『ビジネスガイド』提携

ブログ・フェイスブック・ツイッター・ミクシィ等…
従業員のソーシャルメディア利用による問題点と企業のリスク対応策
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弁護士 荒井 里佳(ホライズンパートナーズ法律事務所)

ビジネスガイド photo『ビジネスガイド』は、昭和40年5月創刊の労働・社会保険の官庁手続、人事労務の法律実務を中心とした月刊誌(毎月10日発売)です。企業の総務・人事・労務担当者や社会保険労務士等を読者対象とし、労基法・労災保険・雇用保険・健康保険・公的年金にまつわる手続実務、助成金の改正内容と申請手続、法改正に対応した就業規則の見直し方、労働関係裁判例の実務への影響、人事・賃金制度の構築等について、最新かつ正確な情報をもとに解説しています。ここでは、同誌のご協力により、2012年9月号の記事「従業員のソーシャルメディア利用による問題点と企業のリスク対応策」を掲載します。
『ビジネスガイド』の詳細は日本法令ホームページへ。
あらい・りか ● ホライズンパートナーズ法律事務所(東京都港区西新橋)パートナー弁護士。平成18年弁護士登録(東京弁護士会)。企業法務・訴訟一般・家族法関係事件に取り組みつつ、企業内外から未然の法的トラブル防止に取り組んでいる。著書に「税理士のための会社法務マニュアル 実際にあった顧問先からの相談事例77」(第一法規 共著)、「オルタナティブ・ジャスティス~新しい〈法と社会〉への批判的考察」(大阪大学出版会 共著)、「裁判員対応と企業対応 万全ですか? あなたの会社の社内整備」(第一法規 共著)等多数。

1.ソーシャルメディアの急速な普及が引き起こした問題

ソーシャルメディアの急速な普及に伴い、企業自身のみならず、従業員の方々も、何らかの形でソーシャルメディアを活用し、その恩恵を受けていることと思います。従業員が個人としてソーシャルメディアを利用することは、基本的に問題のない行為ですが、その影響力の強さや広さから、思いがけないところで、従業員個人の枠を超えて、企業自体に影響を及ぼす可能性もあります。

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報道等で耳にした方もいらっしゃると思いますが、ホテルの従業員が有名人の宿泊客情報をツイートした事件や、病気休暇を申請した従業員が、休暇中旅行に行き、その様子をフェイスブックにアップしていた等、従業員の個人的なソーシャルメディアの利用が問題を引き起こしてしまった、様々な事例が挙げられます。

また、想定されるトラブルとしても、従業員が個人としての立場から意見表明したことが、会社の意見表明と受け取られ、会社自体が非難の的になり会社のホームページ等が炎上する、会社の内部情報が流出して株価や企業価値の判断に影響を及ぼす、自身のブログ等において好意で自社製品の過剰な宣伝を行い、法律に抵触してしまうといった状況もあり得るでしょう。

さらにソーシャルメディアは、自身が積極的に活用していなくても、利用者からのアプローチを止めることができません。その意味で、能動的か受動的かを問わず、企業にとってソーシャルメディア利用に伴う問題への対応は、避けて通れないものとなっています。

本記事では、ブログ・フェイスブック・ツイッター・ミクシィ等を想定し、従業員によるソーシャルメディア利用の増加に伴い、企業にどのようなトラブルが生じ得るのか、さらにそれを回避するための効果的な対応策等ついて述べたいと思います。

2.企業はどんなリスクを被る可能性があるのか

(1)従業員による会社情報の漏洩

ブログやHP、ツイッター等で、露骨に会社情報が漏洩されるというおそれは十分にあります。しかし、ソーシャルメディア上で情報漏洩したことのみをもって特殊な問題となるわけではなく、入社時等に交わした企業秘密の漏洩禁止に関する誓約書、もしくはその旨が盛り込まれている雇用契約書に定める義務違反として、懲戒やその他約定違反として処分の対象とすればよいことです。

問題はそれのみにとどまりません。一般的な従業員の場合、いわゆる企業人としての公の側面はあまりないようにも思いますが、例えばフェイスブックでは、実名開示かつ勤務先企業名が明示されていることも多くありますから、会社の内部状態・ひいては他社から見れば格好の与信管理材料を与えている場合もあるかもしれません。つまり、企業情報に変異した個人情報が、簡易に流出してしまう可能性があり、些細な個人の発信情報であっても、企業の内部情報としての意味付けを与えられる可能性があるということを従業員自身が認識するべきと言えます。

(2)企業の経済的損失や、社会的イメージのダウン

企業の経済的損失の一例としては、社外との関係においては、従業員が取引先の悪口を書き込んだり、友人への愚痴のつもりで書き込んだ「今日の仕事先にこんな嫌な担当者がいた」云々という話を取引先担当者が偶然見つけてしまい、取引停止になるなどという事態も生じ得ます。

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社内に目を向けても、同じ部署の同僚や先輩の悪口を書き込んだり誹謗中傷をしたりした結果、誹謗中傷合戦に発展し、閲覧した外部の方々から「こんな風土の会社なのか」「こういった人間関係を野放しにしておく会社なのか」という印象を抱かれ、他人を誹謗中傷するような人間を雇っているという企業イメージの悪化に発展するおそれがあります。同様のトラブルは非常に多く、社内的な職場環境の悪化のみならず、企業の社会的価値の低下にもつながりかねない、重要な問題と言えます。

いずれにせよ、影響力の拡大に伴い、発言内容が一人歩きをするおそれがあることを、従業員が常に意識することが重要です。企業人としての発言なのか、個人としての発言なのか、その区切りが曖昧になることから様々な問題が生じます。次項では、このトラブルを食い止めるために、企業はどのような防衛策を取るべきなのかにつき検討します。


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