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掲載日:2024/12/07

2025年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査

企業選びの重視事項は「組織の特徴・環境の魅力」から「自分に合った仕事・働き方」

安定志向が進み、勤務地重視率は過去最高の68.5%に
インターンシップ・仕事体験には8割が参加し、就職活動の一歩目として定着
コミュニケーションのカギは「安心感」「自己決定感・納得感」の醸成


企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、当社)は、2025年度卒として就職活動を行った大学4年生・大学院2年生1,117名に対して「2025年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」を実施し、その調査結果を公表しました。

【エグゼクティブサマリ】
・インターンシップ・仕事体験に参加した学生は8割に増加。参加理由は「仕事内容」「社員の人柄や職場の雰囲気」を知りたかった、がどちらも5割超
・本選考へのエントリーにあたり重要なことは、仕事内容や社風だけではなく、キャリアイメージを持てたかどうか
・仕事に求めることのTOP3は安定・貢献・金銭
・学生が企業に応募するきっかけ1位は「勤務地」
・志望度が最も高まるのは「面接」と「インターンシップ」の場面。応募企業への志望度向上要因トップは「働くイメージを持つことができた」
・就職活動の悩みを相談する相手として最も多いのは「家族」
・内(々)定受諾の最終的な決め手は「やりたい仕事ができる」がトップ
・就職活動の「軸」が明確になったタイミングは「自己分析を通じて」が3割強
・内(々)定受諾後に、「不安を感じていない」という人はわずか2割
・約6割の学生が、入社前に勤務地がわからないこと、配属部門・職種を選べないこと、入社後に転勤があることで入社意向が低下

1.調査担当のコメント
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部 主任研究員
飯塚 彩(いいづか あや)


2025年卒の就職活動の特徴の1つは、安定志向が強まったことです。
学生が仕事に求めることの1位は「安定」、2位は「貢献」、3位は「金銭」となりました。「金銭」がトップ3に入ったのは、本設問の聴取を開始した2015年以来のことです。昨今の社会情勢を受け、経済的な安定を求める気持ちが高まった結果と考えられます。また、自分にとって好ましい環境を手放したくないという気持ちの強まりもうかがえました。エントリーの理由として、「希望する勤務地で働けそうだから」の選択率は2012年卒以来過去最高となり、入社意向が低下する要因として、「入社前に勤務地がわからないこと」「配属部門・職種を選べないこと」「入社後に転勤があること」の選択率も2024年卒よりもさらに強まりました。勤務地重視の志向はコロナ禍にあった2021年卒からみられますが、リモートワーク・リモート授業をはじめとするデジタル化が急速に進んだことの影響と考えられます。

2025年卒のもう1つの特徴は、企業選びにあたっての重視事項が、組織の特徴・環境の魅力から、自分に合った仕事・働き方へと明確に移り変わったことです。そのあらわれとして、入社の決め手の1位は「やりたい仕事(職種)ができる」で、選択率は過去最高となりました。あわせて、「入社後のキャリアをイメージできる」「労働時間や勤務スタイルが魅力的」といった、働き方に関することがらの選択率も上がっています。2位は「社員や社風が魅力的である」ですが、「やりたい仕事(職種)」の伸びと入れ替わる形で選択率が低下しています。企業理念、経営方針、その会社ならではの強みといった、企業特性に関することがらの選択率も下がっています。

こうした傾向を踏まえると、学生にとっては、自分の望む環境を選択できるか、その会社で働き、成長した自分の姿を思い描けるかが、これまで以上に重要になっているといえます。インターンシップ・仕事体験参加後に本選考にエントリーしなかった理由としても、4人に1人が「入社後のキャリアイメージがわかなかったから」と回答しています。また、志望度が高まった場面としては、企業インターンシップと面接が挙げられています。WEBで得られる情報が増える中、企業との直接的なコミュニケーションのインパクトは増していると考えられます。これからの採用活動においては、企業は様々なコミュニケーション手段の特性を生かしながら入社後をリアルにイメージできるような機会を提供すること、そのうえで、学生の安心感と自分の意思で進路を選択したという感覚を醸成することが求められるといえるでしょう。

2.調査の結果
インターンシップ・仕事体験に参加した学生は8割に増加

・25卒でインターンシップ・仕事体験に参加した学生の割合は23卒・24卒よりも増え、8割となった。
⇒大学3年生の夏インターンシップを皮切りに採用・就職活動は本格化。企業にとっては、こうしたインターンシップで優秀な学生と早期に出会い、本選考にエントリーしてもらうことが重要となっていると考えられる。

インターンシップ・仕事体験への参加理由は「仕事内容」「社員の人柄や職場の雰囲気」を知りたかった、がどちらも5割超
・「仕事内容を知りたかった・体験したかったから」との回答が最も高く、全体の73.3%であった。次に多かった「社員の人柄や職場の雰囲気を知りたかったから」も5割を超えた(54.3%)。
・「インターンシップ・仕事体験の選考を通じて本選考の練習をしたかったから」という理由で参加した学生は34.6%で、「本選考への優遇措置があったから」という理由の参加者は約4人に1人の割合だった(26.3%)。
⇒企業の仕事や社風を知る機会としてだけでなく、本選考まで意識して参加している人もいることがわかる

本選考へのエントリーにあたり重要なことは、仕事内容や社風だけではなく、キャリアイメージを持てたかどうか
・インターンシップ・仕事体験に参加した会社の本選考にエントリーしなかった理由として最も多かったのが「仕事内容が自分に合わないと感じたから(34.8%)」となり、「社員の人柄や社風が自分に合わないと感じたから(26.4%)」「入社後のキャリアイメージがわかなかったから(24.2%)」と続いた。

