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外国人雇用よくあるトラブルと対応

行政書士

佐野 誠

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Q2 入国管理局より追加資料の提出を求められた

弊社は10年ほど前から外国人社員を採用しており、在留資格の申請は人事部の社員が書類をチェックしたうえで社員本人が申請を行う方法をとっていました。今回も前任者の残した記録通り、職種を「翻訳・通訳」として提出しましたが、入国管理局より「具体的に職務内容を説明してください」との通知を受領しました。今までになかったことなので、どのように対応したらよいのかわかりません。

A2

日本で就労する外国人社員の多くが「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を所持していますが、その申請にあたり職務内容は非常に重要になります。というのは、雇用しようとする外国人社員が行う職務内容が入管法で定める「技術・人文知識・国際業務」に該当しなければ許可が出ないからです。この在留資格は、文字通り「技術」、「人文知識」、「国際業務」の三つの職種が合わさっています。

在留資格の申請にあたっては、自社で外国人社員に就かせる職種が上記のどれに該当するのかを明確にすることが重要です。
単に翻訳・通訳といった場合には国際業務に該当しますが、入国管理局から職務内容の説明を求められるということは、審査官は職務内容が国際業務に該当しない可能性があると判断していることになります。

もし職務内容が本当に翻訳・通訳であるのならば、どのような業務に関して翻訳や通訳の必要性があるのか、職務全体でどれくらいの割合を占めているのか、その社員がもつ外国語の能力はどのようにして身に着けたのか、翻訳・通訳を行う職務とその外国語の関連性はどの程度あるのか、などを証拠資料とともに立証していく作業が必要となります。万が一、前任者の記録をそのまま書き写しただけで、実際の業務内容は翻訳・通訳でない場合には、正直に記載が誤っていたことを述べ、「技術」か「人文知識」のどちらに該当するのかを、同様に立証していかなければなりません。

最近では日本人社員と同等に外国人社員を採用する企業も増えてきました。国籍の差別なく採用を行うことは非常に素晴らしいことですが、外国人社員の場合には在留資格への該当性が求められるため、日本人社員とまったく同一の扱いとはいかないケースも多くみられます。例えば、入社当初は営業職に就いて現場を経験してもらい、数年が経過したのちに専門的な部署に配置するようなケースです。単なる営業職は「技術・人文知識・国際業務」に該当しませんので、法律学、経済学、社会学その他人文知識の分野に属する技術もしくは知識をどのように職務に生かしているのかを明確にしていく作業が必要となります。

一方、「技術・人文知識・国際業務」の取得にあたり職務内容を「翻訳・通訳」と記載して在留資格を得ているにもかかわらず、実際に就いている職務は単なる調理や接客などの単純作業といった不正な申請も多くみられます。このため入国管理局では、このような虚偽申請の疑いがあるものについては様々な策を講じて職務内容を明確にしていくとの方針を示しています。今後は単に「翻訳・通訳と記載しておけば大丈夫」といった安易な判断は通用しなくなると思われますので、しっかりと自社の職務内容を明確にして対応していくことが必要になります。

とはいえ、2018年9月に法務省は、業種や分野を制限せずに外国人の在留を認める新しい制度を設けることを発表しています。現時点では、(1)日本の大学または大学院を卒業、(2)年収300万円以上、(3)日本語を使う職場で働く場合、に限り該当するとされています。在留資格「特定活動」の対象範囲を広げるか、入管法を改正して新たな在留資格を創設するか、具体的な検討が行われています。
将来的には上記の条件に該当すれば外国人の採用にあたり業種や職務内容を気にせずに在留申請できる可能性がありますが、現時点では職務内容を明確にして在留資格への該当性を立証していく必要があります。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の該当性
職種 該当性
1.技術 日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学、その他自然科学の分野に属する技術もしくは知識を必要とする業務
2.人文知識 日本の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他人文知識の分野に属する技術もしくは知識を必要とする業務
3.国際業務 外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務

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