『ビジネスガイド』提携

労働関係・社会保険の改正項目を一元整理

社会保険労務士

安部敏志

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3.複業する高年齢被保険者の特例制度の導入

そして、令和4年1月1日から、65歳以上の労働者を対象に、本人の申出を起点に二つの事業所の労働時間を合算して「週の所定労働時間が20時間以上である」ことを基準として、雇用保険に適用する制度が試行されます。

雇用保険制度の趣旨は、自らの労働により賃金を得て生計を維持する労働者が失業した場合の生活の安定等を図るというものです。しかし、複業する労働者がどの事業所でも週の所定労働時間が20時間未満で働いている場合、雇用保険制度の被保険者となることができません。

そのため、就労が多様化し、複業者が相対的に高い割合で増加している65歳以上の労働者に限って、本人の申出により、週の所定労働時間の合算が認められることになります。ただし、合算できる事業所は、週の所定労働時間が5時間以上の事業所に限られます。

なお、この法改正は試行的な位置付けとなっており、施行後5年となる令和9年4月1日を目処として、適用の状況、高年齢被保険者となった者に対する雇用保険法に基づく給付の支給状況等を勘案し、所要の措置を講ずるとされており、適用範囲の拡大の可能性もあります。

4.企業実務上のポイント

複業については、国が推進し労働者の関心も高い状況で、企業は好むと好まざるとにかかわらず、この流れに対応する必要があります。複業に関する今回の雇用保険・労災保険制度の改正は、複業に伴うデメリット解消のためのものであり、企業実務上はそれほど影響がありませんが、それよりも企業として考えるべきは、「なぜ、労働者は複業に関心を持つのか」という点です。

今の賃金が安い、キャリアを広げたい等、理由は様々ですが、率直に言えば勤務先の現在に不満・将来に不安があるためです。自社が本業で、副業が別にあると思っていたら、いつの間にか自社が副業扱いされていた、という笑えない話もあります。企業は今後、顧客離れ防止と同じくらい真剣に、従業員の離職防止のための方策を考える必要があります。


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