転職支援企業がなぜ「転職は慎重に。」と訴えるのか
人材ビジネスのあるべき姿を体現する
若きトップの信念とは

エン・ジャパン株式会社

鈴木孝二さん

人材業界はもっと認められていい。なぜそうなっていないのか

 人材サービス業界の現状について、どう見ていらっしゃいますか。

鈴木 孝二さん インタビュー photo

雇用環境の激変に伴い、われわれに求められる役割も大きく変わりつつあります。もはや単なる求人広告の提案、人材の紹介ということではなく、企業の解決したい課題に対して、どのような人材戦略をもって応えるか。人材サービスは間違いなくそこまでの位置づけになっていくでしょうし、ならなければ、存在価値が失われてしまうといっても過言ではありません。

そう考えると、業界は世の中の変化にもっとビビッドに反応し、お客様に対するソリューション力を高めていかないといけません。われわれも含めて、従来どおりの事業を、従来どおりの感覚で続けているだけでは必要とされなくなる。それほど激しい時代の流れの中に立っているのだという危機意識を、誰もが強く持つべきではないでしょうか。その一方で、私は、この業界がもっと認められてもいいのではないか、尊敬されてもいいのではないかとも思っているんです。

仕事は個人にとって人生の根幹を為すもの。また「企業は人なり」というように、人材は企業にとってその命運を左右するもの。にもかかわらず、人材サービスの業界にはそこまでのプレゼンスがないよう思います。必要に応じて企業や個人に利用されてはいるものの、何か業者的な立場に甘んじている感もぬぐえません。

利用される存在ではなく、企業や求職者にとって本当になくてはならないパートナーになれるかどうか。そのためには、何を変えていかなければならないのか。真摯(しんし)な自問自答が求められます。「求人広告に書いてあることなんてなんてまゆつばなんでしょう?」とか「人材紹介って結局、決まりやすい会社しか紹介されないんでしょう?」とか、そんなことを求職者に言われるようでは、ダメなんです。

 ありがとうございました。では最後に、人材サービス業に携わっている方々や、これから携わろう、あるいは起業しようと考えている若い方々など、後に続くみなさんにメッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、人材業界はもっと尊敬されて、認められて、なくてはならないと思われていい業界だと、私は確信しています。だからこそ、従来の業態の枠にとらわれず、もっともっと業界の地位を高められるような、新しいサービスを産み出していかなければなりません。われわれのような既存の事業者も、これから新しく参入される方々も、そこはみんなで知恵を出し合い、正当な競争の中からイノベーションを起こして社会に貢献できるよう切磋琢磨していきましょう。一人でも多くの人に、働く喜びと“人間成長”をもたらすために。

鈴木 孝二さん インタビュー photo

(2015年11月5日 東京・新宿区のエン・ジャパン本社にて)

社名エン・ジャパン株式会社(en-japan inc.)
本社所在地東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー 35階
事業内容人材採用・入社後活躍サービスの提供 (インターネットを活用した求人求職情報サービス/人材紹介 <厚生労働大臣許可番号 13-ユ-080296>/社員研修/人事コンサルティング、適性テスト)
設立2000年1月

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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