人事マネジメント「解体新書」

社員の「ボランティア活動」と企業の支援【前編(2/3ページ)

~「東日本大震災」以降、「ボランティア経験」を職場で活かす新しい動きも~

東日本大震災以降、高まるボランティア活動への意識
◆東日本大震災で、意識と行動に変化が

ところが、2011年3月11日に起きた東日本大震災により、日本人の意識は大きく変わった。政府広報センター「ボランティア活動に関する意識・実態調査」によると、東日本大震災をきっかけとして、ボランティア活動に対する意識が「高まった」(24%)と「ある程度高まった」(43%)という人は、合わせて67%に達している。また、今後ボランティア活動に「参加したい」(19%)と「機会があれば参加したい」(64%)の総計は、実に83%にも達している。

ボランティア活動に参加する意向がある人に、参加する目的を聞いてみると、「社会のために役に立てる」が61%。以下、「自分の知識・技術・能力・経験を生かす」「活動そのものを楽しむ」「困っている人の役に立てる」「自分が人間として成長できる」が30%台で続いている。

ボランティア活動が盛んになるための条件としては、「ボランティア休暇など企業の支援施策」との回答が45%と最も多い。次いで、「国や地方自治体による情報提供、相談窓口開設などの活動」「ボランティア活動団体の整備・充実」「ボランティア活動に対する職場の理解」「ボランティア活動の斡旋・紹介機能の強化」が30%台後半で続いている。

事実、震災後に被災地で自らボランティア活動を行う社会人が続々と増えており、昨年の未曾有の災害が日本人の意識と行動を大きく変えていったことがうかがえる。

図表2:東日本大震災によるボランティア活動への意識の変化(%)

高まった 24
ある程度高まった 43
変わらなかった 32
その他 0

図表3:ボランティア活動への参加意向(%)

参加したい 19
機会があれば参加したい 64
参加したいとは思わない 5
どちらともいえない・分からない 12

図表4:参加する目的

社会のために役に立てる 61
自分の知識・技術・能力・経験を生かす 39
活動そのものを楽しむ 38
困っている人の役に立てる 36
自分が人間として成長できる 34
多くの人と知り合いになれる 25
時間を有意義に過ごす 20
生きがいを見つけられる 11
社会的な評価を得られる 1
その他 1

図表5:ボランティア活動が盛んになるための条件(%)

ボランティア休暇など企業の支援施策 45
国や地方自治体による情報提供、相談窓口開設などの活動 39
ボランティア活動団体の整備・充実 36
ボランティア活動に対する職場の理解 35
ボランティア活動の斡旋・紹介機能の強化 35
学校や家庭で子どもたちが、ボランティア活動に参加できる仕組みをつくる 31
ボランティア活動に対する家族など周囲の人の理解 28
地域のボランティア活動リーダーの養成 17
その他 4

出所:「ボランティア活動に関する意識・実態調査報告書」(経済広報センター、2011年)

企業が社員のボランティア活動を後押し

このような日本人の意識の変化は、企業を変えていくことになる。「ボランティア向けの有給休暇を導入する」「社員の自主的な社会貢献活動を業務扱いと認める休暇を増加する」など、社員がボランティアに参加するための支援を行う企業がどんどん増えていった。また、社員の有志を募って現地でのボランティア活動を行ったり、新入社員研修のプログラムの中にボランティア活動を組み込んだりするなど、さまざまな取り組みが見られる。ここ1年あまりの新聞報道等による紹介記事を見ても、その活動の様子がうかがえる。

【企業による独自のボランティア支援】

化学A社

教育期間中の新入社員にボランティア活動を体験させることを、配属先の事業所に義務付ける新制度を始めた。事業継続に地域社会との協調は欠かせないからとの考えから

IT関連B社

株式の1%は社会貢献活動の運営資金や寄付金として、利益の1%は顧客管理のデータベース製品をNPO等に無償提供し、労働時間の1%は地域社会に役立てる仕組みを整え、社員1人平均年間24時間ボランティア活動を行っている

電機C社

社員のボランティア活動支援に、さまざまな仕組みで対応。コミュニティ・ギフト制度(ボランティア活動援助金制度)、ハートフルBOX(使用済みのプリペイドカード、切手、書き損じはがき等を団体に寄贈)、社会貢献表彰制度(社員の社会貢献活動を評価・表彰)、ボランティア休暇、ボランティア休職等

部品D社

ボランティア情報サイトを充実。忙しくてボランティアがなかなかできない人に対して、「ちょボラ活動」としてさまざまな情報を提供、社員のボランティア活動への行動を促す

IT関連E社

できることから始めるボランティアを提唱。社会貢献活動休暇・休職制度、社会貢献クラブ(自主運営によるチャリティ活動)、コンサートでの目の不自由な人への誘導サポート、年末年始ステナイ生活キャンペーン、日本赤十字社への献血等

【東日本大震災に関連した支援】

証券F社

被災地に社員を派遣し、がれきの撤去や清掃などのボランティア活動を行う。翌4月にはボランティア休暇制度を導入

光学G社

社内に「ボランティア派遣支援本部」を立ち上げ、被災地のボランティア活動を希望する社員のサポートを行う

自動車H社

東日本大震災の復興ボランティア活動への社員の参加を支援する「ボランティア休暇制度」を新設。自動車メーカーでは初めての試み

教育I社

被災地支援のための「社員ボランティア活動支援制度」を導入(ボランティア休暇、ボランティア活動費用援助、ワンコイン募金給与天引き制度、マッチングギフト)

衣料J社

週末に炊き出しのボランティア社員がいると聞き、平日に休暇が取れるようになればいいと考え、最大14日間の「ボランティア休暇」を導入。東北には震災以来、再開できずにいる店舗があるので、家で待機している社員を地元のボランティア活動に従事させた



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