新卒採用・内定者フォローの成功のポイントとおすすめサービス
~オンライン化が加速する中で取るべき対策とは

新卒採用・内定者フォローの成功のポイントとおすすめサービス ~オンライン化が加速する中で取るべき対策とは

内定出しが早期化し、入社までの期間が長くなるなか、内定辞退を防止するための内定者フォローは、人事の重要課題となっています。とくにコロナ禍では、採用市場にも変化が見られました。

そこで『日本の人事部』では、内定者フォローの現状を整理するとともに、ニューノーマル時代に取り組むべき施策や成功のポイントを解説します。また、『日本の人事部』おすすめの内定者フォローサービスもあわせて紹介します。

新卒採用の内定者フォローとは
コロナ禍で何が変化したのか

新卒採用の内定者フォローとは ~コロナ禍で何が変化したのか

人事担当者の頭を悩ませるのが、内定辞退をいかに減らすかということです。ここでは、内定者フォローの目的を整理するとともに、コロナ禍でどんな変化が生じたのかを見ていきます。

内定者フォローの目的

学生のモチベーションがピークに達するのは、内定が決定したタイミングといわれます。そこから入社までの期間は、新しい生活に対して、大きな期待と多くの不安を抱える不安定な状態になります。この期間に学生が感じる不安は、「社会人生活」「人間関係」「仕事・キャリア」に対するものに分類できます。

社会人生活に対する不安
学生から社会人へと生活が一変する中で、生活リズムに慣れることができるのか、環境の変化に対応できるのかという不安が生じる
人間関係に対する不安
気心の知れた仲間と過ごしてきた学校を出て、新しい環境で上司や先輩、同僚と良い人間関係を構築できるのかという不安が生じる
仕事・キャリアに対する不安
仕事についていけるのか、自分の能力を発揮できるのかといった不安や、将来のキャリアに対する漠然とした不安が生じる

これらの不安からモチベーションを維持できなくなり、内定辞退に至るケースも少なくありません。内定者フォローでは、こうした心理を踏まえ、継続的に内定者に接触しながら入社まで伴走していく必要があります。

また、複数の内定を得ている学生にとって、内定者フォローは入社する企業を決めるための判断材料にもなります。たとえば、社員との交流や職場見学であらためて企業との相性の良さを感じたり、内定者研修によって働くイメージが具体的になったりしたことで、その企業への入社を決めた例も多々あります。

したがって、内定を出した後も、自社の魅力を感じてもらうための接点を持ち続け、いかに信頼関係を構築できるかが鍵となるのです。

コロナ禍で内定者フォローを取り巻く状況が大きく変動

『日本の人事部 人事白書2020』によると、直近3年間での内定者辞退数が増加していると答えた企業の割合は25.6%。減少している企業10.3%と比較して、約2.5倍となっています。また、内定辞退の防止対策を実施または実施予定と回答した企業は7割以上という結果でした。内定者フォローによっていかに内定辞退を防止できるかが、重要課題となっています。

図:直近3年間での内定者辞退数の増減
人事白書調査レポート2020

出典:日本の人事部 人事白書2020

図:内定辞退防止策の実施有無
人事白書調査レポート2020

出典:日本の人事部 人事白書2020

このような変化に加え、コロナ禍の2021卒の採用では企業と学生の動きが大きく変わりました。3月時点では内定決定の早期化が顕著でしたが、緊急事態宣言が発令された4月以降は、採用イベントの中止・縮小や選考スケジュールの後ろ倒しなど企業の動きに変化がありました。

そのため、学生側は納得できる就職活動ができず、内定を得た後も就職活動を継続し、長期化の傾向が高まりました。今後も入社判断に慎重になる学生が増えることも予想され、さらに内定者フォローの重要性が高まると考えられます。

内定者フォローの具体的な施策例と直近のトレンド

内定者フォローの施策例

内定者フォローによる内定辞退防止対策は、今後も引き続き企業の重要課題となることが見込まれます。ここでは、具体的な施策例を挙げるとともに、加速しているオンラインでのフォローに焦点をあてて見ていきます。

内定者フォローの施策例

内定者フォローには、従来行われてきた懇親会やグループワークといった社員や内定者同士の交流を深める機会を設けるほか、昨今ではSNSを活用して自社の魅力や情報を定期的に発信するといった対策が目立ちます。また、親や保護者に向けてフォローを行うという企業もあります。

