イベントレポート

東京大学社会科学研究所 人材フォーラム 第3回ワークショップ「職業紹介事業ならびに職業紹介担当者に関する調査」
(中間報告)

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2011年5月23日(月)に、東京大学社会科学研究所の「人材フォーラム」が主催する「第3回ワークショップ」が開催されました。「人材フォーラム」は、人材ビジネスに関する研究を継続的に進めていくこと、人材ビジネス企業・ユーザー企業と研究者との交流の場を設けることを目的とする機関です。調査研究成果を発表するワークショップは定期的に行われており、今回が3回目。「職業紹介事業」をテーマにした今回は、人材紹介会社の担当者や業界の関係者など96名が参加し、盛況のうちに終了しました。『HRプラザ』編集部では、当日の模様を取材。内容の一部をレポートとしてご報告します。

【開催概要】
日時 2011年5月23日(月)13時30分~15時
場所 東京大学 本郷キャンパス 小島ホール
報告者 坂爪洋美(和光大学現代人間学部教授)
報告内容 リーマンショックがもたらした打撃から抜け出しつつある職業紹介事業の現状と、紹介業務を担う職業紹介担当者の採用・育成・評価の現状、さらには各事業所で業績が高い職業紹介担当者の能力やスキルの特徴を明らかにする。
参加対象者 人材ビジネス企業

http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/jinzai/
※今回の報告は中間報告のため、文中の数字等は本報告で変更になる可能性があります。

佐藤氏による会場の皆様へのご挨拶

まず、「人材フォーラム」の代表を務める、東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹氏が会場の皆様へご挨拶。「人材フォーラム」や今回の調査の趣旨を説明されました。今回は人材ビジネスの中でも「職業紹介事業」に焦点を当てた調査の中間報告ということで「会場に集まった実務家のみなさんのご意見をうかがいながら、本報告を完成させたい」と述べられました。

職業紹介事業や職業紹介担当者について5つの観点から分析

続いて、今回の報告者である坂爪洋美氏より、調査結果の発表がありました。

■調査概要
調査主体 東京大学社会科学研究所の研究組織である人材フォーラム
調査時期 2011年1月~2月
調査方法 社団法人日本人材紹介事業協会の会員企業に調査票の配布を依頼。調査対象者が回答後、東京大学社会科学研究所宛てに投函。
調査対象 社団法人日本人材紹介事業協会の会員企業 275社
調査数 無効票を除いた有効回収数は50票(有効回収率 18.1%)

今回の調査は、「中途採用市場において、有料職業紹介事業が利用されている割合は、非常に低い。今まで以上に活用されてもいいと思うし、今後、その役割が高まるのでは」という坂爪氏の問題意識から、スタートしたそうです。

報告では、(1)回復する業況と低下する紹介手数料 (2)職業紹介事業所の紹介状況 (3)パフォーマンスの高い職業紹介担当者の特徴 (4)紹介手数料の高い職業紹介事業所の特徴 (5)職業紹介担当者の人材マネジメントの5点について、整理していきました。なお、今回の調査では、人材紹介の形態を「サーチ型」「一般紹介(登録型)」「再就職支援(アウトプレースメント型)」「紹介予定派遣」と分類しています。

(1)から(5)まで、順に調査結果のポイントが発表されました。

(1)回復する業況と低下する紹介手数料
まず、職業紹介事業所の業績については、2009年度は2008年度と比較すると求人数が回復し、60.4%の企業が「良い」もしくは「同程度」と回答。特に年収の高い層を中心に求人が回復しました。紹介形態としては「サーチ型」「一般紹介(登録型)」で、より顕著な回復傾向があるとのことですが、紹介手数料は低下しているそうです。

(2)職業紹介事業所の紹介状況
次に、紹介形態ごとの「求人充足率」「求職者決定率」「決定までの所用期間」「紹介企業数」などの状況が発表されました。「一般紹介(登録型)」では、採用決定までの所用期間が1~3ヵ月未満との回答が、70.4%。坂爪氏は「予想より短期間に採用が決定しているケースが多く、職業紹介事業所でも転職意欲が高い顕在的転職希望者へのアプローチが中心になっているのでは」とコメントされていました。

(3)パフォーマンスの高い職業紹介担当者の特徴
今回の調査のポイントの一つに、「高い成績を上げている担当者にはどのような特徴があるのか」というものがあります。高い成績を上げるための能力・スキルとして挙げられている要素のうち、「一般紹介(登録型)」では70.4%の企業が「求人企業や求職者への素早い対応」を選択したのが目立ちます。坂爪氏は、「一般紹介(登録型)」の職業紹介事業所では、目の前にある多くの求人案件に次から次へとスピーディーに対応し、、成約に結びつけることが求められているのでは、と分析されていました。

(4)紹介手数料の高い職業紹介事業所の特徴
次に、正社員として採用が決定した利用者一人当たりの紹介手数料の金額により、事業所をHIGH群とLOW群の2群に分類し、それぞれの特徴を調べた結果が報告されました。HIGH群のほうが、LOW群よりも求人充足率も求職者決定率も低いなど、理由が不明確な結果が出ており、まだまだ分析の必要があるとのことでした。

(5)職業紹介担当者の人材マネジメント
HIGH群の特徴として、担当者に支払われる給与の金額の幅が大きいこと、担当者の正社員比率が比較的低い(平均値67.9%)ことが挙げられるとのこと。坂爪氏は、HIGH群は事業所レベルでの業績は悪くないが、職業紹介担当者の給与水準や雇用は、不安定な可能性があると分析されました。

実務的観点からの活発な質問

坂爪氏からの発表終了後は、質疑応答の時間が設けられました。人材紹介会社の実務者からの質問は、「分業型、一気通貫型のどちらが多い?」「一社単独で紹介事業を行っている場合と、他社と提携して紹介事業を行っている場合のそれぞれの割合は?」「限定的に公開している求人とオープンの求人はどう分けて考えればいいのか」など、その多くは現場の視点に基づくものでした。

また、発表の中でポイントとなっていた箇所について、「もっと詳しく教えてほしい」などの要望もあり、今回の発表内容に関する理解をさらに深めるような場となりました。

今回出た質問や要望等もふまえ、今後改めて、本報告を発表する予定とのことです。

<お知らせ>
次回の「人材フォーラムワークショップ」は2011年9月ごろに、派遣社員として働く人を対象とした調査をテーマに行われる予定です。


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