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掲載日:2015/07/06

JILPT、「第3回(2014)子育て世帯全国調査」結果速報
~4割強の母親は、第1子の妊娠や出産を機に仕事をやめている
2010-14年に第1子を出産した女性の「育休経験率」は35.1%~

労働政策研究・研修機構は平成26年11月、子育て中の男女の仕事に対する支援策のあり方を検討するため、母子世帯(724)、父子世帯(53)とふたり親世帯(1,416)等計2,197子育て世帯の生活状況およびその保護者の就業実態や公的支援についての要望などを調査しました。このほど、調査結果がまとまりましたので公表します。

 

調査結果のポイント

 <ひとり親世帯と多子世帯の暮らし向きは厳しい>
ふたり親世帯の11.8%、ひとり親世帯の27.3%は暮らし向きが「大変苦しい」と回答している。子ども数でみると、「子1人」世帯の12.4%、「子2人」世帯の13.0%、「子3人以上」世帯の17.0%は暮らし向きが「大変苦しい」と回答している。

 

<ふたり親世帯の低所得世帯比率は減少傾向、ひとり親世帯は逆に増加>
税込所得300万円未満の低所得世帯は、ふたり親世帯の4.6%であり、第1回(2011)調査と第2回(2012)調査時と比べて減少傾向にある。一方、ひとり親世帯の59.9%が低所得世帯であり、第1回調査と第2回調査時より増えている。

 

<ふたり親世帯の貧困率は横ばい、ひとり親世帯の貧困率は悪化>
等価可処分所得が貧困線以下の貧困世帯の割合は、子育て世帯全体では13.2%、ふたり親世帯では7.3%、ひとり親世帯では54.2%となっている。そのうち、ふたり親世帯の貧困率は前回調査時に比べて0.2ポイント低下しているが、ひとり親世帯の貧困率が前回調査の38.4%から大きく上昇している。

 

<社会保障給付の平均額は29.2万円、子育て世帯総収入の7.3%相当>
公的年金、児童手当、生活保護費などを含む社会保障給付の平均額は、世帯全体29.2万円、ふたり親世帯25.0万円、ひとり親世帯59.9万円である。社会保障給付の対世帯総収入比は、世帯全体7.3%、ふたり親世帯4.7%、ひとり親世帯26.5%となっている。

 

<「(父子間の)面会交流あり」の場合、養育費の受取率は11ポイント高くなる>
離婚母子世帯のうち、離婚した父親から養育費を受取っているのが17.2%となっており、前回調査時と比べて3.2ポイント増加している。そのうち、離婚した父親が子どもとの間に「面会交流あり」の場合、養育費の受取率が24.4%で、「面会交流なし」の場合(13.4%)より11.0ポイント高い。

 

<4割強の母親は、第1子の妊娠や出産を機に仕事をやめている>
第1子の妊娠判明直前(t1)では有業であったが、出産3ヵ月後(t2)または出産1年後(t3)に無職となった「出産退職」の母親は、全体の43.1%を占めている。一方、t1-t3のいずれの時期においても有業だった、いわゆる「就業継続」した母親は、32.7%である。そのうち、妊娠前有業だった母親の出産後就業継続率は、43.1%となる。

 

<2010-14年に第1子を出産した女性の「育休経験率」は35.1%>
これまでに育児休業制度を利用したことがある母親の割合(育休経験率)は、21.1%である。育休経験率は、第1回調査(17.8%)と第2回調査(19.6%)に続き、上昇傾向にある。育休経験率は、第1子を出産した時期が「2000-2004年」では17.0%、「2005-09年」では26.1%、「2010-14年」では35.1%となっている。

 

<3歳未満の子どものいる有業女性の14.3%が短時間勤務制度利用中>
子育て中の女性全体では、これまでに短時間勤務制度を利用したことがある者の割合(時短経験率)は8.4%で、前回調査時より2.9ポイント上昇している。有業母親のうち、短時間勤務制度を利用中の者は4.3%である。時短利用中の比率が高いのは、2010年以降に第1子を出産した有業母親(15.7%)と末子が3歳未満の有業母親(14.3%)である。

 

<6歳未満の子どものいる世帯のうち、保育待機世帯は5.1%>
6歳未満の子どもを育てている世帯の保育所利用率は38.5%であり、一番下の子どもが現に保育所を利用しておらず、認可保育所を申し込んだが入所できなかった保育待機世帯は、5.1%である。認可保育所の待機率がとくに高いのは、低年齢児童のいる世帯(0歳児11.4%、1歳児6.4%、2歳児2.7%、3歳児4.1%)である。

 

<ひとり親と低学歴層は、「金銭的支援」を選好する傾向がある>
保護者が望む公的支援の1位は「金銭的援助」である。ひとり親はふたり親に比べて、「金銭的支援」を選ぶ割合が高く(82.2% vs.74.9%)、「保育サービス」(43.1%vs.51.4%)と「休業・休暇の期間延長」(9.3%vs.16.2%)を選ぶ割合は低い。低学歴層は高学歴層に比べて、「金銭的支援」を選ぶ割合が高く(79.8%vs.72.8%)、「保育サービス」(43.7%vs.55.2%)と「休業・休暇の期間延長」(11.0%vs.18.5%)を選ぶ割合は低い。

※詳細な調査結果は、JILPT調査シリーズNo.145として公表予定。

 

◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /6月30日発表・同機構プレスリリースより転載)