仕事への不安を抱える内定者も多いことから、内定期間中にeラーニングで学べたり、研修や内定者インターンに参加できたりといった施策をとっている企業も目立ちます。

以下に、主な内定者フォロー施策とその目的を整理しました。

内定フォロー施策と目的
内定フォロー施策 社会人生活 人間関係 仕事・キャリア
内定者報の送付、定期連絡、近況報告
社内等でのアルバイト
社内・職場、工場・店舗などの現場見学
合宿研修(集合研修)
個別面談
メンター、チューターなどによるマンツーマン教育
ビジネスマナー・ビジネススキルの習得支援
社内報・社史などの送付
社内行事・イベントへの参加
内定者同士の懇親会・交流会
社員(役員)との懇親会・交流会
グループワーク
e-learning(通信教育)
課題図書など感想文、レポート提出
新聞・雑誌・書籍の購読
セミナー・講演会への参加
資格取得、語学学習支援
※●:主な目的、○関連する目的

内定者フォローの内容は多岐にわたりますが、いずれの場合も、学生の不安が解消されて前向きな気持ちを醸成できるかという点に留意しながら、適切なタイミングで実施することがポイントです。

コロナ禍で加速しているオンラインでのフォロー

コロナ禍でオンライン採用が加速し、内定者フォローにおいてもWebを活用した接点強化に取り組む企業が増えています。具体的には、SNSを活用したコミュニケーションのほか、オンラインでの面談や研修、内定者インターンなどが挙げられます。

また、こうした企業と学生のニーズに対応するべく、オンラインで内定者フォローができるサービスが増えたことも拍車をかけています。たとえばEDGEのエアリーフレッシャーズクラウドは、オンライン上でコミュニティをつくることができ、内定者同士のグループワーク、近況報告に活用できます。またeラーニングや動画配信によって、会社理解を深められる内定者フォローサービスを提供しているところもあります。

しかし、その一方で、やはりリアルな交流や体験の場がほしいという学生の声は少なくありません。そのため、今後の内定者フォローでは、リアルとオンラインを併用したハイブリッド型が進むと考えられます。

内定者フォローを成功に導くポイント

内定者フォローを成功に導くポイント

ニューノーマル時代に内定者フォローの成果を高めるには、どのような点に留意すべきなのでしょうか。

1)会社への理解・共感を深めて志望度を高める

内定をもらった段階で、内定者は十分に会社のことを理解できていないかもしれません。内定者フォローを通じて会社への理解を深めることで、仕事やキャリアへの不安が払しょくされ、入社への納得感を生み出すことができます。

また、会社の理念や職場への共感は、内定者フォローによって大きく変わることがあります。「ここで働きたい」と思ってもらえるような働きかけは、志望度を高めるポイントです。目標にできる先輩社員の存在をアピールすることで、憧れ感を醸成するのも一案です。

2)社員・内定者との交流を増やし、人間関係の不安を払拭

人間関係への不安は、入社意欲に大きく影響します。いろいろな社員とコミュニケーションできる機会を設けることは、内定フォローでは極めて重要です。また、同期となる内定者同士の交流も重要なポイントになります。「仲間がいる」という安心感を醸成できれば、入社意欲の減退を防ぐことにつながります。

3)仕事内容や業界情報を提供して入社後の不安を払拭する

社会経験のない新卒内定者は、「本当に自分に務まるのか」「将来のキャリアを描けるのか」といった漠然とした不安を抱えがちです。仕事内容や業界の情報を積極的に提供して、できるだけ入社後のイメージが具体的になるようフォローしましょう。

4)定期的に連絡を取り合う

複数の内定をもらっている学生が多い現在では、連絡が途絶えた企業への志望度がたちまち下がってしまう傾向にあります。定期的な連絡は、内定者フォローにおける基本です。また、事務的な連絡と受け取られないよう、内定者に親身に寄り添うコミュニケーションを心がけることも重要なポイントです。

内定者フォローサービスの傾向と、選ぶときのポイント

では実際には、どのようなサービスがあるのでしょうか。

エアリーフレッシャーズクラウド(EDGE株式会社)は、インターンシップから内定者フォローまでの工程をすべてカバーしたサービス。内定辞退可能性の高い学生を通知する機能があり、フォロー優先度を可視化してくれます。

エアリーフレッシャーズクラウド

バヅクリ(プレイライフ株式会社)は、オンライン体験型プログラムを通じ、内定時期から同期のつながりを深められるサービスです。満足度97%の工夫されたワークで、短時間でお互いを深く理解することができます。

バヅクリ(プレイライフ株式会社

帰属意識を高める内定者研修(H&innovation株式会社)は、内定者が自社を分析したり、先輩社員と共同でワークを実施したりすることで、入社前から帰属意識を高めることができる研修です。

