AI・テクノロジーの時代、人材開発部門に求められる「リスキリング」と「学び方を学ぶこと」

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ATD(Association for Talent Development)は、1944年に設立された教育研修・能力開発・パフォーマンス向上に関する専門団体です。現在、世界120ヵ国以上に会員を有し、世界中の企業・団体などの組織における職場学習と、従業員と経営者の生産性向上を支援するために、幅広く活動を行っています。ATDジャパン(International Member Network Japan:ATD-IMN)は、日本における会員ネットワークの拠点として2008年に設立。「ATD ICE」(人材育成国際会議)など、米国におけるイベントのグループツアーや、国内でのイベント開催、委員会・研究会活動など、日本で人材開発に携わる方たちの専門性を向上するための組織として、各種活動をボランティアで展開しています。今回は、ATDジャパンの代表理事である宇野聡美さん、副代表・中原孝子さん、理事・浦山昌志さんをお招きし、近年の世界の人材開発のトレンドや日本企業の人材開発の現状と課題などについて、専門家の立場から詳しく語っていただきました。

ATDジャパン代表理事:宇野 聡美(うの・さとみ)さん

株式会社インヴィニオ エグゼクティブプロデューサー

同副代表:中原 孝子(なかはら・こうこ)さん

株式会社インストラクショナルデザイン 代表取締役

同理事:浦山 昌志(うらやま・まさし)さん

株式会社IPイノベーションズ 代表取締役社長

形式的な研修ではなく、日々働く場所こそが「学びの場」になる

中原氏

中原氏

人材開発のトレンドについて、お聞かせください。

中原:現在、世界中の労働力の60%近くが「ミレニアル世代」(2000年代に成人・社会人となる世代)です。さらにその後を「Z世代」と言われる人たちが続いています。人材開発に携わる方々は、このような若い世代の学び方や働き方を、しっかりと押さえておく必要があります。彼らはテクノロジー世代でもあるので、技術の進展と共に、どのように次世代を担う若者たちにフォーカスした人材開発を考え、制度設計していけばいいのか。ATDでもこの点を、非常に重要視しています。

では、日本企業の状況はどうでしょうか。新入社員研修に多くの予算が割かれてはいますが、プログラムの内容は20世紀のころとほとんど変わっていません。日本でも「ミレニアル世代」の社会人は増えていますが、旧態依然とした研修プログラムと、その内容で良しとする企業風土に疑問を抱いた優秀な人材が、早々と辞めてしまう現象が起きています。特に、伝統的な大企業に早期離職の傾向が見られます。こうした事態に直面している現在、若い世代やテクノロジーに着目した人材開発のあり方を、私たちは改めて考える必要があります。世界の現状と比べると、「周回遅れ」の感が否めません。

宇野氏

宇野氏

宇野:日本でも若い世代を中心に、モバイルを使って動画で情報を受発信するなど、現場での学び方に変化が見られます。教育の実効性を高めるには、このような若い世代が持つ学び方の新しいスタイルや感性を、組織としてうまく生かしていく必要があります。実際に、グローバルなトレンドは明らかにそうした方向に向かっています。問題なのは、現場の上司や人材開発部門の方々が、トレンドをよく理解していないことです。

浦山:「リバースコーチング」といいますが、これからはむしろ、若い人たちから教えてもらうことが必要でしょう。変化のスピードが速い現代においては、これまでのように人材開発部門が1年に1回提供する階層別研修だけでは、十分とはいえません。

重要なのは形式的な研修ではなく、日々働く場所が「学びの場」になること。たとえ10分、20分でもかまいません。とにかく、毎日仕事をしながら、学び続けることが大事なのです。また、一人の学びではなく、いろいろな人たちとコラボレーションし、情報を共有しながら学ぶことが求められます。皆の力を集めていかないと、今抱えている問題の解決の糸口がなかなか見つからないからです。

浦山氏

浦山氏

中原:確かにそうですね。日々の業務(パフォーマンス)と直結しない限り、これからの時代は学びが成立しないように思います。一定期間、職場を離れて研修を受けても、それが本当に学びになるのかどうかは疑問です。そもそもプログラム自体が時代遅れで、役に立たなくなっているケースが少なくありません。従来型のイベントベースの学びのスタイルでは、日々刻々と変化している状況やパフォーマンスに役立つことは少ないでしょう。

「ミレニアル世代」の人たちが、受講形式(座学)が中心の従来型の学びを嫌う傾向にあるのは事実です。「今、私たちに期待されているパフォーマンス」「今、私たちが共有しなければならないこと」について、「タイムリーに学べる環境が欲しい」というのが、「ミレニアル世代」の主張です。そういう人たちに対して、的確に情報を提供していくことが、これからの人材開発部門の重要な機能です。


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