『ビジネスガイド』提携

政省令・告示等を踏まえた
「改正労働者派遣法」求められる実務対応 (3/5ページ)

弁護士 藤田 進太郎(弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士)

2016/3/4

3 労働者派遣の期間制限の見直し

(3)個人単位の期間制限

[1]概要

派遣先は、派遣先の事業所等における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の有期雇用の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けることはできません。

[2]組織単位

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「組織単位」は、課、グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織であり、かつ、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有するものであって、派遣先における組織の最小単位よりも一般に大きな単位を想定していますが、名称にとらわれることなく実態により判断すべきものです。ただし、小規模の事業所等においては、組織単位と組織の最小単位が一致する場合もあることに留意する必要があります。

[3]延長不可

個人単位の期間制限を延長することはできません。個人単位の期間制限の上限に達した有期雇用派遣労働者の雇用期間が失われる可能性がある点については、派遣元における雇用安定措置で対処することが予定されています。

[4]クーリング期間

派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣の終了後に同一の派遣労働者を再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3カ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。労働者派遣が継続しているものとみなされるというのは、前に同一の組織単位ごとの業務について労働者派遣を受けていた期間と後の期間が通算されるという意味であり、派遣終了と次の派遣開始の間の期間については通算されません。

同一の派遣労働者について、派遣元事業主が異なる場合であっても同一の派遣労働者と評価されることに留意する必要があります。派遣先は、派遣労働者が個人単位の期間制限に違反することをもって、派遣元事業主に対し、派遣労働者の交代を要求することができます。

業務取扱要領では、「派遣先は、派遣先の事業所等における業務について派遣元事業主から3年間を超える期間継続して労働者派遣(派遣期間制限の対象とならない[1]から[6](本稿では省略)までのいずれかに該当する場合を除く。)の役務の提供を受けようとする場合において、派遣可能期間の延長に係る手続を回避することを目的として、当該労働者派遣の終了後3月が経過した後に、再度当該派遣労働者の役務の提供を受けることは、趣旨に反するものであること。」とされています。同じ派遣労働者を同じ組織単位の業務に3年を超えて従事させたい場合は、派遣期間制限のない無期雇用派遣労働者を受け入れるか、直接雇用することで対処すべきと考えます。

(4)期間制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けた場合の取扱い

[1]厚生労働省大臣の勧告・公表

厚生労働大臣は、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、過半数労働組合等からの意見聴取をせずに事業所単位の期間制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けている場合、意見聴取をした際に過半数労働組合等が異議を述べたにもかかわらず説明義務を果たさなかった場合、派遣労働者個人単位の期間制限を超えて同一の組織単位において同一の派遣労働者から労働者派遣の役務の提供を受けている場合、法48条第1項の規定による指導または助言をしたにもかかわらず、その者がその指導等に従わなかった場合等には、当該者に対し、当該派遣就業を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告することができます。また、厚生労働大臣は、これらの勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができます。

[2] 労働契約申込みみなし制度

労働者派遣の役務の提供を受ける者が、過半数労働組合等からの意見聴取をせずに事業所単位の期間制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けている場合(厚生労働省令に定める書面による通知、記録の保存・周知を怠っただけの場合を除く)および派遣労働者個人単位の期間制限を超えて同一の組織単位において同一の派遣労働者から労働者派遣の役務の提供を受けている場合には、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます。

意見聴取をした際に過半数労働組合等が異議を述べたにもかかわらず説明義務を果たさなかったというだけでは、労働契約申込みみなし制度の適用対象にはなりません。

施行日の前日までに締結された労働者派遣契約については、経過措置により旧法の期間制限が適用されますが、平成27年9月30日施行の改正労働者派遣法において、旧法の自由化業務の期間制限違反は平成27年10月1日施行の労働契約申込みみなし制度の適用対象から外されていますので、経過措置期間中に旧法の自由化業務の期間制限に違反したとしても、労働契約申込みみなし制度の適用対象とはなりません。


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