『ビジネスガイド』提携

「労働時間」と「休憩時間」の定義を明確に!
仕事の効率をアップさせる「昼寝」の活用と規定作成&運用
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社会保険労務士 奥村 禮司

2014/7/18
ビジネスガイド表紙
『ビジネスガイド』は、昭和40年5月創刊の労働・社会保険の官庁手続、人事労務の法律実務を中心とした月刊誌(毎月10日発売)です。企業の総務・人事・労務担当者や社会保険労務士等を読者対象とし、労基法・労災保険・雇用保険・健康保険・公的年金にまつわる手続実務、助成金の改正内容と申請手続、法改正に対応した就業規則の見直し方、労働関係裁判例の実務への影響、人事・賃金制度の構築等について、最新かつ正確な情報をもとに解説しています。ここでは、同誌のご協力により、2014年7月号の記事「仕事の効率をアップさせる『昼寝』の活用と規定作成&運用」を掲載します。『ビジネスガイド』の詳細は、日本法令ホームページへ。

おくむら ・れいじ ● 社会保険労務士。新事業創造育成実務集団代表。落語家のような語り口調に、企業や社労士からのファンが多く、企業研修や講演依頼のほか、社労士会や税理士会、弁護士事務所等からの研修や講演の依頼も多数ある。著書も多く、2014年4月に「多様な労働時間管理の運用と就業規則への規定の仕方」(日本法令)を出版。

厚生労働省は、2003年3月、「健康づくりのための睡眠指針~快適な睡眠のための7箇条~」(以下、「指針」という)を策定しました。しかしながら、策定から10年以上が経過し、睡眠に関する科学的知見が蓄積されていること、また、2013年度から健康増進法に基づき策定された基本方針、いわゆる「健康日本21(第二次)」を開始したことから、睡眠の重要性について普及啓発を一層推進する必要があり、このほど下記の通り指針が改定されました。

本記事では、以下、指針に沿って企業が就業時間中の昼寝を社内制度化する場合に発生する実務の流れに対応した規定の作成例や運用方法を解説します。

■健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~(2014年3月厚生労働省健康局)
  1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
  2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
  5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
  8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  11. いつもと違う睡眠には、要注意。
  12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

1.改定睡眠指針にみる勤労世代に関する睡眠の重要性と「昼寝」の活用

photo

指針では、若年世代・勤労世代・熟年世代についてそれぞれ望ましい睡眠のとり方をまとめていますが、「不眠がうつ病のようなこころの病につながること」や、「睡眠不足や睡眠障害による日中の眠気がヒューマンエラーに基づく事故につながる」として、睡眠の重要性を訴えています。また、「スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)やスペースシャトルチャレンジャー号事故(1986年)などにおいて、睡眠不足による眠気がその原因となった可能性が指摘されている」ともしています。

勤労世代については、「睡眠不足は、注意力や作業能率を低下させ、生産性を下げ、事故やヒューマンエラーの危険性を高め」、また、「睡眠不足が続くと知らず知らずのうちに作業能率が低下して、さらに、産業事故などの危険性が増す」として、「十分な睡眠を確保する」ことが大切であるとしています。

しかしながら、実際には仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時間を確保できないことが多くあります。その場合は、「午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立ちます。午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です」として、30分以内の短い昼寝を勧めています。以下に、指針を抜粋します。

第8条.
勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。

日中の眠気が睡眠不足のサイン
睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる
睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかる
午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善

必要な睡眠時間は、個人によって大きく異なり、また、年齢によっても変わります。一人ひとりが、自分に必要な睡眠時間を知ることが大切です。自分の睡眠時間が足りているかどうかを知るためには、日中の眠気の程度に注意するとよいでしょう。日中の仕事や活動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。

勤労世代では、必要な睡眠時間が確保しにくいこともあるため、特に、勤務形態の違いを考慮しつつも、十分な睡眠を確保する必要があります。睡眠不足は、注意力や作業能率を低下させ、生産性を下げ、事故やヒューマンエラーの危険性を高めます。自分では眠気による作業能率の低下に気が付かないこともあります。忙しい職場では、睡眠時間を削って働くこともあるかもしれませんが、それが続くと知らず知らずのうちに作業能率が低下して、さらに、産業事故などの危険性が増すことがあります。

睡眠不足が長く続くと、疲労回復は難しくなります。睡眠不足による疲労の蓄積を防ぐためには、毎日必要な睡眠時間を確保することが大切です。睡眠の不足を休日などにまとめて解消しようとすることを「寝だめ」と呼ぶことがあります。しかし、沢山眠っておくとその後の睡眠不足に耐えられるということはなく、「睡眠」を「ためる」ことはできません。睡眠不足が蓄積されてしまうと、休日にまとめて睡眠をとろうと試みても、睡眠不足による能率の低下をうまく補うことはできません。また、睡眠不足の解消のために、休日に遅い時刻まで眠っていると、光による体内時計の調整が行われないために生活が夜型化して、日曜の夜の入眠困難や月曜の朝の目覚めの悪さにつながります。

毎日十分な睡眠をとることが基本ですが、仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時間を確保できなかった場合、午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立ちます。午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です。


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