「営業革新」「リーダー革新」の二つの軸で社会に貢献
変化の激しい時代に必要な「野心」と「挑戦」

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 代表取締役社長

小串 記代さん

誰も経験したことのない時代に不可欠な「野心」と「挑戦」

 日本企業の人事の現状をどうご覧になっていますか。

外部環境の変化によって、日本企業の強みとされてきた、決められた目標に全員で向かっていくような人材育成のやり方が不協和音を発しています。そう言われるようになってすでに何年もたちますが、変革に成功した企業ばかりではありません。非常に難しいフェーズであり、大企業の大きな仕組みはそう簡単には変えられない。そうした中で変革を進めるには、やはり経営層と人事部門、人材開発部門が、本当の意味で戦略的に連携することが必要だと思います。

また、人材開発に関しては、これからの時代、企業がどこまで人材に投資できるのか、関与していけばいいのか、という問題もあります。今後、働き方の自由度が広がって、副業が一般的になったり、パートで働いたり、ベンチャーと協業したりと、いろいろな働き方が増えてくる中で、企業が人材開発のすべてをカバーすることはできません。教育を「その企業固有の身につけるべきスキル」と、「どこに行っても使えるポータブルスキル」の二つに大きく分類するとすれば、企業が担うのは主に前者になっていかざるをえないのではないでしょうか。また、本人に学ぶ意欲があれば、より多様な学習機会が手に入るのも特徴だと思います。

今後はAIやビッグデータなどを活用することで、人を介さず分析が行われ、プロセスがわからず、出てきた結果だけを見て判断するようなことも増えていくと思います。それに対して「人の考える力」をどう伸ばしていくか、そこが教育の重要な役割になっていきます。人間にしかできないこと、人の本質を見極めることが大切になります。教育は人間に関わることと言えます。そういう意味では、我々の業界の果たす責任は大きいですね。

 最後に人事・人材関連業界で働く若い皆さんにメッセージをいただけますでしょうか。

チャレンジするチャンスが来たらやってみること。これがまず基本ですね。今の若い世代は、優秀な人でも失敗したくない、人と違うことはしたくない、みんなと一緒がいい、と考える傾向があるとも言われます。そういう時代に育ってきたのかもしれないですが、「野心」や「挑戦する心」を忘れないでほしいと思います。これからは誰も経験したことのない時代。何が手堅いのかはわかりません。いろいろなことに好奇心を持ってチャレンジしてほしいですね。

そして、人に関する仕事をする上でぜひ忘れないでほしいのは、人間は複雑な生き物だということ。技術的な進歩でさまざまな分析データなどが得られますが、時と状況、役割などが変われば、結果がまったく違うこともあります。人間はそんなに一面的なものではありません。また、これからは企業が求める人材像がもっと多様化していきます。多面的で、多様な人たちに、いきいきと働いてもらうためにどうすればいいのか。それを常に考えてほしいと思います。変化する時代、正解が見えない時代であるからこそ、多くのチャレンジができるチャンスであるととらえ、皆さん自身の手で新しい未来を創ってほしいと思います。

(2018年1月15日 東京・港区の富士ゼロックス総合教育研究所本社にて)

(2018年1月15日 東京・港区の富士ゼロックス総合教育研究所本社にて)

社名株式会社 富士ゼロックス総合教育研究所(FUJI XEROX LEARNING INSTITUTE INC.)
本社所在地東京都港区六本木3-1-1 ティーキューブ14階
事業内容1.経営者・管理者・一般従業員に対する教育ならびに研修所等教育施設の運営および受託管理
2.教育機器・教材の開発および販売
3.書籍・雑誌の出版および販売
4.催事の企画・実施
5.コンピューターのソフトウェアの開発、販売およびコンサルティング
6.上記に関連付帯する業務
設立1989年9月21日

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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