人材サービス産業4団体による「人材サービス産業の近未来を考える会」報告書
「2020年の労働市場と人材サービス産業の役割」
求人広告、人材紹介、人材派遣、製造請負の人材サービス産業4団体は、2011年11月21日、人材サービス産業の機能や社会的役割、今後の労働市場の課題を明らかにした研究成果を報告。その課題に対処すべく、横断連携組織を発足させることを併せて発表した。来年7月をメドに「人材サービス産業協議会(仮称)」を設立させる。今回のレポートでは、研究報告の概要と、人材サービス産業の取り組みに関する共同宣言の内容を紹介する。
人材サービス産業の民間団体である、社団法人全国求人情報協会、社団法人日本人材紹介事業協会、社団法人日本人材派遣協会、社団法人日本生産技能労務協会(以下「4団体」)は、2011年6月に各団体代表者と学識者による研究会「人材サービス産業の近未来を考える会」を設置。人材サービス産業の機能や役割についての研究を行い、その結果を「2020年の労働市場と人材サービス産業の役割」と題した報告書にまとめた。
同報告書では、労働市場の変化や人材サービス産業が果たしてきた役割、今後の労働市場を踏まえ「人材サービス産業が取り組むべき5つのテーマ」を設定するとともに、人材サービス産業に関する共同宣言を採択。2011年11月21日、このテーマの推進に向け、人材サービス産業を横断連携する組織である「人材サービス産業協議会(仮称)」を2012年7月をメドに発足させることを発表した。
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「求人広告、人材紹介、人材派遣、製造請負の人材サービス産業4団体が 2020年の労働市場と人材サービス産業の役割に関する共同研究報告を発表」
以下、報告書「2020年の労働市場と人材サービス産業の役割」の概要を紹介する。
(次ページ、報告書より抜粋)
報告書「2020年の労働市場と人材サービス産業の役割」の概要

労働市場における需給調整機能を担う民間事業者を総称して『人材サービス産業』と名付け、人材サービス産業の役割と機能を明らかにするとともに、今後10年間に起こる労働市場の変化に対応するために取組むべき課題を5つのテーマに整理した。これらのテーマについて、各業界団体による個別の取組みだけではなく、「人材サービス産業協議会」を設立し、各団体が連携して取組みを推進するほか、労働市場における課題解決のために公的機関とも協力し、さらにより多くの人々への就業機会の提供を実現していく。
人材サービス産業が取り組む5つのテーマ
(1)マッチング・就業管理を通じたキャリア形成の支援
より安定的な雇用への転換や処遇の向上、そのための能力開発など、個人の発展的なキャリア形成を、人材サービス産業の中核機能であるマッチングと就業管理を通じて支援する。
(2)採用・就業における「年齢の壁」の克服
中高年就業希望者の就業機会の開拓に積極的に取り組み、企業に対して中高年層の活用を働きかけ、すべての年齢層が高い生産性を発揮できる雇用処遇制度への転換を促し、熟練技能を有する人材の円滑な労働移動の実現を目指す
(3)異なる産業・職業へのキャリアチェンジの支援
産業構造の変化に対応するため、異なる産業・職業へのキャリアチェンジに際しての適応ギャップを緩和する支援や、実績・経験だけでなく潜在能力など可能性ある人材の発掘と企業への紹介を行い、可能性の見極めに必要なナレッジの蓄積をすすめる。
(4)グローバル人材の採用・就業支援
海外での人材採用や国をまたいだ労働移動に対応するため、適任者の発掘、育成、転換を国境の制約なくスムーズに行えるよう、各国の労働市場に通じ、マーケットに適したサービスを開発、提供できる体制を整える。また、外国人の日本での就労に際しては、在留資格の確認や日本への適応のサポートなどにも取り組む。
(5)人材育成による人材サービス産業の高度化
労働市場の諸課題を解決するには、人材サービス産業に携わる一人ひとりの能力の向上が不可欠であるため、「人材サービスプロフェッショナル」の育成に積極的に取り組む、また、すべての人材サービス産業の従事者が高い意識をもって、コンプライアンスを重視し、優良事業者の育成にも引き続き取り組む。
課題解決のためのプラットフォーム
(1)業界団体の協力・連携の推進
労働市場全体を俯瞰できるような情報収集・整備・分析や、人材サービス産業全体に共通するテーマへの取り組みを強く推進するため、各団体代表者による協議会を設置する。
(2)公的機関との連携の推進
転職者・新規就業者の主要な入職経路であるハローワークと人材サービス産業が、それぞれの機能を補完し連携することで、より迅速で効果的な就業支援や労働移動を広範囲にわたって実現できる。それぞれ単独では解決し得ない諸課題に対応するために、相互に協力連携し、公的機関と民間事業者の垣根をこえて幅広い意見交換が行える場をもうけ、官民パートナーシップを構築していく。
人材サービス産業4団体共同宣言はこちら(PDFファイル:238KB)
◆詳細は以下をご覧ください。
http://www.zenkyukyo.or.jp/a-jij/f/
(人材サービス産業の近未来を考える会事務局・全国求人情報協会ウェブサイト)
※上記4団体では、2011年12月8日に、シンポジウムを初めて共同で開催します(http://www.zenkyukyo.or.jp/a-jij/e/)。『HRプラザ』編集部では同シンポジウムを取材し、レポート記事としてWebサイトに掲載する予定です。