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掲載日:2021/08/06

大手46法人調査 選択的週休3日制(含む休日増・時短制度)を「目的問わず利用可能」は約8%

株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区、代表取締役社長最高経営責任者:安斎富太郎、以下 ワークスHI)は、統合人事システム「COMPANY」のユーザーである大手法人を対象に選択的週休3日制に関する状況調査を実施し、46法人から回答を得ました(調査期間:2021年6月14日~7月2日)。制度の導入・検討状況について、調査結果をお知らせします。

●本調査の背景
6月18日に「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)」[1]が閣議決定されました。「多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実」の中で、育児・介護・ボランティア・地方兼業に活用できることから、選択的週休3日制の導入を企業に促し、普及をはかると説明されています。

育児や介護を行う社員に対しては法定で短時間勤務等の措置が義務付けられており、また退職後再雇用の高年齢者に対しても多くの企業が労働時間を短縮する制度を導入しています。そのため今回新たな論点となるのは、ボランティアや地方兼業といった、多様な働き方の実現を目的とした制度です。

こうした背景を踏まえ本調査では、選択的週休3日制を含む、多様な働き方支援を目的とした休日増加・労働時間削減を行う制度の導入・検討状況について、大手法人へアンケートを実施しました。

●調査結果
1. 多様な働き方を支援するために(育児、介護、高年齢除く)、休日の増加や労働時間を短縮する制度はありますか。(n=46)

週休3日制を含む、多様な働き方支援のための休日増加や時短制度の導入、検討状況について尋ねたところ、43.5%が「すでに制度として運用中」と回答しました。残りの未導入の法人については、「制度検討中で実施予定」の回答はなく、28.2%が検討中(導入は未定)もしくはこれから検討予定、そして28.3%は「検討しておらず、検討の予定もない」と回答しました。

ただし、「すでに制度として運用中」と回答した43.5%の法人に対し、従業員に制度利用を認める際の事由を尋ねたところ、希望すれば理由問わず利用可能な「目的は問わない」と回答した法人は18.2%に留まりました。調査対象の46法人全体から見ると、うち7.9%が「目的を問わず、休日増加・時短を利用できる」運用をしているという結果となりました。


2. 休日増加・時短制度(育児、介護、高年齢除く)を開始してどれくらい経過していますか?(n=15)

すでに制度導入済みの法人に対し、制度の運用期間について尋ねたところ、長期間運用している法人が最も多く、「5年以上」が73.3%でした。多くはここ最近で導入されたものではなく、以前より運用されていることがわかりました。一方、直近で導入した法人もあり、「1年未満」は20.0%でした。


3. 休日増加・時短制度(育児、介護、高年齢除く)を検討していない理由を教えてください。※複数回答可(n=13)

制度導入を検討しない理由については、「すでにフレックスタイム制や特別休暇等、労働時間の弾力化を進めており必要性を感じない」「組合や社員からの要請がない」が38.5%、「利用する社員が見込めない」「1日の勤務時間が長時間化すると健康状態の把握の負担が増える」が30.8%でした。「その他」の回答には、反対に「希望者が多数出てしまっても困る」といった声もありました。


●総括(解説:WHI総研 フェロー 井口 克己)
自己実現や自己啓発を目的とした週休3日制導入には、社会的な需要の高まりや公的支援が必要
回答のあった46法人のうち、育児・介護を除いた選択的週休3日制(を含む休日増加・時短制度)を導入済みの法人は約4割あります。しかし、理由の多くは療養の必要や障がいがある場合の負担軽減となっており、理由を問わない利用を認めている企業は多くありません。また、制度を未導入の6割の法人も、現時点で積極的に導入を予定している企業はありません。

企業が、選択的週休3日制(を含む休日増加・時短制度)の導入を予定していない理由は、コロナ禍で在宅勤務とフレックスタイム制のコアタイムの撤廃が広く普及したため、現在の労働時間制度の枠組みの中でもボランティア、地域活動、リカレント教育に充てる時間を捻出することは可能であると想定していることが挙げられます。

また、選択的週休3日制度は、給与が減額されるため制度を利用する社員は多くないと企業は想定しています。しかも、影響範囲は給料の減額だけでは収まらず、時間外手当、退職金、社会保険等、多くの制度に影響がおよびます。そのため制度設計には多くの時間がかかることが想定されます。多数の課題を抱える人事部門が、利用する社員が少ないと想定される制度の導入に優先順位を上げて対応することは難しいと考えられます。
 

<調査概要>
調査名 :選択的週休3日制に関する状況調査アンケート
期間 :2021年6月14日~7月2日
調査対象 :当社ユーザーである国内大手法人
有効回答数:46件
調査方法 :インターネットを利用したアンケート調査

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社Works Human Intelligence / 8月5日発表・同社プレスリリースより転載)