Interview

一般社団法人 人材サービス産業協議会 理事長、副理事長に聞く
業界4団体が連携して取り組む三つのプロジェクトの方針とは [2/4ページ]

三つのプロジェクトに取り組む理由

―― 今回、三つのプロジェクトを立ち上げましたね。

中村:一つ目が「キャリア形成支援プロジェクト」。派遣・請負社員の就業管理において、ユーザー企業と連携して、能力評価の実施を徹底する仕組みを検討し、実務経験による能力開発(OJT)と能力開発につながる職場選択のサポートを促進しようというものです。二つ目が「キャリアチェンジプロジェクト」。ミドル年代層を中心とした、異なる産業・職業へのキャリアチェンジをどう進めていくかがテーマです。三つ目は「人材育成プロジェクト」で、人材サービス産業に携わる一人ひとりの職業能力の専門化と高度化を図るものです。

―― 三つのテーマを取り上げた背景には、どのような問題意識があるのでしょうか。

中村:雇用モデルや働く人々の就業観が多様化している中で、特にリーマンショック以降、企業には人件費を下げたい、変動費化させたいというニーズが強くなっています。働く側からすれば、正規社員として働くことを望む人が多くいますが、一方で、全就業者の3分の1が非正規労働者として働いています。もちろん、非正規労働を余儀なくされているという人もいます。しかし、自ら非正規労働を選択している人も少なくありません。

雇用の多様化は、決して悪いことではありませんが、企業は合理性を重んじるので、正規労働者よりも非正規労働者の雇用を増やそうとします。しかし、日本の企業がすべて非正規労働者にシフトすると、マクロレベルでは大きな問題を抱えることになります。

高橋:例えば、人材育成に力を入れない企業が増える可能性があります。10年、20年後の人材のレベルを考えた時に、日本の労働生産性は本当に大丈夫なのかという議論が出ているのです。そういう流れを受け、行政は非正規労働ではなく、正規労働という働き方を推進しています。

中村:問題は、非正規労働という働き方が悪いのではなく、雇用が安定していないことや、正規労働と比較して処遇が劣っているという点です。正規労働者と同じような仕事をしていても、明らかに処遇や待遇に差があります。また正規労働者にはOJTはもちろん、Off-JTなどいろいろな教育訓練の場があります。そして、キャリアアップのためのジョブローテーションの機会なども与えられます。しかし、非正規労働者となると、なかなかそこまで企業の手が回りません。

非正規労働という働き方が悪いのではなくて、非正規労働者が処遇・教育・キャリアアップといった側面で、「負」を抱えていることが問題なのです。非正規労働を正規労働にするという一元論的な話ではありません。これら「負」への対応が重要な課題であり、解決のために取り組んでいこうというのが今回のプロジェクトの最初のテーマです。

高橋広敏氏 Photo高橋:今後はミドルの人たちが増えていきます。産業構造が変わるので、製造業から非製造業、もっと言えば情報産業、サービス業への産業構造の変化がある中で、製造業に勤めているミドル層の次のキャリアチェンジへの支援が必要です。そこには大きなアンマッチ、ミスマッチがありますが、それをどうしたら解消できるのか。突き詰めれば非正規労働者とミドルの問題の二つこそ、我々が緊急に取り組まなくてはならない課題です。これらの問題は各協会で対応するよりも、横断的に取り組んだ方が効果的です。

―― 提言だけではなく、具体的な行動へと動いていこうとするのも、こうした問題意識が強くあるからですね。

中村:我々が力不足であるため、アンマッチやミスマッチを解決できていないという意識があります。この問題を解決したいのです。三つ目のプロジェクトに「人材育成プロジェクト」として、業界内の人材育成をあげたのも、こうした理由からです。就業人口は減っていますので、全体の市場も縮小していきます。人材のレベルが向上しないと、産業として成長できません。現在、市場規模は9兆円ですが、シュリンクしてしまうでしょう。

高橋:非正規労働者の人たちも、半数がより安定的な雇用、報酬のアップ、そしてそれに見合うキャリアの獲得などを考えています。しかし、企業側では、派遣やアウトソーシングしている人たちのキャリアアップまで、ほとんどスポットを当てていません。一方で、飲食業やサービス業などでは、パート・アルバイトの人たちは自分たちにとって非常に重要な戦力であると認識しています。例えば、コンビニエンスストアなどは、1割の正社員に対して9割のパート・アルバイトによって全国の店舗が運営されており、そういう人たちがキャリアを積んでもらうような施策を進めています。このように非正規労働者にどうやってキャリアを積んでもらうか、業界全体としてどのような仕組みをつくるか、それがテーマの大きな柱です。


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