ニュース 掲載日:2017/03/21

日本は、従業員エンゲージメントと職場環境満足度が最低で、職場への不満が多く、執務環境に対する感じ方も最低~世界の従業員エンゲージメントと職場環境実態『STEELCASE グローバルレポート』: 日本スチールケース

世界最大のオフィス家具メーカー、スチールケース社(本社:米国ミシガン州)は、世界20ヵ国(14,903人、従業員数100人以上の企業)のワーカーを対象に、従業員のウェルビーングおよび企業業績の指標となる従業員エンゲージメントと職場環境との相関関係を把握するための世界初の調査を実施しました。その結果、日本は、従業員エンゲージメントと職場環境満足度が最低で、他のどの国よりも職場への不満が多く、執務環境に対する感じ方も最も低いことが明らかになりました。

 

≪日本の職場環境について≫
■オープンな執務スペースで仕事をしている割合が78%(平均※1 23%)と最も多く、自席を持たないモバイルワーカーは21%(平均8%)である。
■ノートPCの利用率は59%と最高(平均39%)だが在宅勤務などの遠隔ワークは9%と少ない(平均55%)。
■オフィスにリフレッシュエリアがあるのは51%と比較的高い(平均45%)が、充分な数の会議室があるでは37%(平均70%)、プライベートスペースも16%(平均53%)と最低である。
■職場環境の質に対する評価は10点中5.4で最低である(平均6.6)。
■職場環境を気に入っている人は「強くそう思う」9%、「そう思う」36%で最低(平均23%、46%)である。
■会社が従業員の能力を最大限に引き出していると思うのは39%(平均63%)、従業員の価値を認め、尊重していると思うのは34%(平均56%)と最低である。

 

※STEELCASE グローバルレポート: グローバルの対象国は先に調査を行った17ヶ国(アラブ首長国連邦、ベルギー、カナダ、中国、ドイツ、スペイン、フランス、イギリス、インド、メキシコ、オランダ、ポーランド、、ロシア、サウジアラビア、トルコ、アメリカ、南アフリカ)
※従業員エンゲージメント: エンゲージメントとは従業員が企業の目標達成に向けて、自発的に自らの力を発揮し貢献しようとすること。それによって従業員も成長するという考え方。今日、人事や組織開発の分野で幅広くも強いられている経営用語。
※1: 上記17ヶ国の平均値

 

日本は、オープンな執務環境のオフィスが世界平均の3倍以上、島型対向式レイアウトが多くを占めています。ノートPCの利用率が高い割には遠隔から仕事をするリモートワークは稀で、管理職は1日を通してチームに近いところに自席を持ち、メンバーを管理しています。

多くのオフィスには十分な会議室やプライベートなスペースが設置されていませんが、リフレッシュエリアが設置されているオフィスは51%と高い割合です。

日本のワーカーは他のどの国よりも、職場への不満が多く、執務環境に対する感じ方も最も低く、過密状態のオフィスは雑音の抑制や換気配慮、系統立てたスペースづくりも困難で、オフィス家具にも強い不満が見られます。

日本では1日を通してオフィススペース内で簡単に身体を動かして姿勢を変えることができますが、働く「場」のチョイスは極めて少なく、大部屋でのオープンで過密な空間の中では集中も難しく、頻繁に作業が中断されることも多い環境です。

オフィスが刺激的、革新的であると答えたワーカーは5%、日本のワーカーが、会社が従業員の価値を認め、尊重していないと感じるのも驚くことではないのでしょう。これは長時間働いているにもかかわらず、会社が従業員の能力を最大限に引き出していると感じる人が39%だけに留まっている数値にも表れています。
 

 

≪エンゲージメントと職場環境満足度≫
調査対象国との比較において、日本はエンゲージメントも、職場環境に関する満足度も最も低いという結果になりました。

「仕事に行くのが楽しい」や「自分の会社を推奨できる」といった項目は著しく低いですが、約半数(52%)は「同僚との連帯感を感じる」と答えています。これは平均値の76%よりもかなり低いものの日本のエンゲージメント指標の中では最も数値が高い項目です。また、3分の1は「職場が楽しく落ち着ける」と答えており、これは世界平均を超えるもので、おそらくは集団における秩序や調和を重視する日本的文化も要因していると思われます。

調査全体からみるとオープンなオフィス環境の中、集中できるスペースやプライベートな空間を時により利用できるかが満足度を高めるのに影響しているようです。

カジュアルでリラックスしたワークカルチャーや、より快適でサポート力の高い仕事環境を創出することが、高い従業員エンゲージメントとパフォーマンスへとつながることは間違いありません。

 

≪エンゲージメントと職場環境満足度の対象国比較分布図≫
エンゲージメントが最も高いワーカーは、新興国に多く、エンゲージメントが最も低いワーカーは先進国に多い傾向があります。データを解析すると、ワーカーの居住国やその文化的背景、期待度が、エンゲージメントレベルや職場環境への満足度に大きく影響していることが分かります。もちろん、例外もありますが文化的背景がワーカーの会社や職場環境に対する意識や態度を左右していると思われます。そして、ワーカーが満足感を感じ、高いエンゲージメントで仕事ができる「場」を見つけることができるかどうかはこれによるところが大きく、本調査での発見事項は、今後、グローバルに事業を展開する多国籍企業が世界の様々な地域でオフィスを計画する際の参考にしていただけるでしょう。

非常に高いエンゲージメント+満足度
インド28%、メキシコ22%、アラブ首長国連邦20%
非常に低いエンゲージメント+満足度
日本1%、フランス5%、スペイン7%

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(日本スチールケース株式会社  https://www.steelcase.com/asia-ja/ /3月16日発表・同社プレスリリースより転載)