「スマート経営」を推進し、日本企業の可能性を拡げる
クラウドソーシングが生み出す、理想的な未来の働き方

ランサーズ株式会社 代表取締役社長 CEO

秋好陽介さん

危機が起きた時こそ、「本質」が問われる

今後の展望をお聞かせください。

先ほど申し上げたスマート経営に関連して、2019年から新たに「Lancers Enterprise」というサービスを提供しています。これは社外のフリーランス活用に特化した法人向けのサービスです。フリーランサーに発注する際にネックとなっていた、発注管理やセキュリティー確保の機能を備えています。このサービスにより、日本企業のスマート経営化をさらに促進したいと考えています。

私たち自身もスマート経営を実践しており、私の秘書もタイで仕事をされているフリーランスの方です。また、当社では、ご協力いただいている社外のフリーランスの方も含めると1,000人ほどの人が働いていますが、オフィスには数名しかいないこともあります。それでも、オンライン上で仕事はきちんと回っているんです。このような事例も、私たちが率先して発信していきたいですね。

スマート経営が浸透すれば、退職という概念もなくなっていくと考えています。これまでは会社を退職すれば、仕事上のつながりがたたれていましたが、それはとてももったいない。社外の人ともロングタームで関係性を持続させて、会社の機能を活用しながら仕事に集中できる環境を構築すれば、個人としての幸福度も上がっていくでしょう。

リーダーとして事業や組織をけん引していく上で大事にすべきことは何ですか。

私がこれまで経営者を続けて痛感しているのは、「会社の器は経営者の器以上にはならない」ということです。たとえ、マーケットの成長に乗って短期的に成長できたとしても、中長期で見ると経営者によって結果に差が出てきます。

私の場合、学生時代に個人事業をしていたことや、会社員としてフリーランスの方に発注していたときの経験や思いが原体験となり、フリーランスが活躍する未来を信じてこれまで経営を続けることができました。私のように経営者を志すのであれば、何があっても実現したいテーマを見つけるといいと思います。そうすれば、全てを自分の責任として受け止めることができますから。

最後に、人材サービスや法人向けサービス業界に携わっている方に向けて、メッセージをお願いします。

新型コロナウイルス感染症の影響で、売上が前年対比95%減になっている企業もあると聞きます。今が危機的な状況であることは間違いありません。人材業界も、働き方という前提条件が大きく変わろうとしているなか、本当に大変だと思います。

私が起業したのはリーマン・ショックが起きた2008年で、その後、東日本大震災も経験しました。その経験から思うのは、危機が起きたときは、本質が問われるタイミングだということです。

今はビジネスの価値を高めていくための期間といえるでしょう。感染症はいつか解決すると歴史は証明しています。いずれ本当に価値のある商品やサービスだけが受け入れられる時代が来ますから、その先の未来に向けて一緒に創意工夫していきたいですね。

ランサーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 秋好陽介さん

(2020年4月22日 オンライン取材)

社名ランサーズ株式会社
本社所在地東京都渋谷区渋谷3丁目10-13
TOKYU REIT渋谷Rビル9F
事業内容フリーランス・タレント・プラットフォーム事業
設立2008年4月

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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