『労政時報』提携

2012年賃上げの見通し
―労使および専門家505人アンケート

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民間調査機関の労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、1974年から毎年、来る賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、「賃上げに関するアンケート調査」を労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施しています。本記事では、2012年の調査結果より「実際の賃上げ見通し」「自社における2012年定昇・ベアの実施」について取り上げます。

※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。

【調査要領】

1. 調査時期:2011年12月9日~2012年1月13日

2. 調査対象:被調査者5791人(内訳は下記のとおり)
◇ 労働側 東証第1部および2部上場企業の労組委員長等1924人(労組がない企業は除く)
◇ 経営側 東証第1部および2部上場企業の人事・労務担当部長2006人
◇ 労働経済分野の専門家 主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなど1861人

3. 回答者数および集計対象:1月13日までに回答のあった合計505人。対象別内訳は、労働側194人、経営側148人、労働経済分野の専門家163人

4. 集計要領・方法:賃上げ額・率は東証第1部・2部上場クラスの一般的な水準を目安に回答いただいたもので、定期昇給込みのものである。「賃上げ額」「賃上げ率」はそれぞれ別個に調査し、具体的な数値の記入があったものをそのまま集計したため、両者の間には必ずしも関連性はない。

実際の賃上げ見通し

  • 全回答者の平均:5154円・1.66%
  • 労使の見通し:労働側5321円・1.71%、経営側5233円・1.69%。賃上げ率の見通しは約1.7%でほぼ一致

額・率の見通し

東証第1部・2部上場クラスの主要企業を目安として回答いただいたところ、2012年の賃上げ見通しは全回 答者の平均で5154円・1.66%となりました。厚生労働省調査における主要企業の昨11年賃上げ実績は5555円・1.83%でしたが、これを401 円・0.17ポイント下回る予測です。

各種調査によると、大手企業の“定期昇給率” は平均で1.6~1.8%程度とみられ、今回の調査では定昇率を「1.8%」と提示しています。定期昇給制度を持たない企業もあるため一様にはいえませんが、平均値で見ると「定昇をも下回る賃上げ」という予測結果です。

労使別では、労働側5321円・1.71%、経営側5233円・1.69%となりました。賃上げ率については労使とも約1.7%で、ほぼ一致しています。

成果主義の広がりの中で、90年代以降、定昇制度の見直しを行った企業も少なくありませんが、なお何らかの 定昇部分を設けている企業にとっては、制度を維持する上で定昇原資分の確保が賃上げの下限ラインと考えられます。労使について分布を見ると、 「1.8~1.9%」の“定昇”ラインが半数程度を占めており、それをやや下回る「1.6~1.7%」がこれに続いています。震災からの復興、円高や欧州 債務危機といった厳しい経済・経営環境下であるものの、“定昇”はほぼ確保される、という見方が主流といえるでしょう。

【図表1】 実際の賃上げの見通し(額・率)

【図表1】 実際の賃上げの見通し(額・率)

[注]賃上げ率は小数第1位まで回答いただいているが、平均値は小数第2位まで算出している(以下同じ)。

【図表2】 実際の賃上げ見通しに見る労使の差の推移

【図表2】 実際の賃上げ見通しに見る労使の差の推移

[注]上記の差は、労働側の見通しから経営側の見通しを引いたもの。「△ 」は、労働側が経営側を下回っていることを表す。

留意点
実際の賃上げ見通し」については、調査票上に以下のデータを提示し、それを目安として東証第1部・2部上場クラスの主要企業における2012年の賃上げがどうなるか、世間相場の観点から回答いただいた。なお、賃上げ額・率は定期昇給込みのものである。

  1. 厚生労働省調査による主要企業の昨11年賃上げ実績は5555円・1.83%
  2. 上記から推測される大企業の賃上げ前基礎ベースは30万9000円程度
  3. 定期昇給のみの場合は1.8%(5560円)程度

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