月間分析レポート[2025年9月]
2025年8月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「ストライキ」「労働災害」「黒字リストラ」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。
ストライキ
「ストライキ」とは、賃上げや労働条件の改善などを求め、労働者が集団で業務を停止する行為です。ストライキ権は団結権、団体交渉権とともに労働者の基本的権利に属します。労働組合法では、正当な争議行為については犯罪として処罰しない、損害賠償の義務を負わない、不利益取扱いを受けないと、三つの法的保護を与えています。
9月11日に検索数が増えました。日本では1980年代以降、大規模なストライキは減少傾向にありましたが、2023年にはセブン&アイ・ホールディングス傘下の大手百貨店「そごう・西武」で約60年ぶりとなるストライキが実施されるなど、近年再び注目が集まっています。
サジェストワードでは、「ストライキ 事例」が検索されました。海外では、米国の自動車大手3社(ビッグスリー)や、動画配信サービスの報酬などをめぐるハリウッド俳優らの大規模なストライキが記憶に新しいでしょう。国内でも、前述した「そごう・西武」をはじめ、バス会社などでもストライキが実施されました。
このほかには、「ストライキ 賃金」が検索されました。ストライキ参加中は労働をしていないため、原則として会社側にストライキ期間の賃金を請求できません。これを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。
また、「ストライキ 組合がない」も検索されました。企業内に労働組合がない場合も、個人で加入できる合同労働組合(ユニオン)を通じて団体交渉を行ったり、労働者が集団で「同盟罷業」としてストライキを行ったりすることは可能です。
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労働災害
「労働災害(労災)」とは、労働者が業務・通勤が原因で傷病を負ったり、障害や死亡に至ったりすることを指します。労災の種類は「業務災害(業務が原因で負った傷病)」「通勤災害(通勤時に負った傷病)」の二つに分けられます。
9月16日に検索数が伸びました。同日、韓国政府が、死亡事故など重大な労働災害を起こした企業に対し、営業利益の最大5%を課徴金として科すという経済制裁を強化する方針を発表したことが日本でも報じられました。企業の安全対策への投資を促し、労災を減少させる狙いがあると考えられています。
サジェストワードでは、「労働災害 統計」「労働災害 厚生労働省」が検索されました。厚生労働省が公表した2024年の労働災害による死亡者数(速報値)は746人と過去最少を記録。しかし、その内訳を見ると、建設業や製造業における墜落・転倒といった従来型の災害が依然として多くを占めています。
近年顕著なのは、精神障害による労災認定の増加です。2023年度の労災支給決定件数は883件でしたが、2024年度には1055件へと増加。過去最多を更新し続けています。従来の物理的な安全確保に加え、良好な職場環境の構築やメンタルヘルス対策が企業に求められています。
また、「労働災害 休業補償」が検索されました。休業(補償)給付は、業務災害や通勤災害による傷病のために働けず、給与がもらえない状態になった収入を補償する給付です。労災保険から、療養4日目以降、給付基礎日額の80%(休業特別支給金を含む)が支給されます。
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黒字リストラ
「黒字リストラ」とは、好業績であっても将来的なリスクを見越して、組織をリストラクチャリング(再構築)することをいいます。業績悪化を理由とする従来のリストラとは異なり、主に事業構造の転換や人員構成の若返り(新陳代謝)を目的としています。
検索数が増加した9月8日、三菱電機が、過去最高の売上高・営業利益を更新するなど好業績の中で、53歳以上の従業員を対象とした希望退職の募集を発表しました。将来のリスクに備え、先行して組織改革を進める動きとして注目を集め、検索数が増加したと考えられます。
サジェストワードでは、「黒字リストラ なぜ」「黒字リストラ 理由」が検索されました。好業績下での人員削減の主な理由としては、DX化など事業構造の変化に対応するための人材の入れ替えや、年功序列型賃金体系で高コストになりがちな中高年層の人件費を、成長分野を担う若手人材へ分配することなどが挙げられます。
このほかには、「黒字リストラ 対象者」も検索されました。近年の事例では、45歳以上や50代といったミドル・シニア層が対象となるケースが多く、役職定年を控えた従業員も含まれる傾向にあります。
また、「黒字リストラ 法律」という検索からは、その適法性を問う関心もうかがえます。黒字リストラは通常、労働者の自由な意思に基づく「希望退職者の募集」や「退職勧奨」といった形で行われるため、直ちに違法となるケースはごくわずかです。ただし、執拗に退職を迫るなどの行為は「退職強要」とみなされ、法的な問題に発展する可能性もあります。
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