人材マッチングを実現するために
「対話と奉仕」を掲げ、
地域密着型の人材サービスを提供する

株式会社アルバイトタイムス 代表取締役社長

垣内康晴さん

地域における人材サービスでは、一人ひとり、一社ごとのニーズに合わせた対応が求められる

 アルバイトタイムスの商品・サービスには、どのような特徴があるのでしょうか。

我々は地域密着で求人サービスを行っているので、さまざまな利便性を求めている、地域の人たちに対して、どこまでも一人ひとりに合ったものを提供することを重要視しています。

求人広告の全体傾向で見ると、WEB系のメディアへシフトしているのは間違いありません。全国求人情報協会の統計では、全体として紙媒体は減っているという結果が出ています。しかし、紙媒体を発行している会社は、全国求人情報協会に入会していない大都市圏以外の地域の会社が多く、それらの会社は統計に含まれません。紙媒体の利用者は、シニアや主婦の方が多いので、地方では無料誌やチラシなどの紙媒体に対する支持が非常に高くなっています。

株式会社アルバイトタイムス 代表取締役社長 垣内 康晴さん インタビュー photo

また、情報を入手する際の手段としてスマートフォンを使っている人は増えていますが、ほかのツールを使っている人がいないわけではありません。企業担当者と直接話ができる当社のシゴトフェア(合同企業面談会)への求職者の参加も増加しています。人や地域によって、使うツールは異なるのです。

当社は、名古屋でフリーペーパーとネットと折込チラシの3点パックを展開していますが、一つのサービス・商品に特化するより、このように複合的な対応を行い、一人でも多くの人をマッチングさせなければなりません。ですから、そのための手法としては、求人広告であっても、それ以外でも良いのです。

「地域密着」路線の中でもう一歩、進んだ形で行っているのが、外国人採用支援サービスです。ミャンマーをはじめ、タイ、マレーシア、インドネシアなどのアジア圏の外国人留学生・在日外国人の中途採用人材を紹介するサービスを行っています。現在はミャンマーに海外子会社があることから、ミャンマー人の採用マッチングに力を入れています。具体的には、ミャンマー人のための合同企業面談会「ミャンマージョブフェア」を東京で年に数回開催したり、ミャンマー人の方に向けた就職のための勉強会を開催したりしています。

そのほかに、就業者が雇用され得るためのスキル(エンプロイアビリティ)を磨く環境を作ることが大事だと思っています。ITやWEB系などに関しては、静岡で学べる環境が大都市圏に比べ多くはありません。この点に関しては、当社単独では解決できないため、ノウハウを持っている企業の力を借り、WEBやICTスキルの人材養成を行うサービスを展開していくことを始めました。そのほかにも、女性就業支援の一環として、より多くの女性の方々が就業できる機会を後押しをするために、学童保育を7月から浜松に開校し、フランチャイズでサービス展開を始めています。

これまでは求人広告が主たる事業でありましたが、さらにもう一歩・二歩、深掘りをしていき、企業のサポート、あるいは求職者支援という形のサービスを揃えていかないと、これからの人材サービス業界では生き残っていけないと考えています。かつ、それを各地域でいかに特色を出していけるかがポイントです。画一的で限定的なサービスでなく、人材に関するサービスを総合的に行わなければ、東京から名古屋まで、各地域でニーズや状況は異なるわけですから、同じサービスを出発点に提供しても通用しません。

 地域密着のポイントは何ですか。

地域密着を自ら宣言するにあたり、ポイントが三つあると考えています。一つ目は、地域に必要とされるナンバーワンのサービスを持っていること。地域において圧倒的な信頼をいただけるサービスです。二つ目は、仮にそれが我々の事業範囲ではなかったとしても、地域の問題・課題の解決に協力・参画すること。そして三つ目が、地域の人たちと顔を合わせて肌感覚を共有することです。

この三つの視点は、ガスや鉄道、銀行など、地域の名前を持ったインフラ系の会社や経営者から学びました。経営理念である「対話と奉仕」の実践、コア事業である地域の雇用に尽くす、こうした観点から地域密着をいっそう進めていきたいと考えています。

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