タレントマネジメントシステム用語集

タレントマネジメントシステムに携わるうえで知っておきたい、HR関連用語とマーケティング関連用語を解説します。

HR関連用語

戦略人事

戦略人事とは、経営戦略と人材マネジメントを連動させることによって、自社の競争優位の実現を目指そうとする考え方です。給与や労務などの管理業務にとどまらず、経営戦略の実現に向けた人材マネジメントが求められている点がこれまでの人事の役割と大きく異なります。

人材マネジメント

人材マネジメントとは、組織がビジョンや経営目標の達成に向けて、人材を管理・活用する仕組みのこと。採用、入社、配置、育成、評価・報酬、昇格・降格、退職などの一連のプロセスを指しており、組織全体の方向性や業績に大きな影響を与えます。

人材データベース

人材データベースとは、従業員の基本情報や人事評価など、人材に関するあらゆるデータを集約したものです。かつては紙などで管理されていましたが、IT化が急速に進み、データベースとして集約することで組織改善や人事施策立案につなげたいという需要が高まっています。人材データベースを構築することで可視化が進むことから、経営課題の分析に活用することも期待できます。

ATD(The Association for Talent Development)

「ATD(The Associaton for Talent Development)」とは、教育研修・能力開発・パフォーマンス向上などの人材・組織開発に関する非営利団体です。レポートの刊行、資格認定、セミナー開催などの活動を通じて、人材・組織開発に関するさまざまな情報を発信しています。

見える化

見える化とは、組織における財務、業務、戦略などの事業活動プロセスの実態を文章や数値で表すなどして、常に見えるようにしておくこと。見える化により業務上の問題点を客観的に捉えることで、能動的な解決策を講じることができるようになります。1998年にトヨタ自動車株式会社の岡本渉氏が発表した論文「生産保全活動の実態の見える化」で使われ、注目を浴びました。

組織図

組織図とは、組織の内部構造をひと目で把握できるようにした図のこと。組織内の指揮系統を可視化することで、業務の振り分けがしやすくなります。組織図には、外部向けに大まかな内容で作成されるものと、社内向けに詳細な内容で作成されるものがあります。

異動・配置

異動・配置とは、組織内で従業員の所属部署や地位、勤務形態を変えること。従業員を一つの部署やチームにとどまらせず、複数の領域で経験を積ませるという理由や、より適切な部署に配置にし直すといった理由など、その目的はさまざまです。

サクセッション・プラン

サクセッション・プランとは、組織における幹部、役員といった重要なポジションの後継者を育成する計画のこと。サクセッション・プランの実行は、長期的な組織の存続に寄与するメリットがある反面、長期的な育成コストがかかるなどのデメリットがあります。

リテンション

リテンションとは、優秀な人材の流出を防止するために行われる施策のこと。報酬体系の整備や福利厚生の充実といった金銭的報酬だけでなく、従業員のキャリア相談やコミュニケーションの促進といった非金銭的報酬など、従業員の定着率向上に向けたさまざまな取り組みがあります。なお、マーケティング活動におけるリテンションとは、既存顧客との関係を維持するという意味です。

パルスサーベイ

パルスサーベイとは、簡易的な調査を短期間に高頻度で行う調査手法のことで、主に従業員向けの満足度調査に用いられます。調査項目は数分程度で回答できる5~15問程度で、定期的に行うことにより従業員の意識の変化を可視化することができます。調査結果を基に、必要に応じて組織の改善や従業員のエンゲージメント向上施策に取り組むこともあります。

コンピテンシー

コンピテンシーとは、高い成果を収めている従業員の行動や考え方の特性のこと。コンピテンシーを基に評価基準や項目を設け、人事評価に活用することがあります。業務内容の定量化が難しい職種でも、コンピテンシーを評価基準とすることで評価しやすくなります。

