HRソリューション業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

「スマート経営」を推進し、日本企業の可能性を拡げる
クラウドソーシングが生み出す、理想的な未来の働き方

ランサーズ株式会社 代表取締役社長 CEO

秋好陽介さん

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時間と場所にとらわれない、新しい働き方をつくる

創業から現在に至るまで、事業を成長させるにあたってどのような点を重視されてきましたか。ご苦労された点などがあれば、併せてお聞かせください。

会社を設立したのは2008年4月ですが、すぐにビジネスを始めることはできませんでした。当時は今のように起業の手続きを簡単にしてくれるツールもありませんし、税務署の届け出やインターネット回線の設置、オフィスの準備など、会社の形を作るのに結局1ヵ月くらいかかりました。

ただ、本当に大変だったのはその後です。私たちのサービスは、インターネットだけで取引を成立させる機能が必須となります。ここで欠かせなかったのが「仮払い」という仕組みでした。この仕組みを簡単に説明すると、発注者のクレジットカードの与信枠を仮押さえすることで、「納品をしたのに報酬が支払われない」といったトラブルを防ぐことができるものです。発注者側としても、きちんと納品を受けてから決済が行われるので、安心して取引を始められます。

私が創業した当時、仮払いの仕組みを提供している企業は少なく、見つけてもなかなか審査に通りませんでした。私たちがまだ創業したばかりであることに加え、当時クラウドソーシングサービスは、まだ認知されていないビジネスモデルであったことが影響したのだと思います。

そうしたなか、ある会社の方が私たちのビジョンに共感してくれました。「ホームページに利用規約を掲載して、トラブル対応のルールも作ったほうがいい」といった具体的なアドバイスもいただき、その結果、審査をクリアすることができたんです。あの出会いがなければ、今のランサーズはなかったと思っています。そのときにお世話になった会社とは、今もお付き合いをさせていただいています。

ランサーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 秋好陽介さん

クラウドソーシングサービスとして「Lancers(ランサーズ)」をリリースしたのが2008年12月16日です。リリース後の反響はいかがでしたか。

ありがたいことに、リリースしてすぐに数千人の方に登録していただきました。その多くは、私が開設していたブログの読者の方です。一方、困ったのが発注者側のユーザーで、仕事を発注してくれる企業がなかなか集まりませんでした。いくら個人のユーザー登録があっても、取引が成立しなければ売上は伸びませんから、思い悩む日々が続きましたね。

その後、「ロゴの作成を依頼できるサービス」として一時的に方向転換したり、機能の改善を続けたりしたところ、少しずつ売上が伸びていきました。特に利用が伸びるきっかけとなったのが2011年の東日本大震災です。

震災によって、個人の方が自分の生き方、働き方を考え直すようになり、2011年6月ごろから一気にユーザーが増え、ランサーズで発生する取引も倍増したのです。また、事業を継続するためにテレワークやアウトソーシングを導入する企業も増えはじめ、クラウドソーシングサービスが世の中に一気に知られるようになりました。

貴社ではミッション・ビジョンとともに、行動指針として「Lancers Way」を策定されています。詳しい内容や策定された背景を教えてください。

Lancers Wayはこれまで改定を重ねており、現在公開しているのは第四版になります。「最高か最速」「プロフェッショナル」「チーム・ランサーズ」という三つの項目を設け、ランサーズが大切にしている価値観・考え方を凝縮しています。ランサーとクライアント、そしてランサーズのメンバーを含めたユーザーに対する本質的な価値提供を考える「ランサー中心主義」を言語化したものが、Lancers Wayです。

ランサーズが行動指針として掲げる「Lancers Way」(同社Webサイトより転載)

最初にLancers Wayを策定したのは、2013年ごろです。外部のベンチャーキャピタルから総額3億円の資金調達を受け、本社を鎌倉から渋谷に移転した時期にあたります。資金調達によって、採用や広告に力を入れられるようになり、社員数も一気に増えていたのですが、社内が少しギクシャクしていたんです。

創業したころ、私たちは「時間と場所にとらわれない、あたらしい働き方をつくる」というわかりやすいビジョンを掲げ、この世界観に共感してくれたメンバーで事業を進めていました。

しかし、社員の数が増えてくると、価値観にズレが出てくるものです。残念ながら、せっかく引っ越してまでランサーズに入社してくれたのに、退職する人も出てきました。そこで、あらためてビジョンやミッション、Lancers Wayについて社内のメンバーと検討。最後は、私自身が魂を込められる文言にして完成させました。

2019年12月、貴社は東京証券取引所マザーズへと上場されました。上場に際して、どのような思いを抱かれましたか。

上場したのは2019年12月16日で、ちょうど「Lancers」のサービスを立ち上げて11年のタイミングにあたります。ただ、上場を目指すという方針は、2013年に外部からの資金調達を実施したころから決めていました。その理由は、私たちのビジネスはもっとパブリックになっていくべき、という考えがあったからです。

「Lancers」は、オンラインで仕事をマッチングさせるサービスとして、いまや利用されるユーザーの方にとってのインフラになっています。ここから収入を得ている人が数多くいらっしゃいますから、私たちがサービスを止めてしまうと、収入が途絶えてしまう。ですから、プラットフォームとしての健全性や継続性を担保し、信頼感をもってご利用いただけるよう、上場することにしました。

実際に上場をしてみると、「社会との約束」をしている感覚が強くなりましたし、問い合わせ件数や採用応募者の数も増えていますから、上場前よりもパブリックな存在になれたと感じます。


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