ニュース
人事サービス その他人事サービス
掲載日:2021/06/29

24万人のストレスチェック結果を1年前と比較

株式会社ドクタートラスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役:高橋雅彦、以下「ドクタートラスト」)のストレスチェック研究所では、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者103万人のデータを活用し、さまざまな分析を行っています。

今回は2020年度にストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、およそ24万人の結果を分析し、コロナ禍における働く人たちのメンタル面の変化を導き出しました。
 

【はじめに】
ストレスチェック制度は、従業員のメンタル不調の予防やその気付きを促すこと、また、ストレスが高い人の状況把握やケアを通して職場環境改善に取り組むことを目的として制定されました。2015年12月以降、従業員数50名以上の事業場で年1回の実施が義務づけられています。
ドクタートラストが提供するストレスチェックサービスは、設問数80項目と57項目の2種類を用意し、ご利用いただく法人さまに、どちらを使用するか選んでいただいています。設問数80項目のストレスチェックは職場環境改善の参考とするべく作られたものですが、今回の調査では、2020年度にドクタートラストでストレスチェックを受検した方のうち、240,275人の最新結果と、2019年度の結果を比較分析いたしました。


【経年で特に差が生じた5つの尺度】
2020年度の結果は2019年度の結果よりも多くの尺度が良好に変化していました。その中でも差の大きかったトップ5尺度は以下の通りです。括弧内の数値は各設問が何%良好に変化したかを示しています。

① 職場環境(1.7%)
② 疲労感(「ひどく疲れた」2.0%、「へとへとだ」1.5%、「だるい」2.5%)
③ 経済・地位報酬(3.9%)
④ 経営層との信頼関係(2.9%)
⑤ 公正な人事評価(2.8%)

以下では、それぞれについて解説します。


1.職場環境
職場環境は、設問「私の職場の作業環境(騒音、照明、温度、換気など)はよくない」への回答状況から算出します。

2019年と2020年を比較すると、「ちがう・ややちがう」が1.7%増えました。在宅勤務制度の導入により自宅で働く人が増え、自分好みの環境で就労できている人が増えている可能性がうかがえます。

2.疲労感
疲労感は、設問「ひどく疲れた」「へとへとだ」「だるい」の回答状況から算出します。

コロナ禍のため従来と就業環境が大きく変わった人も少なくありません。慣れない環境のため疲労感は大きくなると予想していたのですが、2020年度の結果では疲労感は少ないほうに変化していました。仕事量が減ったことも考えられますが、在宅勤務によって通勤がなくなったことに伴う疲労軽減、あるいは社内コミュニケーションが億劫な人にとっては気疲れが減った可能性も考えられます。

3.経済・地位報酬 
経済・地位報酬は、80項目版の設問「自分の仕事に見合う給料やボーナス」への回答状況から算出します。
コロナなど関係なく報酬が多くなった可能性もありますが、株式会社帝国データバンクの出した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」では、2020年冬季賞与において以下のような調査結果が報告されています。

「2020年冬季賞与(ボーナス、一時金なども含む)の従業員1人当たりの平均支給額について、新型コロナウイルスの影響で2019年冬季賞与と比較して変化があったか尋ねたところ、「賞与はあり、増加する(した)」が15.0%、「賞与はあり、変わらない」が36.4%となった。一方で、「賞与はあるが、減少する(した)」企業は32.5%となった」

このことから、報酬の減少した企業が一定存在していることも確かです。ストレスチェックは「自分の仕事に見合う給料やボーナスをもらっている」という設問の性質上、報酬の増減ではなく「仕事に見合う」報酬を得ているかを尋ねています。そのため、報酬についてきちんとその理由を説明し従業員が納得することが重視されます。上記を踏まえ今回のストレスチェックの結果については、コロナ禍であることで例年よりも給与面での説明をしっかりと行った企業が多くなった可能性が考えられます。

4.経営層との信頼関係
経営層との信頼関係は、80項目版の設問「経営層からの情報は信頼できる」から算出します。

2019年と2020年を比較すると、「そうだ、まあそうだ」が2.9%増えました。平時にくらべてコロナ禍ということもあり、会社から情報発信をする機会自体が増えた可能性が挙げられます。

5.公正な人事評価
公正な人事評価は、80項目版の設問「人事評価の結果について十分な説明がなされている」への回答状況から算出します。
「経営層からの情報は信頼できる」で挙げた可能性と同じく、平時にくらべて従業員に対する説明機会が増えた可能性が挙げられます。会社としては従業員を不安にさせたままではなく今の状況を踏まえどのような評価をしているかを説明していくことで従業員からの信頼を得る機会を増やしていたのかもしれません。


【さいごに】
2020年度と2019年度のストレスチェック結果を比較すると、職場の環境や疲労感、会社についての信頼感で良好な変化が見られました。ストレスチェックの結果は、個々の従業員や職場の現在のメンタルヘルス傾向を知るうえで、非常に重要なデータです。
ストレスチェックの結果に変化がある場合は、その原因を検討するとともに、ぜひとも職場環境改善に活かしていただきたいです。


【調査対象】
調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2020年度受検者、ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2019年度受検者
調査期間:2019年4月1日~2020年3月31日(2019年度)、2020年4月1日~2021年3月31日(2020年度)
対象受検者数:240,275人(2020年度)、199,290人(2019年度)

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社ドクタートラスト / 6月24日発表・同社プレスリリースより転載)