ロイヤルティ

ロイヤルティとは、従業員の組織に対する愛社精神や忠誠心、帰属意識などを意味します。ロイヤルティを高めていくことで、業務効率や従業員モチベーションの向上、離職率の低下が期待でき、組織の成長につながります。

ピープルアナリティクス

ピープルアナリティクスとは、従業員の人事データや行動データなどを収集・分析し、人材活用の知見を得る技術のこと。採用や人材育成などにおける課題解決に向けて、データに基づいたヒントを得られるようになります。

採用ミスマッチ分析

採用ミスマッチ分析とは、組織と求職者の間で発生する認識・価値観の相違に至った要因を分析すること。ミスマッチを防ぐためには、自社が求める人物像を明確にし、採用のために適切な施策を行うことが重要です。経歴・スキルだけではなく、自社の価値観や考え方とマッチするかを見ることもミスマッチを防ぐ方法の一つです。

ハイパフォーマー分析

ハイパフォーマー分析とは、高いスキルを持ち、高い業績を残した人材を分析すること。分析結果を基に人事評価における基準をつくり、従業員のモチベーションを醸成する施策立案に寄与します。分析手法には、ハイパフォーマーの行動データを他社と比較する方法や、重回帰分析を用いるなど統計学の知識が必要な手法もあります。

人事システム

人事システムとは、人材の採用、育成、評価、勤怠管理、報酬の管理といった人事管理業務を効率化するためのITツールの総称。採用管理、勤怠管理などの分野別に特化したもの、すべてパッケージ化されたものなど、さまざまな種類があります。

バックオフィス

バックオフィスとは、営業・顧客対応・マーケティングなどの顧客に接する部門の支援を行う、人事や経理、総務などの部署や業務のこと。基本的には顧客に直接接する機会がなく、直接的な利益は生み出しませんが、人材の採用や給与の処理など、ビジネスを続けるために必要な手続きを行う重要な役割を担っています。

マーケティング関連用語

SaaS

SaaS(Software as a Service)とは、インターネットを通じて利用できるソフトウエアのこと。サービス提供事業者がサーバー環境などを用意し、利用者はインターネットに接続できる環境であればどこからでもソフトウエアを利用することできます。通信環境が発達した現代において需要が拡大しており、SaaSを導入する企業が増えています。

クラウドサービス

クラウドサービスとは、インターネットを通じてデータやソフトウエアなどを提供するサービス。例えばメールを利用する場合、従来はメールソフトをパソコンにインストールする必要がありましたが、クラウドサービスはインターネットに接続できる環境であれば、ブラウザなどから利用できる点が特長です。クラウドサービスの種類には、ソフトウエア機能を提供するSaaS、開発プラットフォーム機能を提供するPaaS、サーバーなどのインフラ機能を提供するIaaSなどがあります。

オンプレミス

オンプレミスとは、サーバー機器やソフトウエアといった情報システムを、使用者(組織)が管理する施設内に設置・運用すること。自社で運用・構築を行うため、クラウドサービスと比較して、システムのカスタマイズがしやすく、セキュリティに優れるといったメリットがある反面、初期コストや維持コストが高く、構築に時間を要するといったデメリットもあります。

サブスクリプション

サブスクリプションとは、商品・サービスを一定期間利用できる権利として継続的に料金を支払う形式のビジネスモデルのこと。SaaSの多くはサブスクリプション形式で課金形態プランを展開しています。安定した収益を得られるメリットがありますが、顧客満足度の高いサービスを提供し続けることができなければ解約される可能性があるなどのデメリットもあります。

マーケティング

マーケティングとは、商品やサービスを売るための活動・仕組みづくりのこと。マーケティングの目的は、企業自体が販売行為をしなくとも自然に商品が売れるようにすることにあります。市場調査、商品開発、広告宣伝、効果検証といった売れる仕組みづくりにおける一連のプロセスは、すべてマーケティングに含まれます。

