人事マネジメント「解体新書」

「ストレスチェック」義務化に伴う実務にどう対応するか 【前編】
~2015年12月の法施行に向けた準備と運用のポイント (1/4ページ)

2015/7/13
2014年6月25日に公布された「労働安全衛生法」の一部を改正する法律により、「ストレスチェック」「面接指導」の実施などを義務付ける「ストレスチェック制度」が創設された(ストレスチェック義務化法案)。そして、2015年12月1日より同制度は従業員数50人以上の企業(事業場)に対して実施されることになった。今回のストレスチェックは、従業員本人のストレスへの気づきと対処の支援、そして職場環境の改善を主目的とするものだが、センシティブな個人情報の管理、産業医による面談指導への勧奨、ストレスチェックの集団分析に基づいた職場環境の改善など、人事部門が対応すべき実務は多岐に渡っている。法施行に向けてどのような準備を行い、運用していけばいいのか。そのポイントを紹介していく。
「ストレスチェック制度」とは何か
◆『日本の人事部 人事白書2015』に見る、企業の「ストレスチェック」義務化に対する認知と課題

「ストレスチェック制度」について、企業はどの程度認識していて、どのような課題があると感じているのだろうか?『日本の人事部』では毎年『日本の人事部 人事白書』を発行しているが、『日本の人事部 人事白書2015』では「ストレスチェック」に関する調査を行っている。その結果を見ると、今回の「ストレスチェック義務化法案」について、「詳細まで知っている」は21.0%、「大まかな内容は知っている」は61.4%、「名称を聞いたことはある」は4.5%となっている。程度の差はあるものの「ストレスチェック義務化法案」を認知している企業は86.9%と9割近くに達し、極めて高い水準にあることがわかる。年内に法施行が予定されているだけに、企業におけるストレスチェックへの関心は非常に高いものがある。

そうした中、「ストレスチェック」義務化について、企業が課題だと感じることは何なのだろうか?最も多かった回答は、「ストレス状態を正しく測定できるのか疑問」で、62.7%の企業が挙げている。次いで、「結果が会社に通知されないため効果に疑問」(43.9%)、「回答の信憑性」(42.0%)が40%台で続く。以下、「全従業員に受診させることの困難さ」(39.0%)、「従業員が医師に面談を希望することへの抵抗感」(22.7%)、「面談する医師の確保」(21.8%)となっている。「課題はない」は3.0%と非常に少なく、「ストレスチェック」の義務化にあたって、企業ではさまざまな側面から多くの課題を感じていることが分かる。

■図表1:「ストレスチェック義務化法案」の認知状況(%)
詳細まで知っている 21.0
大まかな内容は知っている 61.4
名称を聞いたことはある 4.5
知らない 13.1
■図表2:「ストレスチェック」義務化の課題(%)
ストレス状態を正しく測定できるのか疑問 62.7
結果が会社に通知されないため効果に疑問 43.9
回答の信憑性 42.0
全従業員に受診させることの困難さ 39.0
従業員が医師に面談を希望することへの抵抗感 22.7
面談する医師の確保 21.8
その他 1.9
課題はない 3.0
資料出所:『日本の人事部 人事白書2015』
◆ストレス状況についての気づきを促し、職場環境の改善、ストレス要因を低減させる

「ストレスチェック制度」の目的は、定期的に労働者のストレスの状況に関する検査を行い、本人にその結果を通知して、自らのストレス状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることにある。と同時に、検査結果を集団ごとに集計・分析を行い、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげ、ストレスの要因そのものを低減させることを目指すものだ。さらにその中で、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげていき、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するという取り組みである。ストレスチェック制度のポイントは、以下のように整理される。

■ストレスチェック制度のポイント
1.事業者に対する
ストレスチェックの
実施の義務付け
常時使用する労働者に対して、医師・保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施を、事業者に義務付けるものである。ただし、労働者50人未満の事業場については、当分の間、努力義務とされる。
2.検査結果の通知 ストレスチェックの結果は、検査を実施した医師・保健師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止される。
3.実施後のフォロー ストレスチェックの結果、一定の要件に該当する労働者から申し出があった場合、医師による面談指導を実施することが事業者の義務となる。また、事業者は面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、省令の定めにより、医師の意見を聴かなくてはならない。
4.労働者の実情を
考慮した措置の実施
事業者は、医師の意見を勘案し、その必要があると認める時は、労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等措置を講ずるほか、当該医師の意見を、衛生委員会もしくは安全衛生委員会、労働時間等設定改善委員会への報告、その他の適切な措置を講じなくてはならない。

 


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