テンプホールディングス株式会社
本社所在地東京都渋谷区代々木2-1-1
事業内容労働者派遣事業・有料職業紹介事業等の事業を行うグループ会社の経営計画・管理並びにそれに付帯する業務
設立2008年(平成20年)10月1日

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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