インサイドセールス

インサイドセールスとは、企業から顧客に対して電話やメール、オンライン会議などを通じて非対面で行う営業手法のこと。自社や自社サービスに対する認知が低い潜在顧客に対して、アプローチを行います。サービスの契約に至るまでのハードルが高く、事前の顧客ニーズの把握やリサーチなどを徹底する必要があります。

フィールドセールス

フィールドセールスとは、見込み顧客に対して直接訪問し、対面型のアプローチを行う営業手法のこと。顧客と直接対話できるため、顧客のニーズや課題をより深く理解でき、信頼関係を構築できる可能性が高まります。インサイドセールスでサービス契約の意欲が高まった顧客に対して、フィールドセールスで商談化していくのが一般的な流れです。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、自社の商品・サービスに対して興味を持つ見込み顧客獲得のための活動を意味します。現在はインターネットの発展・普及により、オンラインでの見込み顧客の獲得が主流になりつつあります。その手法は広告出稿やイベント開催、SNS運用などさまざまです。

ナーチャリング

ナーチャリングとは、まだ取引をしていない顧客と継続的にコミュニケーションをとり、信頼関係を構築することで購買意欲を高める活動のこと。コミュニケーションの量や質に応じてスコア化し優先順位をつけ、商談化に向けて取り組みます。ナーチャリングの手法には、オウンドメディアやメールマガジンを通じた情報発信、セミナーの開催などがあげられます。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスとは、顧客が自社のサービスを使用し、求める成果を達成することを支援する活動のこと。顧客のビジネスを成功させることで、サービスの継続利用やよりグレードの高いプランに興味を持ってもらうなど、顧客と自社双方の利益を最大化していくことを目的としています。

オン・ボーディング

BtoBマーケティングにおけるオン・ボーディングとは、顧客に対して、より早期に自社サービスの利用方法を理解してもらうための活動・プロセスのこと。一方、HR領域におけるオン・ボーディングは、新規採用した従業員を組織へ早期に順応させる施策を指します。

ユーザーコミュニティ

ユーザーコミュニティとは、企業が提供している商品・サービスについて、ユーザー同士が知識やナレッジを共有したり、商品に関する悩みや疑問を他のユーザーまたは企業が回答したりする場を指します。オンライン上でのコミュニティや掲示板、SNS、ブログなどさまざまな形態があります。

ARPU

ARPU(Average Revenue Per User)とは、ユーザー一人あたりの売上金額を表す指標です。ARPUは自社の売上に直結するため、SaaSビジネスでは重要なKPIの一つとして設定されることが多くなっています。

アップセル

アップセルとは、自社の商品やサービスを利用する顧客に対して、よりグレードが高いものを購入・契約してもらうこと。アップセルによって、顧客一人あたりの売上単価が向上し、LTV(顧客生涯価値)も高くなります。類義語である「クロスセル」は、自社の別商品やサービスを購入・契約してもらうことを意味します。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値)とは、一人もしくは1社の顧客から生涯にわたって得られる売上の総額を意味します。自社の商品やサービスへのロイヤルティが高い顧客ほど、継続購入したり、長期間契約したりしてくれる可能性があり、LTVが高くなります。1顧客あたりのLTVは平均購入単価×平均購入回数で算出できます。

解約率(チャーンレート)

解約率(チャーンレート)とは、一定期間以内に商品・サービスを解約した利用者の率のこと。期間内に解約した顧客数÷期間前の総顧客数で求めることが可能です。チャーンレートの種類には、顧客数をベースに解約率を算出する「カスタマーチャーンレート」、収益をベースに解約率を算出する「レベニューチャーンレート」があります。

情報セキュリティ

情報セキュリティとは、組織の情報において機密性・完全性・可用性を保持することを意味します。情報セキュリティにおける脅威としては、人的ミスやコンピュータウイルス、端末の故障などが含まれます。社内外にセキュリティ対策を徹底していることの証明として、「ISO27001(ISMS認証)」などの情報セキュリティに関する国際規格があります。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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