HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

ディップ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

冨田 英揮さん

英会話スクールの運営を通じて思いついたアイデアを具現化して起業
夢とアイデアと情熱で、ネット求人事業に道を拓いたベンチャー魂
[3/4ページ]

(2016/02/25掲載)

カネはないけど夢はある、「ピンチはチャンス」で壁を突破

―― そんな冨田社長の苦境を救ったのは、同じベンチャーの大先輩であるパソナグループ代表の南部靖之氏とソフトバンクの孫正義社長でした。

お二人が若い起業家を支援するために、「ジャパン・インキュベーション・キャピタル」(JIC)を設立したというニュースを偶然、テレビで知りました。早速、事業計画書を送ったところ、運よく認められ、その縁でパソナの社内に机を一つ置かせてもらえることになったのです。それまで「ベンチャーはリスクが大きい」と断られ続けていた融資を、東京都の保証協会から無担保・無保証で受けられたのも、JICやパソナの支援があればこそ。おかげで、97年3月14日、ついに会社を設立することができました。しかし一方、事業化への道は依然として険しく、会社登記はそのスタート地点に立ったにすぎません。「無料カタログ送付サービス」を実現するための最大の課題は、大量の専用端末をどこに、どうやって設置するか。私は大手外食チェーンに的を絞り、片っぱしから話を持ちかけて回りました。人が集まる外食店なら可能性があると考えたからです。

―― 突破口は、意外な展開から開けましたね。

冨田 英揮さん インタビュー photo

そうなんです。ある日、かねてアプローチしていたマクドナルドの担当者の方を訪ねると、「同じような端末設置の話をIBMが持ってきた」といいます。2年以上もあちこちでアイデアを話してきたので、最初は真似されたかと驚きましたし、正直、ここが潮時かなとも思いました。戦って勝てる相手ではありませんからね。でも、何か打つ手はないかと考えて……ふと気が付いたんです。「端末を用意しないことには事業ができない、とにかく端末設置の営業を」と思い込んでいましたが、考えてみれば、本来、自分がやりたいのはサービスだと。そこで発想を転換し、IBMに対抗するのではなく、無謀にもIBMに提携を申し入れて、手を組む戦略に活路を求めました。IBMがハードを置いてくれるのはむしろ好都合、自分はコンテンツを提供することで、やりたいサービスを実現すればいいのだ、と思い直したのです。ちょうど、IBM側でも端末上に載せるコンテンツを探していたところで、私の提案は高く評価され、提携交渉はとんとん拍子に進みました。

―― このときの発想の転換は、冨田社長ご自身にとっても、起業家としての大きなターニングポイントになったのではありませんか。

そうかもしれません。私のモットーは「ピンチはチャンス」。追い込まれたときはいつも、ものを見る視点や角度を変え、何とかこのピンチをチャンスに好転できないか、と考えています。IBMとの提携のときだけでなく、冒頭で触れたリーマンショック時の対応や、この後お話しする上場辞退の際の判断も、「ピンチはチャンス」の哲学から生まれたものです。ただ、順調に見えたIBMとの交渉にも難題が待っていました。IBMの端末機は、すでに都内1000店舗のコンビニエンスストアに設置済み。あとはカタログ送付の参加企業を集め、運用するシステムを開発するだけだったのですが、そのシステム開発費用は弊社で負担してほしいというのです。もう何とかするしかありません。私は、システムが未完成であるにもかかわらず、その開発費用を調達するために、年間契約料を先に支払ってもらう形でクライアント集めに奔走しました。「こういう計画があるので、料金先払いで参加しませんか」と。すごく虫のいい話ですけどね。

―― 普通に考えると、かなり難しい営業活動ですよね。どうアプローチしたのですか。

そこで役立ったのが、英会話スクール時代の生徒集めの経験でした。自分から頭を下げて、「うちの教室に入ってください」と頼むような営業の仕方ではまず入ってくれません。初対面ならなおさらでしょう。むしろお客さん自身から「入りたい」と、本気で思うように働きかけないといけません。営業トークのカギは、説得力のあるストーリー作りにあります。相手の成長意欲や危機感に訴えながら、いかに英会話が必要かを語るわけです。新事業のクライアント集めでも、同じことを徹底してやりました。端末を置くのはコンビニですから、コンビニの重要性や将来性を強調し、これに参加する・しないで、競合他社とどれだけ差がつくかというようなことを粘り強く訴えました。そのかいあって、何とか半年で必要な資金とクライアントを確保。システムも完成し、98年1月、私のアイデアである「無料カタログ送付サービス」は、ついに首都圏の各コンビニで運用を開始したのです、翌年には、トヨタ自動車や本田技研工業など全116社の参加を得て、早くも約1億円の売上を計上するまでになりました。


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