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掲載日:2023/02/01

第12回 働く人の意識調査

第8波到来で感染不安高まる、テレワーク実施率は16.8%と過去最低に近く

調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人 日本生産性本部(東京都千代田区、会長:茂木友三郎)は1月27日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第12回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。本調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期毎にアンケートにより実施しているものです。12回目となる今回は、原材料費高騰による物価高が長引き、新型コロナ感染の第8波が収束しない中での1月10日(火)~11日(水)、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1,100名を対象にインターネットを通じて行いました。
 

【第12回「働く人の意識調査」概要】

調査結果から、現在の景況感および景気見通しは引き続き悪く、原材料価格の高騰等が長期的に生活に影を落としていることが確認されました。新型コロナへの感染不安は、年末年始にかけて到来した第8波を受けて30代を除く全世代で増加に転じ、不安感が高まっています。テレワーク実施率は16.8%と、前回10月調査から微減し、過去最低を記録した7月調査の16.2%をわずかに上回りました。また、2022年1月調査と同様に年末年始の過ごし方についての設問を追加しました。主な特徴は以下の通りです。

【第12回「働く人の意識調査」主な特徴】

1. 現況:景況感は「悪い」が75%超、感染不安は30代を除く全世代で増加に転じる

・現在の景気について、「悪い」が、前回10月調査の36.2%から39.1%へと増加。「悪い」「やや悪い」の合計は76.1%と、2021年1月以来の75%超え。
・今後の景気見通しについては、「どちらともいえない」が2022年7月調査以降増加しており、前回10月調査の39.6%から40.8%に増加。「悪くなる」「やや悪くなる」の合計も48.0%から50.6%に増加。
・自身が新型コロナに感染する不安については、「かなり不安を感じている」が前回10月調査で13.8%と過去最小を記録し、2022年1月調査以降減少傾向にあったものの、今回調査で21.2%と増加に転じた。
・年代別では、30代を除く全年代で「不安を感じている」(「かなり不安を感じている」「やや不安を感じている」の合計)割合が増加。特に70代以上は前回10月調査の58.3%から75.0%に増加。
・年末年始の恒例行事を行ったかについて、2022年1月調査と同様に質問したところ、「家でゆっくり過ごす」「大掃除」「仕事」以外の全ての行事・行動について、「行った」割合は昨年より増加。一方、「コロナ禍前には行っていた」割合と比べると、大幅に小さいものが多い。

2. 勤め先への信頼感:業績への不安は増加に転じる、収入不安は払しょくされず

・今後の勤め先の業績について、「かなり不安を感じる」と「どちらかと言えば不安を感じる」の合計は50.8%と、過去最小であった前回から増加に転じ、5割を上回った。
・今後の自身の雇用について、「不安は感じない」(「全く不安は感じない」「どちらかと言えば不安は感じない」の合計)割合が53.6%と、6回連続して「不安は感じない」が5割を上回った。雇用不安は第3回調査(2020年10月)で最大となって以来、改善傾向。
・今後の自身の収入について、「不安を感じる」(「かなり不安を感じる」「どちらかと言えば不安を感じる」の合計)が62.3%と、前回10月調査の61.6%から増加。前回まで過去3回にわたり微増を続けていた「かなり不安を感じる」は減少した一方、「どちらかと言えば不安を感じる」は前回より増加しており、不安感は払しょくされていない。
・勤め先への信頼の程度は、「信頼している」(「信頼している」「まずまず信頼している」の合計)が54.7%と減少。2022年4月以降、勤め先への信頼感は連続して減少の傾向にある。

3. キャリア形成と人材育成:自己啓発「特に取り組む意向は無い」が初の6割超

・最近3か月(10月以降)のOff-JTの実施状況について、勤め先からの「案内により受講した」は前回調査の7.2%から5.3%に微減。「案内はあったが受講しなかった」は7.0%、「勤め先から特に案内がなかった」は87.7%。「案内があった」割合は12.3%と前回10月調査の16.1%より減少。
・最近3か月(10月以降)にOJTを「行う」機会が「あった」は12.5%と減少し、OJTを「受ける」機会が「あった」も13.2%に微減。ただし、この傾向は2022年1月も同様であることから、年末年始の影響によるものである可能性も考えられる。
・勤め先の教育の現状に、雇用者は満足しているかについて、教育の「機会」に「満足している」割合(「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計)は36.1%、教育の「内容」に「満足している」(「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計)は35.8%と、機会・内容ともに「満足」している割合は前回から減少し、過去最小。
・自己啓発を「行っている」は前回10月調査の14.1%から14.6%に微増、「行っていないが、始めたいと思っている」は26.6%から25.0%に微減。「特に取り組む意向は無い」は初めて6割超。2022年4月調査以降、雇用者の自発的な学習意欲は緩やかながら低下を続けている。

4. 働き方の変化:テレワーク実施率は過去最低に近く、中規模企業の実施率が低下

・テレワークの実施率は前回の17.2%から16.8%に微減。過去最低となった2022年7月調査の16.2%をわずかに上回った。
・従業員規模別に見ると、100名以下の勤め先では前回10月調査の11.5%から12.9%に、1,001名以上は30.0%から34.0%に増加した一方で、101~1,000名では18.7%から13.2%へと減少。これまで大企業とともにテレワークを牽引してきた中規模企業の実施率が、小規模企業の実施率と同程度となった。
・自宅での勤務で「効率が上がった」「やや上がった」と回答した割合は66.7%と過去最高を記録。また、自宅での勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計も87.4%と過去最高となった。
・コロナ禍収束後もテレワークを行いたいかについて、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計は、前回10月調査の76.7%から84.9%へと増加。コロナ禍収束後に「テレワークの普及」が「起こり得る」「どちらかと言えば起こり得る」の合計は37.1%から33.1%に減少。


【実施概要】
調査対象:20 歳以上のわが国の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1,100 名。
※株式会社クロス・マーケティングのモニターを利用。総務省「労働力調査」の最新の結果に基づいて、性・年代別にサンプルを割り当てて回収(端数はサンプル数最多のセルで調整)。
調査期間:2023 年 1 月 10 日(火)~11 日(水)
※本調査は 2020 年度からの継続調査であり、主要な設問は各回調査を踏襲する一方、一部の設問を新設・削除している。

 

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。

(公益財団法人 日本生産性本部  /1月27日発表・同社プレスリリースより転載)