人事マネジメント「解体新書」

職場の「ハラスメント」(パワハラ・モラハラ)の予防・対処法
~基礎知識から、予防・再発防止策までのポイントを解説(後編)~

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「パワハラ」「モラハラ」への対処法とは
◆発生時にどう対応するか

職場でハラスメントがあったことを知るきっかけとして多いのは、「内部通報制度」だろう。その際、制度がある企業は、手順通りに対処していけばよい。一方、制度がない企業では、セクハラに関して事業主が講じるべき措置を定めた厚生労働省の「指針」が参考になる。同指針では、セクハラがあった場合、以下のような措置が必要だとしている。

  • まず、事実関係を迅速かつ正確に確認し、
  • ハラスメントの事実が確認できた場合には、行為者と被害者に対する措置をそれぞれ適正に行うとともに、
  • 再発防止に向けた措置を講じる

これらの事項はパワハラ・モラハラなど他のハラスメントでも同様である。企業としては、こうした対応が可能となる社内の体制を整えていなければならない。以下、発生時に企業が取るべき行動を紹介する。

◆発生時に取るべき行動

(1)事実関係の正確な確認

ハラスメントの報告があった場合、まず事実関係の確認から始める。その際、相談者と行為者(加害者)の双方からの事情聴取を欠かしてはならない。ハラスメントの場合、他の目撃者がいない密室で行われることも多いため、双方からの事情聴取が適正に行われるかどうかが重要なのだ。また、事実関係に不一致が見られた場合には、第三者からの聴取も行うなど、事実関係の確定をできる限り行うことが重要である。

(2)中立の立場で事情を聴く

聴取は、人事部の担当者や専門の委員会など、中立の立場から事情を聴くことのできる人物が行うようにする。また、聴取に当たっては、必要に応じて録音したり、聴取を複数人で行ったりするなど、聴取内容が正確に記録されるようにする。聴取した内容は、聴取日、聴取者、聴取対象者を特定し、必ず書面で記録を残しておく。

(3)聴取に当たっての留意点

聴取に当たっては、以下の点に留意することが大切である。

  • 聴取対象者の発言を誘導しない
  • 聴取対象者の話をそのまま記録する
  • 過度な同情、否定・反論はしない

(4)言い分が異なる場合の対応

相談者・行為者の言い分が全く異なり、どちらが事実なのか判然としないケースが出てくることもある。そうした場合、「どちらの証言の内容がより具体性があるか」「証言に変遷はないか」「証言に整合性はあるか」といった点から判断する。なお、社内で判断が難しい場合は、弁護士など外部の専門家に、あらためて事情聴取を依頼することを考える。

(5)関係者の処分とフォロー

事情聴取の結果、ハラスメントの事実が確認された場合、行為者、被害者に対して、以下のような措置を適正に行う。

  • 行為者に対して、必要な懲戒、その他の措置を講じる
  • ハラスメントの内容や状況に応じて、「被害者と行為者の関係改善に向けてのサポート」「被害者と行為者を引き離すための配置転換」「行為者の謝罪」「被害者の労働条件上の不利益の回復」などの措置を講じる

(6)情報管理の徹底

ハラスメントの対処において、情報管理はプライバシー保護の観点からも非常に重要である。そのため、以下のような体制を整えておくことが望ましい。

  • 相談がなされた場合の対処方法や、プライバシー保護のために必要な事項を予め定めておき、相談窓口の担当者がそれに従って対応できるようにしておく
  • 相談窓口の担当者に対して、必要な研修を行う
  • プライバシー保護について必要な措置を講じていることを、社内ツールなどを用いて広報・啓発する

(7)被害者から損害賠償等の要求を受けた場合

ハラスメントの被害者から損害賠償などの請求を受けた場合、事情聴取などの調査を行う。その結果、ハラスメントの事実があった場合は、企業は一定の責任を負わなくてはならない。そのことを前提に、被害者と話し合いを行う。また、事実がなかった場合、その旨を相談者に伝えた上で、「会社側として要求に応じることはできない」と返答する。押し問答になるようであれば、調停を申し立てるなど、第三者機関(各都道府県労働局、紛争調整委員会など)を通じて解決を探ることも一つの方法である。

いずれにしても、今後ハラスメントを生じさせないための事前の方針・予防策を立てておくことが重要である。

 


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