帰属意識を高める内定者研修(H&innovation株式会社)

めざせ!プロ社会人(株式会社PHP研究所)は、社会人になるためのマインドやマナーがバランスよく身に着けられる研修です。内定者の「なぜそうするの?」という疑問に答え、確実な理解を促すことができます。

めざせ!プロ社会人(株式会社PHP研究所

enfac仕事道(株式会社アントレプレナーファクトリー)は、1テーマ5分という短い動画で、内定者が即戦力化に必要な知識や姿勢を学べるサービスです。入社前後の社会人基礎教育として活用できます。

enfac仕事道(株式会社アントレプレナーファクトリー)

Groupwork.com(株式会社エイムソウル)は、高品質なグループワークを必要な期間だけ借りられるサービス。内定者フォローに効果的なワークがパッケージ化された「内定者フォローパック」があり、フォローで何をしたらいいかわからないという人にもおすすめです。

Groupwork.com(株式会社エイムソウル)

内定者・新入社員即戦力化研修(株式会社カケハシ スカイソリューションズ)は、入社半年後までで鍛えるスキルを、内定者のうちに身に着けられる研修です。スタッフが内定者一人ひとりの行動特性・能力を記録し、企業に伝えてくれるのも特長です。

内定者・新入社員即戦力化研修(株式会社カケハシ スカイソリューションズ)

グロービス学び放題(フレッシャーズ)(株式会社グロービス)は、内定者・新人に必要な基礎知識やマナーをスマホで学べるサービスです。内定者はSNS機能を使って仲間と一緒に学習ができます。企業担当者は、Web上で学習進捗の確認もできます。

グロービス学び放題(フレッシャーズ)

【CUBIC×内定者】自己認識向上研修(株式会社トライアンフ)は、内定者の自己認識を向上させ、社会人としてのマインドセットを行う研修です。内定者が「指示待ち」を脱し、自ら何をすべきか考えられるようになります。

【CUBIC×内定者】自己認識向上研修

Mobile Knowledge for Freshers(株式会社ラーニングエージェンシー)は、内定期間中にモバイルラーニングで「社会人の基礎スキル」をインプットし、入社後に実践形式の研修を行う「反転学習」を採用したプログラム。知識の早期定着が期待できます。

Mobile Knowledge for Freshers(株式会社ラーニングエージェンシー)

入社前フォロー研修(株式会社リブリッジ)は、入社前辞退0を狙って設計されています。体験学習を多く取り入れた研修で通して一人一人としっかりコミュニケーションを取り、不安を軽減させて将来への期待感を高めます。

入社前フォロー研修(株式会社リブリッジ)

新人・内定者のための「ビジネス基礎力」(株式会社労務行政)は、3~5分程度の解説動画と振り返り小テストで構成されたeラーニング講座で、時間や場所を選ばずにビジネスの基礎知識を学べます。修了試験があるので、内定者の理解度も確認できます。

新人・内定者のための「ビジネス基礎力」

内定者フォローに関するサービスを提供する全国のソリューション企業一覧

社名 サービス名 人間関係 社会人生活 仕事・キャリア
内定者の連帯感向上 企業理解 早期戦力化
EDGE株式会社 エアリーフレッシャーズクラウド
H&innovation株式会社 帰属意識を高める内定者研修 - -
株式会社PHP研究所 めざせ!プロ社会人 - -
株式会社アントレプレナーファクトリー enfac仕事道 - -
株式会社エイムソウル Groupwork.com -
エブリ株式会社 エブリONE -
株式会社カケハシ スカイソリューションズ 内定者・新入社員即戦力化研修 - -
株式会社グロービス グロービス学び放題(フレッシャーズ) -
株式会社トライアンフ 【CUBIC×内定者】自己認識向上研修 - -
プレイライフ株式会社 バヅクリ - -
株式会社ラーニングエージェンシー Mobile Knowledge for Freshers - -
株式会社リブリッジ 入社前フォロー研修 - -
株式会社労務行政 新人・内定者のための「ビジネス基礎力」 - -

オンライン化の加速は内定者フォローの手法を広げるきっかけに

コロナ禍を経験し、今後の新卒採用市場では、より慎重な就職活動を展開する学生が増えることが想定されます。そのため、依然として内定辞退防止対策の重要性は高い状態が続くでしょう。しかし、内定者フォローのオンライン化が加速したことで、企業ができる対策にも広がりが出ていると考えることもできます。今後は、企業それぞれに工夫を凝らした内定者フォロー施策が求められるといえるのではないでしょうか。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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