仕事に求めることのTOP3は安定・貢献・金銭
・仕事に求めることの1位は「安定(42.6%)」。次いで「貢献(31.1%)」「金銭(30.0%)」「成長(29.8%)」がほぼ同水準で並ぶ結果となった。
・2020年卒から6年分の結果を比較したところ、仕事に求めることの上位に来ている「安定」「貢献」「金銭」「成長」に目立った変化はなかった。経年でみると、「貢献」「成長」の重視度がわずかに下がっており、1位の「安定」との選択率の差が広がっている。
⇒まず安定した環境を確保したうえで、仕事を通じて貢献や成長をしていきたいという学生の考えがうかがえる。

学生が企業に応募するきっかけ1位は「勤務地」
・内(々)定企業に応募したきっかけとして最も選ばれたのが「希望する勤務地で働けそうだから(68.5%)」で、20卒以来最高値だった。2番目に多く選ばれたのは、23卒まで1位だった「業界に興味があったから(66.1%)」だが、経年でみると選択率は低下している。
⇒勤務地重視の傾向はコロナ禍を機に強まり、それに合わせて応募時に勤務地確約を掲げる企業が増加したことで、ますます重視されるようになったと考えられる。

志望度が最も高まるのは「面接」と「インターンシップ」の場面
・学生の志望度向上に最も影響が大きかった場面は、1位が「面接(22.1%)」、2位が「インターンシップ(20.0%)」だった。
・一方、会社説明会のインパクトは21卒以降比較的低い数値で推移している(12.5%)。
⇒学生にとって、面接は自分が一個人としてどのように扱われるか、インターンシップは仕事・社風が自分に合うかどうかを知る場であり、志望度への影響が大きいと考えられる。会社説明会はコロナ禍以来オンラインでの実施が主流となった。学生にとって効率的に情報収集を行えるようになった一方で、インパクトは薄くなっているといえる。

応募企業への志望度向上要因トップは「働くイメージができた」
・応募企業への志望度向上に影響を与えたこととして、「自分がこの企業で働くイメージを持つことができた(39.0%)」が1位だった。次に「就職先として自分に合っているかを検討するのに有効な情報が得られた(31.1%)」と回答した割合が高かった。
・20卒からの経年の傾向としては、「採用活動における各種のやりとり(合否連絡等)が手際よく迅速だった(18.0%)」の選択率が伸びている。また、「自分のことをよく理解しようとしてくれた(22.0%)」の選択率は上位にあるものの、下降傾向にある。
⇒採用・就職活動の早期化が進む中、選考が早く進むことは学生に「自分を求めている」と感じさせる一方、十分に理解されているという感覚を持ちにくくさせている可能性がある。

就職活動の悩みを相談する相手として最も多いのは「家族」
・就職活動の悩みの相談相手1位は「家族(62.9%)」で、24卒と比べて6.4ポイント増。僅差で「友人・先輩・後輩(60.9%)」が続き、最も身近な就職活動のプロである「大学・大学院のキャリアセンター」への相談は35.1%に留まっている。
⇒就職/採用活動上のステークホルダーとして「家族」の影響力が増しているといえる。

内(々)定受諾の最終的な決め手は「やりたい仕事ができる」がトップ
・内(々)定受諾の判断の際に重要なこととしては「やりたい仕事(職種)ができる(15.8%)」が最も多く選ばれた。
・続いて「社員や社風が魅力的である(10.3%)」が多かったものの、経年でみると減少傾向である。
・経年の変化を見ると、「社員や社風」「企業理念やビジョン(2.3%)」「経営方針や戦略(1.7%)」「その会社ならではの強み(1.7%)」「製品・サービス(1.5%)」といった企業特性に関する事柄の選択率は低下し、「入社後のキャリアを具体的にイメージできる(4.8%)」「労働時間や勤務スタイルに魅力がある(3.8%)」などの選択率が上昇している。
⇒企業の特性そのものよりも、望ましい働き方ができそうかが最終的な決め手になっているといえる。

就職活動の「軸」が明確になったタイミングは「自己分析を通じて」が3割強
・就職活動を通じて、「軸」(就職先を決断するにあたって大事にしたいこと)が明確になったとする人は8割。明確になった時期は、「自己分析を通じて」が3割超で最多(34.7%)。

・一方で、就職活動のピークを過ぎた時期(卒業・修了年度の7月)になっても「軸」が「明確になっていない」と回答した学生は2割。
⇒多くの学生は自己分析を通じて自身の軸を発見するものの、明確なこだわりを持たずに活動する学生も一定数いることがわかった。

内(々)定受諾後に、不安を感じていないという人はわずか2割
・内(々)定受諾後に「不安を感じていない」という人はわずか20.8%で、ほとんどの人が不安を抱えている。
・不安の内訳としては、「なんとなく漠然と(36.1%)」「社会人としてやっていけるかわからないから(34.7%)」など漠然としたものが多い。

約6割の学生が、入社前に勤務地がわからないこと、配属部門・職種を選べないこと、入社後に転勤があることで入社意向が低下
・入社意向の低下に最も影響を与える項目は、「入社前に勤務地がわからない(66%)」だった。
・約6割の学生が、入社前に勤務地がわからないこと、配属部門・職種を選べないこと、入社後に転勤があることで入社意向が低下すると回答。上記の項目に対して入社意欲が「大きく下がる」と回答した割合は昨年よりも増加している。
⇒いわゆる「ガチャ」、すなわち「不確定な要素」はできるだけ避けたい、自分で選びたいという心情が強く表れていると考えられる。

3.調査概要
調査対象:2024年度卒として就職活動を行った大学4年生・大学院2年生
調査期間: 2024年6~7月
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,117名
 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ /11月28日発表・同社プレスリリースより転載)