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掲載日:2021/09/10

企業向け研修サービス市場に関する調査を実施(2021年)

2020年度の企業向け研修サービス市場は前年度比8.5%減の4,820億円、2021年度は同8.9%増の5,250億円を予測
​~コロナ禍対応型の研修ビジネスへの移行が進展、2021年度は再び成長軌道確保へ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の企業向け研修サービス市場を調査し、マーケット動向のほか、コロナ禍がマーケットにもたらす影響評価やサービスニーズの変化などを踏まえた将来展望を明らかにした。


1.市場概況
2020年度の企業向け研修サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比8.5%減の4,820億円と推計した。前年度までは伸長率が鈍化傾向もプラス成長を堅持していたが、2020年度はコロナ禍のダメージをフルに受けたことが大きく響いてマイナス成長に転じている。

近年、マーケットの成長ドライバーとなってきたのは、企業の積極的な新卒採用を背景とした新人研修であったが、2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした外出制限を伴う第1回目の緊急事態宣言が発出されたタイミングと実施機会が被り、中止・延期に追い込まれた影響が大きく、当該市場で主力となっているクラスルーム形式の研修ビジネス(公開プログラム・カスタマイズプログラム)の減収を招いた最大要因となっている。集合研修が中止・延期となった影響は、通年で実施される各種研修の実施機会損失にもつながっており、特に、新人研修と同じく好調に推移していた、若手・中堅社員向けや次世代リーダー層向け、中間管理職向け、経営幹部候補者向けといった階層別研修も大きな打撃を受けた格好となった。


2.注目トピック
コロナ禍がテレワークの普及・拡大を加速、ビジネスを進めていく上でオンライン研修の提供がマスト要素に

2020年度の企業向け研修サービスを巡っては、コロナ禍により、多くの研修事業者が主力ビジネスとしている集合研修(公開講座・個別研修)が中止・延期に追い込まれた影響――特に近年、好調に推移してきた「新人研修」の実施機会が第1回目の緊急事態宣言発出のタイミングと重なった影響――がマーケットに与えたダメージは大きく、マイナス成長をもたらす結果となったが、この影響はあくまでもコロナ禍に依るものであり、企業側の採用意欲や教育投資予算が落ち込む方向にあるわけではないことから、一時的なダメージと捉えている研修事業者は多い。

2020年度下半期は、集合研修の代替手段となるオンライン研修の投入が急務課題であるとして、とりあえず集合型研修で行っていた研修プログラムをそのままオンライン化するというところが多かったが、オンライン化への移行が一定程度達成している現在では、オンラインに適した研修手法やコンテンツの開発を強化する動きが活発化している。
オンライン研修は基本的に一人で受講するものであり、最後まで見てもらえるような飽きさせない工夫や研修効果が得られるような工夫を凝らす必要がある。そのため、研修時間を短縮したり、動画やマイクロラーニング(短時間学習を単位とする学習方法)などの手法を採り入れているところも増えている。今後はこうした工夫がオンライン研修サービスを提供していく上での大きな差別化ポイントになっていくと思われる。


3.将来展望
2021年度に入り、オンラインを活用した研修などコロナ禍に対応した研修サービスへの移行が加速しており、コロナ禍前もしくはそれ以上の水準までマーケットが回復している分野も散見されることから、2021年度の企業向け研修サービス市場(事業者売上高ベース)は、前年度比8.9%増の5,250億円と大幅なプラス成長を予測する。


■調査要綱
1.調査期間:2021年4月~7月
2.調査対象:企業向け研修サービスを展開している事業者
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX等によるアンケート調査、ならびに文献調査併用

<企業向け研修サービスとは>
本調査における企業向け研修サービスとは、企業向けに「事業」として実施される研修・教育のことであり、自社内の研修部署による自社社員の教育は含まれない。ただし、研修子会社により、親会社またはグループ会社向けに実施される研修サービスは「事業」として含める。
研修形態としては、クラスルーム形式(公開プログラム、カスタマイズプログラム)や通信教育、eラーニング、組織診断・アセスメントなどを対象とした。但し、「教材」に関しては、「クラスルーム研修」「通信教育」に予め組み込まれていない限り、含まない。

<市場に含まれる商品・サービス>
企業向け研修サービス


■お問い合わせ先
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号 03-5371-6912
メールアドレス press@yano.co.jp

 

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(株式会社矢野経済研究所 / 9月9日発表・同社プレスリリースより転載)